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歌舞伎ミリしら初心者が新作歌舞伎(FFX歌舞伎)で沼にはまった話その3


休憩時間のはなし

ついに後半がはじまりました。

の、前に。

わたしとしてはひとつ不思議なことがあったんですよ。

この話いつ終わるんだ?

実は今回前半と後半のチケットを買っておりまして、
劇団四季の感覚で見に来たわたしは「1時間半✕2」くらいの公演なんだろうな~とのんびり構えていましたが、一向にシンを倒す気配がない一行(面白い洒落です)

終わらない。
まだ終わらない。

そりゃそうだ。
元が70時間以上を超えるゲームを3時間弱で終わるはずがない。

そしてあっという間に前半が終わり、15時をまわりました。
これいつ終わるんだ???

友人と「終わったら豊洲のちーむらぼでもいこか~」とのんびり話していましたが、終わるはずがない。ここでなんとなく察する。

いやでも19時くらいには終わるかな?夜ご飯くらいは食べれるか~、なんてのんきなことを考えていました。

結果解散時刻は21時だった。

恐るべき拘束9時間…。

とりあえず昼休憩です。2時間足らずの時間があり、わたしたちはみな外に放り出されます。

外にキッチンカーも来ていましたが開幕の前におなかがすいて食べてしまったわたしたちは周りにカフェでもないかと探しに行くことにしました。

結果:ない。

市場前、思っていたよりなにもなかった。
肝心の市場も15時には閉まってしまうのでなにもありません。

唯一の救いがホテル併設のカフェとコンビニがあったくらいでしょうか。
カフェは人が多かったので我々はコンビニにいって、近くのベンチで食べることに。

これがデートとかなら「コンビニごはんか…」と気まずい雰囲気も漂ったかもしれませんが、女子ふたりが揃いそこにスイーツとお茶があれば、ここは立派なあおぞらカフェです。

久しぶりに会った友人となんてことのない話をしたり、アーロンとシーモアの格好良さを語り、女方さんのすごさを語り、カレーパンを食べ、サンドイッチを食べ、エクレアを食べ、チキンを食べていたらあっという間に昼休憩は終わりました。

そして後編へ

公演は終わってしまいましたがぜひ、FFX歌舞伎本編は映像で見てほしいのでここからはサクッとすすめます。
前半のどんな話だった~というよりはわたしの感想です。

映像作品は「FFX歌舞伎 レンタル」などと調べたら簡単に出てくるとおもいます。FFⅩを知らなくても、歌舞伎がわからなくても楽しめるのでぜひみていただきたいです。

感想から進めると、非常に面白かったです。

古語は「竹鳥の翁」しかわからない日本語弱者のわたしでも理解できる現代語が主に使われていて、歌舞伎という文化に親しみがなくてもスッと馴染めるつくりとなっております。

そして最初こそ歌舞伎要素が少ないけれど、シーモア✕アーロン戦では優美、それでいて豪快な立ち廻りを堪能することが出来、ラストにかかるにつれて歌舞伎としての動きが増えていくことで自然と歌舞伎文化に馴染める。

そんな素晴らしい脚本となっております。
ゲームからはいった人には満足がいく、そしてゲームを知らない人でもきっと涙する作品です。

なによりも会場全体、そして両面のスクリーンに映し出される映像が動くことにより没入感がすごい
街を歩く時には一緒に歩いているような、飛空艇に乗る時にはまるで一緒に乗って飛んでいるような演出。

本当に素晴らしかった。

わたしたちはスピラという世界に迷い込み、ティーダたちと一緒に旅をするパーティメンバーになり、シンを倒し世界を救おうとしている。

そう思い、身を乗り出してしまうほどの没入感、そして臨場感でした。

最初は役者さんの演技に釘付けで余裕がなかったわたしも後半になると色々なところに目を配るようになりました。

義太夫(ナレーション)さんの素晴らしい語り、和楽器風のアレンジが加わった楽曲、附けの迫力、黒衣さんの素早いサポート、名もない役の方たちの動き。艶やかで、遠目からもわかる素晴らしいお衣装。

そのどれもが欠けてはいけない演出で、役者さんたちを引き立て、けれども主張しすぎず観る人の心に残るもの。

そうしたそれぞれの演出は
観ているその時は役者さんに集中しお芝居の虜になっているのに、見終わった後には自然と「あれすごかったね」と思い出すのです。

わたしは特にシドが出てきた際の義太夫さんの語りが好きで「リュックあたふた~」の部分と「スピ~ラにす~もう!」がすきでした。

シーモアァァアアアアアアア!

今回後半はだいぶ真面目なことを書いているのですが、ここだけやたら情緒不安定なのでゆるしてください。

シーモアとユウナの結婚式の話です。エンダーーーアァァァア

ユウナの白無垢が美しいとか、鎖の上を滑ってるティーダに笑っちゃったとかそんな話はどうでもいいんだよ!!!!!(情緒)

ユウナとシーモアのキッッッス!!!!!!!!!

劇場に3回足を運んだわたしなので見逃しませんよ。

1.2回目のキスは「んちゅう」くらいの気持ち悪い一瞬のキッスだったのですが千穐楽スペシャルでは「ンチュ、ブチュ、ブッチュ、ンチュゥ」と10秒はキスをしていました。あれは絶対大人のキスだった。

そして全力で拒否をするユウナ。
気持ち悪すぎてクソ笑っちゃったじゃん。もう本当に気持ち悪くて好きだよシーモア。愛してる。

そして挑発するようにニヤリとしてティーダたちをあざ笑う。
よき~~~~~~~~~

そんでその後のさ~~~~~
原作で一番好きだったシーモアがいるんだけどさ~~~~

キッスしたあとに容赦なくティーダたちを「殺せ」っていうシーンがあるんだけど、その「殺せ」がさ~~~好きすぎたんだよな~~~~

シーモアがユウナを連れ去る姿も本当にキレイで「こいつもう俺の女やから」感がすごい。

まあもう結婚しちゃったしね。仕方ないよね。
もういっそここでしあわせになってくれてよかったよ。

頼むよ。

わたしはシーモアガチ恋勢だけど夢女子ではないんだ。
シーモアがしあわせになってくれればそれでいいんだよ。(母ポジ)

あとさりげなくベベルの傭兵たちがみんな銃を持っててなんでもありなのもすきですね。ベベルにはもはや教えなんてものはねえんだよ。

そしてこの後からユウナはエボン式のお祈りをしなくなる。
そんな些細なところから、エボンへの疑心暗鬼が伝わってきます。

世界一ピュアなキス

口直しです。
当時CMにもなったあのシーンです。

ユウナとティーダが心を通わせる場面で、ふたりの美しい舞いと幻想的な風景、そしてあの有名な楽曲「素敵だね」が観客の心を現実ではないどこかに泳がせます。

永遠にも思える一瞬とはこういうことをいうのでしょうか。

ずっと続けばいいのに、終わりが見えている幸せ。

手を離せば終わってしまうからこそ、湖の奥深くで手を離してしまったふたりはまたてのひらを合わせ、もう迷わないと誓うような。

そんな悠久で刹那の時を通わせ、ふたりが心を通わせる。

原作でも泣かなかったわたしがここで涙してしまったのは、既にわたしがプレイヤーや観客という括りではなく、この物語の登場人物の一人になっていたからかもしれません。

ユウナレスカ戦

また後半見せ場のひとつであるユウナレスカ戦では

「ひとりだけ女の人がおる!」

と驚くほどの女方さんと出会いました。
本当に美しく艶やかで、それでいて力強く不気味。

女方さん特有の弱さやしとやかさ、線の細さがない。
リュックやルールーとは異なる人間味のないお芝居。

この時にアーロンが「さあどうする!!!!!」
めちゃばかデカイ声量ばぐった声で叫ぶのですが本当にビくぅ!!!!ってなった。

中村獅童さん声量ばぐってるよ(褒めてます)

そこで一気に観客を引き込み、緊張感が増していく。

ここまで会場全体で旅をしてきた我々は
スピラを知り、スピラに住む人々の想いを知り、ティーダたちの想いを知っています。

そこにいる全ての観客の意思はかたまっており、いざ物語を動かそうと決意するのです。

ここでアーロン✕ユウナレスカの戦いがあるのですが、ここも本当に素晴らしく後半の見せ場のひとつでした。

絡みつく大蛇は果敢な動きで、挑発するアーロンの勇ましさ。
そして強大な敵にひとりで挑もうとする強い決意。

ユウナレスカは鉄杖を持ち、大きな動きこそしないもののいかに強大な敵かが表情と手の動きだけでわかります。

わたしは劇場に三度足を運んだので近くからも遠くからも見たのですが、オペラグラスなしで遠くからみてもその迫力は素晴らしく、表情が見えなくても感情がみえるのです。

あれが体全体で、魂で芝居をするということなんだろうな。

その後激闘の末ユウナレスカは倒されてしまうのですが最後に「ゼイオン、許して…」と言い残して去る時の悲しさがスッと心にしみわたります。

ユウナレスカはティーダ達にとって最終的に「悪」となってしまっただけで、彼女は彼女なりの正義で世界を救おうと足掻いていたのでしょう

愛する人と自らの命を捧げてまで、長い年月をかけて世界を救おうとした彼女たちです。そこにあったのが悪意だけだったとは到底思えない。

ザナルカンドで孤独に生きるうちに、多くの希望が絶望に代わる瞬間を見届けたことで「変わらぬことこそが平穏」だと思ってしまったのも可笑しくありません。

そして自分やゼイオンがここに居る意味を正当化して、自分に言い聞かせたかったのかもしれません。

ゼイオンや自分が命を投げ出して世界を守ろうとしたことに、意味はあったのだと。

そして世界は救われているのだと。

シーモアの最期


ここまで、割愛してきましたがシーモアは一度ユウナたちの手により倒され、死人と化しています。

彼の強い想いは”復讐”を遂げるまで終わりません。

シーモアはあのプレステのボタンのような原作まんまの衣装を着て指をうにょうにょさせて仮面をかぶっています。
いかにも怪しく気持ち悪い姿。だいすきです。

ここで彼はティーダとアーロンのめちゃかっこよい一撃により倒され、ユウナに異界送りをされてしまうのですが、最後はそれは綺麗に、光に包まれて消えていきました。

今回のFFⅩの見所のひとつに、シーモアの生い立ちがあります。

原作ではそう多くないシーモアの過去についての描写がFFⅩ歌舞伎では色濃く描かれており、彼が復讐に取り付かれる経緯を知ることができました。

幼少の頃から幽閉され母しか頼る存在がなかったシーモアですが、父にその母まで奪われ、母は自らがシーモアの究極召喚になることを選ぶ。

それは母を失う絶望の淵に立たされたシーモアにとって「父の名誉のために死ね」と言われたのも同然であったのではないか。

そして究極召喚となりシーモアの傍に一生添い遂げることになった母ですが彼にとってはもはやそれは母ではない。

そんな状況で父の事を「母を殺し、己を迫害した男」と捉えてもなんらおかしくはありません。

その後世界を恨みスピラを滅ぼそうとする彼にとっては、自分の味方はおらず何の価値もない世界。
そして自らの価値を感じない世界は もう必要なかったのでしょう。

けれども、そう強がったシーモアもやはり寂しく、苦しかったのでしょう。

ユウナを利用しようとしていたとはいえ、シーモアは無意識のうちに母の面影を求めていたのかもしれません。

この時素直に「助けて」とひとこと言えていたのなら、シーモアに救いはあったかもしれません。

情に厚いティーダや、無限の可能性を信じるアーロン。世界を救いたいとするユウナなら彼を助ける方法を懸命に考えてくれたでしょう。

けれどもシーモアにとってこの世界に希望はなく、絶望しかない。
だからこそ誰かを信じる事も、助ける事もできなかった。

そう思うととても哀しく、シーモアもまた母の死を切欠に父を殺し、世界を滅ぼそうとする「死の螺旋」に囚われていたのかもしれません。

召喚獣

いよいよ大詰め。召喚獣戦です。
ここの長唄と義太夫さんが本当に素晴らしく、ここの音源がとにかく欲しい。お願いします。

召喚獣ひとりひとりの動きが特徴を捉えており、イクシオンの軽やかな動きや勇ましいイフリートの姿、ヨウジンボウのお着物にいるダイゴロウも素敵だったな~。

その後見た毛ぶり(ヘドバン)も本当に優美で力強くて格好良かった。

召喚獣戦の勇ましさ、そしてその後の舞いによる儚さがこのあとの展開を思わせます。けしてハッピーエンドとはいかない悲しい結末。

世界は救われ、物語は続く。

けれども終えてしまう夢もある。
彼らの旅は静かに幕を閉じ、幕は閉じます。

カーテンコール

さんざん泣いた後ですが、ここで情緒ぶちこわれですゆるしてください。

今回3回席をとったのですが、

1回目は遠い席(友人と参戦)、2回目は近い席(一人参戦)、3回目は遠い席(父と参戦)でした。

1回目はあまり誰も降りてこなくて、そうだよな~~遠い席だもんな~~~で終わったのですが

2回目。死ぬほど近かった。

目の前20cmの距離を主役級が歩いて行った。うそだろ????
近すぎて顔も見れなかったし、息止まった。

ユウナレスカさんやユウナさんのお顔がうつくしくてびっくりした。女方さんだしお化粧めっちゃ濃いんだろうな…と思ったらそんなことないし、肌きれいすぎてうそやん。

あんなに濃いお化粧してるのに????????

うそでしょ??????
アーロンさんもシーモアさんも近くに来たのに全然お顔見れなかったのを全力で後悔する。

ていうかこんな近くで芸能人見れるのって物凄い事では…????
これが金の力か…(SS席)

3回目。奇跡が起こる。

原作を知っているお父さんにどうしても一緒に見てもらいたかったのでチケットをプレゼントすることにした。

千穐楽。二人分のチケットでひよってしまい一番遠いお安い席にしました。

折角の千穐楽なのだから近くにすればよかったな…と後悔したけど、チケットをとれただけでもよしとしましょう。

普段はクールフェイスであまり興奮しないタイプの父ですが珍しく饒舌になり、昔話をたくさんできてたのしかったです。
でもカーテンコールはなぁ~~~

遠いからきっと会えないな~~~と思ったら

うそやんみんなおる

幕が開いたら全員いた。

これまでは主要キャラクターしかいなかったのですが、さすが千穐楽スペシャル。召喚獣もみんなみんないたうれしい……!!!!!

わたしは写真に撮るよりも目に焼き付けたいタイプなので、お写真は撮らなかったのですがめちゃくちゃうれしくてわ~~~~~!!!!!!!

ってなってたらまさかの一番遠い席までアーロンとシーモアがきた。

千穐楽すごすぎんか???うそやん????
近くて手を振る姿~~~ふたりがニコニコしてるだけでうれしい。
ほんともうみんなしあわせになってくれよ…たのむよ…。

最後にジェクトが子ティーダを抱っこしてる姿がえもすぎるんですよね。もうほんと、しあわせになって(語彙)

わたしは全く見れなかったのですが、シーモアさんが最初なぜかキス顔で登場したり、アーロンが投げキッスしてたらしくて見逃した自分を3回くらい殺めました。

ツイッターでみかけたシーモアさんのカーテンコールキス顔にめちゃくちゃ笑ったんだけど、さすがにユウナもこれに10秒キスされたらぶちぎれたくもなるわ。自害したくもなるよ。かわいそうに…(羨ましい)

アーロンの投げキッスはうっかり喰らったらガチ恋になってたかもしれないからあたらなくてよかった。(悔しい)

ぶれぶれ老師

目の前に来てくれたことに満足をして写真を全く撮っていなかったわたしですがお父さんが「お前、こいつが好きなんだろ」と言ってぶっきらぼうに写真をくれました。

ぶれぶれで撮れたシーモア老師。父の愛を感じた。
ありがとう…。いつの間に撮ってたんや…。

そして役者さんの話をしていた時に「お顔はワッカさん(橋之助さん)が一番イケメンだった~」といったら「顔だけでいったらシーモア(松也さん)だろ」と言われて


「は????シーモアは気持ち悪いのが良いんじゃん😡😡😡」


というクソ面倒くさいぶちぎれをかましたのはわたしです。

気持ちの悪いシーモア(松也)さんが好きなので、もし次の舞台で格好良い松也さんを見たらまた情緒が狂うかもしれません。
クソ面倒くさオタク。

このあと前半でフラグを立てた「役者のアクスタなんて誰が買うんや~~~」をしっかり回収してアーロンとシーモアの役者アクスタとブロマイド買いました。

長年インターネッツに住み着いていながらもオタクグッズを買ったことがないわたしにとってはじめてのアクスタ&ブロマイドです。

しょうがないじゃん……シーモア担なんだよゆるして……。


という訳でFFⅩレポートはここまでとなります。
かなり長くなってしまいましたがお付き合いいただきありがとうございます。

ここですっかり歌舞伎にはまってしまい、次は本物の歌舞伎(古典歌舞伎)も見に行ってみたいなと思った次第で、この後すぐに歌舞伎座デビューをしに、「新・陰陽師」をみにいきました。

そのレポートは次の記事でかきたいと思います。
ながい記事となりましたが、どうかみなさん

FFⅩ歌舞伎の映像作品をみてください。

「FFⅩ歌舞伎 レンタル」とかで適当に検索したら出てきます。
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だけどそれよりもFFⅩ歌舞伎をみてください。
どうぞよろしくおねがいします。

当時のTwitterでかいた当日レポート(新鮮)





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