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小説朗読 マリー姫とマクシミリアン1世の愛の物語  第1章

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こちら私の投稿している小説の朗読になります。 中世ヨーロッパにおいて強大な富を誇ったブルゴーニュ公国のマリー姫と、神聖ローマ皇帝家のハプスブルグ家の御曹子マクシミリアンの史実に…
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#3人の姫君の物語

さて、その頃アリシアとベアトリスはどうしていたのだろうか。

 マリーが4歳でまだ両親とエノー伯爵家の居城であったケノワ城で暮らしていた頃、アリシアはベアトリスと隠れるような生活を余儀なくされていた。

 そして7月の中旬の過ぎたある日、ベアトリスはついに赤ちゃんを産む。

15世紀の当時のフランダース地方には既に動物園があったのでした。


※この絵は有名な「鳥を持つマリー・ド・ブルゴーニュ」の肖像画

前回はシャルル突進公で終わったので、このマリーの父シャルル突進公という、かなり無鉄砲ではあるが、無骨な騎士であり、そういう意味では魅力的でもあるこの人物について少し説明したい。

※絵はマリーの父シャルル突進公の肖像画

中世に百合の紋章のフランス王国と、鷲の紋章のドイツ神聖ローマ帝国の2つの大国に挟まれて繁栄を誇っていたのは、華麗なるブルゴーニュ公国だった。

※絵は1430年以降のヴァロワ=ブルゴーニュ家の紋章

マリーという名前は、ルイの母フランス王シャルル7世の王妃---マリー・ダンジューからつけられた。

※絵は《聖カタリナの秘密の結婚》1480年の、ハンス・メムリンクの作品。
ブルージュにあるメムリンク美術館に置かれている

ベアトリストとの穏やかな日々が続き、どうやら彼女はアリシアの親族について何か知っているようだとわかります。でも幼いアリシアには自分の家族のことをどうやってベアトリスに聞けば良いのかわからず……そうしているうちにある事件が起こります。