馬鹿

おはようございます。きょうも書いていきます。

「メディアに出ると馬鹿になる。」これは僕が新入社員の頃、トレーナーが漏らしていた言葉だ。この意味がずっと解らなくて、10年と少し経った今、ようやく解りかけている。

きっかけは、脳科学者の茂木さんの「ポジション」と「パフォーマンス」の話を聞いたことだった。茂木さんは「ポジション」を「その人が今どんな扱いを受けるか」とする。「パフォーマンス」を「その人が、今、実際に何をしているのか」としている。

「ポジションは、過去の実績に基づく場合もあるし、取り立てられた場合もあるし、あるいは全く偶然のこともある」と茂木さんが述べているように、「ポジション」とは、過去に理由を求め、外的であり、偶発的でありうる。

冒頭の「メディアに出る」というのは、「メディアの取材を受ける」ということを指していたのだが、これは10年前の「ポジションを得る」という状態だった。初めは、過去の実績をもとに、メディアが取材にやってくる。だがそのうち形骸化して、他が取材しているからという理由だけで、メディアが取材にやってくるようになる。(何をした人かも知らずに、サインを求める行為と近い。)

すると「その人が、今、実際に何をしているのか」を、まわりも本人も気にしなくなる。「ポジション」があると持ち上げられて、語れてしまうため、「今」にフォーカスするのを、日常生活で忘れていくのだ。「馬鹿になる」所以である。

トレーナーは取材を適宜、断っていた。過去や外部や偶然に、自らの価値を求めなかったのだろう。毎日、手を動かしていた。

「ポジション」は大小様々、至る場所に潜んでいる。今なら、「メディアに出る」だけでなく、「SNSで有名になる」「コミュニティをつくる」など、多様化が進んでいる。「パフォーマンス」をなおざりにしないために、いま何をするのか。

きょうも読んでくださって、ありがとうございました。よい一日をおすごしください。

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