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詩『落ち着いた後に。』

泣き止む頃、机の上に一粒の宝石がある。誰にも見えない、誰にも触れられない、私の涙がある。虚勢に応じた天の大河が、私の元に風を運び込んでくれる。

「愛を知れ。そして、唐突な光を、眩い恒星を、圧倒的にまっすぐな光速を見ろ」

私は私に語りかける。ベッドの四隅に佇む者の名を教えてほしい。答えが知りたいのではない。そこに誰かが存在することを確かめたいのだ。

声はやがて嵐となり、願いと共に空を駆ける。大海を舞う。その速さを理解する。問いに答えを、思考に災いを。

深い呼吸。

街を繋ぐ灰。

大通りから横道に逸れて一言。

「私は、私たちは、時にそれを良しとする」

雷おこし薫子より。

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