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『続・山女日記』

ソワソワして読みました。
湊かなえさんの新刊続・山女日記 残照の頂

*これ、やまおんなって読むのか、やまじょって読むのか
今も謎のままなんです。やまおんな、であってますかね?


先日、NHKの朝番組「プレミアムトーク」に出演されていた湊かなえさん。

この本を出したのを機にしばらく執筆活動はお休みにするとおっしゃっていたので、「これはすぐに読まなきゃいけない!」と本屋に走りました。
この本も、本当はもう少し早く出す予定だったのが、コロナで外出が制限されている時に山登りをテーマに書いていいのか、今書く意味は何なのかを葛藤されていたそうです。

いやいや何をおっしゃる!
読んでみて、こんな時期だからこそ、想像力が掻き立てられました。
まだ来ぬ登山の日を夢見ることができました。
(本格的な登山なぞ、いまだしたことはないのですが)。

湊かなえさんは因島市のご出身で、淡路島にご在住というのはよく知られていることかと思います。
(兵庫県民として、とても嬉しいことの一つです)
そして、大学時代はまたしてもご近所・武庫川女子大学で過ごし、サイクリングをはじめ山にも登っていたことや、トンガで青年海外協力隊として働いていたこともファンの方ならよくご存じかと思います。

湊さんの小説には、そんな湊さんのこれまで過ごされてきた環境や経験がネタとして?随所に現れていているのです。
小説を読んだ後に、プロフィールやこれまでの対談記事などを読み返すと、「へー」「ほー」となることが多いんですよ。
あんな凄みのある人間の心をえぐるようなストーリーも、もともとはご自身の体験がきっかけでつくられたのかと想像すると、すごく親近感がわくと同時になんだかとっても愛おしく感じてしまうのです。

それはきっと、
登山とか、国際ボランティアとか、湊さんがされてきたことが
若かかりし頃に「やってみたいな」と思ってたことなんです。
「私には無理か」と諦めたことを、湊さんはされているんです。

いや諦めたというのは大げさで、そこまで真剣に向き合わなかったわけなんですけど。
でも、「もし、あの時、挑戦していたら?」
湊さんの小説には私にそんな続きをみさせてくれるものでもあるです。

さてさて、『残照の頂』に戻ります。

「後立山連峰」「北アルプス表銀座」「立山・剱岳」「武奈ケ岳・安達太良山」と4つのストリー。悲しいことに私にはどれもピンとこない名前ばかりなのですが、そんな山ど素人でも楽しめるのが湊かなえさんの山女日記のですよ。
人生のどこかで山を登ってきた人たちが繰り広げる、その後の人生。
大学時代の仲間や夫婦、会社の先輩後輩、親子とか。そんな身近な人のストーリーが登山になぞらえられながら、ときに一緒に山を登っている錯覚におそわれれながら展開していきます。

読んだ後には、きっと「私も、登る!」となっていると思います。
いや、この本は「山ガールを増やそう!」的な本では全くないはずなんだけど、「登山を知らないって、実は人生すごく損してるんじゃないの?」
っていう気にさせられちゃうんです。

でも、登山を知らなくても、知らないままでも、主人公の気持ちになれるのもこの本のすごいところ。この本では登山がテーマになっているけど、例えば、クラブ活動でも受験勉強でも、起業、夫婦喧嘩でも、どんなものでも、読み手のそれまでの経験をなぞってくれるような気がします。

いつもは、湊かなえさんの本は「いっき」読み。
って、途中で止められないだけなんですけど。
でも、今回は一つの章を読んでは休憩。
また次の章を読んでは休憩して味わいました。

そんなことがしたくなる『続・山女日記 残照の頂』でした!!

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