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クリスタルがクリスタルである理由(前半)

7月のシドニーといえば、冬の真っ最中である。今朝の気温は、6度だった。
ノースシドニーは、海沿いの高台に位置するので、ビルの谷間風が強く、とびっきり寒く感じる。雪が降るのではないか?と勘違いするほど、今年の冬は、寒さが厳しい。

早朝7時、僕は、お気に入りのカフェLa Luceに入り、ラテを注文した。まだ、外は薄暗く朝の早いオージの人影もまだまばらだ。

Miller通りに面した全面ガラス張りのカフェから、通りに目をやると、まるで、世界が映画の様にキラキラと輝いて見える。

時折バスがやってきては、様々な肌の色をした人々を降ろしてゆく。

パッリットしたスーツを着こなしている、オージのビジネスパーソンは、おそらく金融関係の仕事をしているのだろう・・と想像を巡らせた。

Cafe La Luce

時間(とき)が経つのは早いもので、僕が壮大な一瞥体験をしてから、8年も経過した。

”人生は、慈愛に満ちた映画であり、私達は永遠の観察者だ・・”と僕は、悟った。

せっかく、神は神秘のベールの中をチラリと覗かせてくれたのに、僕は、また小さな自分に戻ってしまった。

「やれやれ・・」と僕は、つぶやき、ジーンズにある小さなポケットにクリスタルが入っていることを確認した。

僕のポケットには、いつも2つのクリスタルが入っている。

小指の大きさほどの、レムリアンシードクリスタルと、親指の先のサイズ程のモルダバイトだ。

彼等とは、7〜8年程の付き合いだ。クリスタルを通して学ぶことはいつだって、ある。

僕がモルダバイトを手に入れたのは、確か2016年のことだったと思う。

モルダバイトが僕に教えてくれたことは、2つあった。



僕が、モルダバイトを手にした理由は、あるサイキックの女性が、あなたは宇宙由来の魂だと教えてくれたからだ。

当時は、半信半疑だったけれども、過去生の浄化を進めるにつれ、まんざら嘘でもないな、と思う様になった。

2016年の1月のある日、僕は、行きつけのクリスタル・ショップにいた。

オーナは大柄のオージ女性で、名前をシュマラと言った。シュマラは、スピリチュアル・ネームだと教えてくれた。

「モルダバイトありますか?」と僕は、シュマラに尋ねた。

「あるわよ。希少価値が高いからね。いい値段するわよ」と彼女は言った。

シュマラは、ジャラジャラとした鍵のチェーンを引き出しから取り出し、

指輪やネックレスの入った、ガラスケースの鍵を開けた。

初めて目したモルダバイトは、僕にはプラスチックに見えた。ゴツゴツしたその肌触り、そして、深い緑色は、まるでゴジラの肌の様に思えた。

値札をチラリとみて、その高額な値段に僕は、驚いた。

「こんなに値段が張るんですね?」と僕は、目をまるくしてシュマラに尋ねた。
「もちろんよ。モルダバイトは、金よりも高価なのよ。毎年、値段が上がっているから、買うなら今よ」とシュマラは言った。

「触ってもいいですか?」と僕は、シュマラに尋ね、両手の中にモルダバイトをそっと置いた。

すぐに、僕は、意識が拡大するのを感じた。意識が、宇宙の外にまで拡大した様に思えた。

「カオルの手の中で、モルダバイトが脈打っているわよ」とシュマラが言った。僕も、そうだと思った。

随分高価な買い物だったが、僕は、思い切って購入することにした。

僕は、さっそくモルダバイトをジーンズの、小さなポケットにその子をいれた。意識がぐんぐんと、拡大してくるのがわかった。

「これは、凄いぞ」と僕は呟いた。

少し歩いたところに、大きな国立公園がある。僕は、いつものベンチで軽く瞑想することにした。

樹の皮が剥げ、白い肌が顕になっているユーカリの木の枝に、クカバラ(カワセミ)が止まり、空を見上げていた。

軽く目を閉じると、僕の意識は拡大を続けた。どこまで、意識が広がっていいった。

宇宙全体、波打っているのが分かった。まるで、世界が呼吸をしている様だった。

そして、僕は、気がついた

「あ、1つしか無い・・」と僕は、思った。

唯一の意識、唯一の命、そこには境目は無かった。

僕たちは、小さな個人の肉体と、自分の意識と、私のエゴを持っている。

ところが、どうしたことだろう・・

”世界に意識が1つしか、ないことに気がついた”

”宇宙には命が1つしか、ないことに気がついた”

”唯一の意識を僕たちは、共有していたのだ”

”唯一の命と僕たちは、いつも伴にいるのだ”

だから私達は死ぬことはない。永遠の魂はいつも僕たちと一緒にいるのだ。

そんな、気づきをモルダバイトが僕に与えてくれた。

水面に浮かび上がってくる様に瞑想からゆっくりと抜け出してくる。

ところが、どうしたのだ?突然、心臓の鼓動がバクバクを脈打ち、パニック発作が始まった。

全身の氣の流れが、滞ってしまったかの様だった。僕は、大慌てでポケットに入れたモルダバイトを取り出して、バックパックに放り込んだ。

「ふう、あぶない・・」モルダバイトは、とても強力なクリスタルなのだ。

当時僕の身体は、とても敏感で、空を見上げるといつも、神様の微笑みを感じることが出来た。手を伸ばせば、すぐに、届きそうだった。

新しいクリスタルを手にいれても、自分の波動に馴染ませるのに1週間は必要だった。

まるで、新調した革靴が自分の足にピッタリくるまで、クリームを丁寧に刷り込んでいる様な感じだ。

ユーカリの木の枝に止まっていた、クカバラは、仲間を見つけたのか、空高く舞い上がった。

私達は、唯一の意識を共有しているのだ・・とモルダバイトは教えてくれた。

カオル

「クリスタルがクリスタルである理由 後半に続く・・」




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