添削屋「ミサキさん」の考察|29|「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた」を読んでみた㉙
第40位 過去形と現在形を混ぜると文章がいきいきする
◇過去形と現在形をまぜる2つの効果
(1)文章にリズムができる
過去形と現在形をうまく交ぜることで、文章にとって大切なリズムをつくることができます。
作家の三島由紀夫の言葉。
「私はまた途中で文章を読みかえして、過去形の多いところをいくつか現在形になおすことがあります。これは日本語の特権で、現在形のテンスを過去形の連続の間にいきなりはめることで、文章のリズムが自由に変えられるのであります。」(『文章読本』/中央公論新社)
テンス:時制のこと。
⇒「日本語の特権」とは言いえて妙! 本当にそう思います。外国の言葉で文章をまともに書いたことはないので分かりませんが、日本語はある種融通の利くリズムに向いた言語かもしれませんね。私も文章を書くとき、過去形と現在形に悩みつつも、どう組み合わせるのかに醍醐味を感じるところもあります。
(2)ライブ感が生まれる
過去形で書くと終わった出来事に感じますが、現在形を使うと今そこで行われている印象になります。
朝日新聞のベテラン校閲者の前田安正さんも「過去形のなかにうまく現在形を使うと、ライブ感が出てくる」(『マジ文章書けないんだけど』/大和書房)と書いています。
次回は、例文をご紹介して、このエッセイは最終回となります。
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