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草の根広告社/秋谷日記(ニコニコチャンネル復旧までの臨時更新)

2015年より草の根広告社を月水金配信させて頂いておりますニコニコは
大規模なサイバー攻撃を受けており、
サービスを一時的に停止しております。
そのため、毎週月水金に予定しております配信については、
復旧の目途が立つまでは
こちらでの公開とさせていただきたく、ご理解のほど、お願いいたします。
ニコニコに関する詳細はこちらのお知らせよりご確認ください。
https://blog.nicovideo.jp/niconews/225099.html

なお、2024年6月分・7月分のチャンネル入会費に関しては、
ユーザー様への補償の予定も告知されております。
補償方法などの詳細は、ニコニコ公式からの続報をお待ちください。
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https://blog.nicovideo.jp/niconews/225099.html

「ちょっとだけ、海に行く」

 夕暮れ時になるとパソコンを閉じて、ちょっとだけ海に行く。
「宿題終わった?」
「うん、終わったよ」
 娘を誘って、ちょっとだけ海に行く。
「縄跳び持っていく?」
「そうだね」
 縄跳びだけ持っていく。娘には娘の。ぼくにはぼくの縄跳びがある。
「ごめん、その前にお風呂の支度しとく」
 浴槽を磨いて、お湯を張っている間に、ちょっとだけ海に行く。
「いってらっしゃーい」
 そのタイミングで妻はパソコンを閉じて、夕食の支度を始める。

 海岸の入口に立っているカーブミラーの下で縄跳びをする。娘が多様な飛び方を見せてくれる中、ぼくは淡々と前飛びだけを続ける。3分を3セット。縄跳びなんてずいぶんやっていなかったけど、この一年でだいぶ様になってきたとアスファルトに伸びた自分の長い影を見て思う。何事も日々の積み重ねだと痛感する。他のことも頑張ろう。

 汗ばんだ身体で波打ち際をただ歩く。暑いときはTシャツを脱いでしまうこともある。海だから気にならない。まだ冷たい海水を撫でた潮風と裸足の足先に打ち寄せる波が火照った身体をクールダウンしてくれる。
「これママにお土産」
子犬のように後をついて来ながら娘はビーチグラスを拾い集めている。

 娘の学校の上級生たちが浜辺を駆け回っている。地元の女子高生たちが制服のまま堤防に腰掛けてガリガリ君を食べている。小さな子供とお父さんが波打ち際で水遊びをしている。砂浜のベンチに腰掛けて老夫婦がビールを飲んでいる。

 今日も日が暮れていく。できたこともあれば、できなかったこともある。それでも日は暮れていく。海辺の夕暮れは凪の海のようにやさしい。できた人にもできなかった人にも平等にやさしい光が降り注ぐ。オレンジ色に染まった海面に降り注ぐ光が宝石のように煌めいている。ここで生きていて本当に良かったと感じる。ここじゃなかったら壊れていたかもしれないと少しだけ怖くなる。

 だからちょっとだけ、海に行く。

 浜辺から134号線に続くゆるい坂道を昇っていく。帰ったら熱い風呂が待っている。冷蔵庫で冷えたビールが待っている。妻が作ってくれるおいしい夕ごはんが待っている。大切な人たちが元気な姿で一日の終わりを迎えられていることに感謝する。

 今日もちょっとだけ、海に行く。

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