【赤】ライブレポ 2024年4月21日(日)ヒグチアイ band one-man live 2024 [ 未成線上 ] 東京 EX THEATER ROPPONGI
ヒグチアイnewアルバム未成線上を携えて始まったこのツアー。バンドワンマンあり、ソロあり、追加公演あり、そして海外公演ありと、海を越えた活躍を始めたヒグチアイ。まさに大航海。今回のような大きなステージの後、すぐ次の週末に広州・上海とあるのだから、身体が心配になるのが親心。
しかしそんな心配は御無用。
「上海もお近くですから是非…地球儀で見れば」という一笑いを添えて、元気にツアー中なことを感じさせてくれた。更にこの日のパフォーマンスは彼女の今の充実ぶりを示していて、親心はただの杞憂へと姿を変え、帰り道には煙のように消えて無くなっていた。
六本木EXシアターと言えば2022最悪最愛発売直後にバンドワンマンライブが行われた会場。激烈な参加欲求を抑え込んで、出張先の宿舎からヒグチ大好きズの仲間のLINEやSNSを楽しみつつ、ただただ最悪最愛を聴きこんでいた日々を思い出す。最近未成線上の特典Blu-rayで、あの頃の妄想が補完できたのは僥倖で。豪華なアルバムが発売できるのも、2022からの活躍があったからこそのものだと思うし、そういう意味で自分にとっての六本木EXシアターというのは特別な会場になっている。
行くのはこの日が初めてだけど。
会場到着後、写真家ヒグチアイの展示を拝見しつつ、直前に少しだけ傾けたお酒の影響もあり、大好きズとの会話もそこそこに着席。着席して少し唸った「うん、これは良い席」想像以上にヒグチアイと正対していたし、王道と言うか、何と言うか、初めてライブ見るならこのくらいの席が良いのでは?大相撲で言うところの正面マス席と言える席。ヒグチアイはもちろん、バンドメンバーもフラットに見られる。そこで見たかったんだろ?と神様から与えられたような気がして感謝。その裏で同行の家族には自分の引きの強さを熱弁。
開演前は波の音が会場を包む。大航海そのものというよりは、大航海への出航前の静けさを思わせる優しいさざ波の音が、期待に胸膨らませるお客ちゃん達に優しく語り掛ける。
大航海への準備はできてる?
バンドメンバーが揃い、出航の準備が整う。あとは我らが船長ヒグチアイの登場を待つのみ…
祈りの前奏が会場に鳴り響き、大航海タオルを掲げたヒグチアイが登場!全身を赤に身を纏い、ステージ中央に歩を進める僅かな時間が、再会の喜びを分かち合う永遠の時間。何度来てもこの時間がたまらない!そして
船長、今日も元気そう!
彼女の名言「元気が無くてもまた会おう」は我々サイドの話であり、実際問題は公演だから(今日はアイちゃん元気なかったね)というのは許されないわけで。元気なくてやりたくない時も絶対あっただろうし、カラ元気でフラフラになりながらやりきった時もあるだろうし。元気が無くても続けてきたから到達できた今の場所。ソールドアウトが当たり前になってきた最近。客席を見渡して感慨深くなったりするのだろうか。
祈り。夢の続きにある君への応援歌。前に進む元気をくれる曲というよりは、自分は年齢的に「自分もこんな風に声をかけてあげたい」と思わせる曲。応援したい対象の子に対して、幾ら物心両面で支えていたとしても、肝心の勝負所では結局祈るしかなくて。祈られてばかりだった時期を通り越して、祈る側に回った時に染みる歌。
そしてタオル振り待機をしていたが、船長がやらないと皆なかなか派手にやらないところがヒグチアイファンの奥ゆかしさか。
だが、それがいい。
自販機の恋。自分がそうなのだが、大航海を聴くときにここから聴き始めて、このホシよまでがワンセットのヒグチ民は多いのではないだろうか。発表時には「安心して聴いてもらえる恋の歌」というご本人の保証書がついた歌。聴き進めても不穏な空気が漂わずに、そのまま歌の終わりまで進んでいったことに心から驚いたとき、自分は完全にヒグチアイの沼にはまってるなと思った次第。
今回のステージ照明は白いライトが中心。ヒグチアイは全身赤。バンドメンバー三人とも黒。赤のヒグチの周りを白い閃光が駆け巡っていたのが、今回の照明の一貫した印象。昨年末の[反応]の凝りに凝った背景も素敵だったが、今回のヒグチアイ際立ち照明も良き。
どっちがいい?好きなの教えて。
どっちもいい。
そしてお待たせしました。お待たせし過ぎたかもしれない「わがまま」の前奏。この日序盤はヒグチアイから立って座っての明確な発注があり、分かりやすく立ててよかった。当然この曲は全員起立で、全力手拍子、全力熱唱。自分自身もこの歌の為に六本木へ向かったと言っても過言ではないので、最高に堪能した歌となった。考える前に動けたことをご報告したい。
※詳細は、この記事のあと発射する裏ライブレポ【青】にて。
品ぞろえ的にかもしれないが、このライブはスマイル成分多めの凄く良い表情で歌ってくれていたのが印象的で。
最後にひとつ。今までのヒグチアイ的な恋愛の歌だと、この歌詞の通り「死ぬまで消えない傷になれ」の部分を掘り下げていたことが多かったけど、その時期の先にいる自分を歌っていて。歌詞に引っ張られてか、歌っている楽しそうな表情さえも、この歌の主人公の吹っ切れた女子のように見えてきた。ヒグチアイ。元気で良かった。
そして最後のフレーズが印象的「どうかおしあわせに」
わがままの「手の届かないところにいっちゃって」このホシよの「このホシよ滅んで」最後の一行に決別の一言を添えていて。人はこの三曲を決別三部作と言うとか言わないとか(言わない)
当然この後に来るのは、アルバムの曲順どおりに「このホシよ」と思いきや、恋の色。大変申し訳ないが自分はドラマを見ていない為、この歌に対する解像度が低いと思っている。しかし恋そのものに対しての解像度も低いので、もうその解像度の通りに、ぼんやりと聴けばよいと思ってる。
恋させたいなら恋ばっかりしちゃだめ。
という歌詞が好き。好きというか本質を突いていて感心する。恋の部分を違うことに置き換えて考えてみたときに、腑に落ちた時が何度かあって。この歌を生んだヒグチアイの思うところと、大きく外れた向き合い方をしている(であろう)がそこはご容赦願いたい。
ご容赦ついでに、この日は昼過ぎから灰色に雨に濡れた東京。洗濯物をマンションのベランダにほっといて出かけてしまったが、降りが弱かったためか無事だった。少しでも濡れていれば、この歌の歌詞のように「いつか乾くから今日は眠った」と結べたのだが。無念。
ここで着席して会場を包む熱がクールダウン。このホシよ。ここはソロで。綺麗なメロディが心地よい歌で、聴いている時に心底思った。ヒグチアイ…歌うまいな…最近の曲はライブで歌うことをイメージしてつくっていることが多いようだが、こうしたクールダウンの一曲もイメージしていたとするならば、これはやっぱりヒグチ凄いな。やられたなと。それほどバンドワンマンの中でのこの一曲は際立っていた。
際立つと言えば「このホシよ滅んで」の8文字の存在感も凄い。お笑いで言うところのワンアイデアというか、有ると無いでは歌の解釈さえ変わってしまう。このフレーズは最初に思いついたのか?恋の歌を書いているうちに何かが降りてきたのか?この辺は一度ご本人に伺いたいところ。さすが天才美人文豪写真家SSWヒグチアイ。
そしてMCで「私を苦しめた」とまで表現する進撃の二曲。いってらっしゃい→悪魔の子と続く。ヒグチアイが苦しんでいる頃、逆に我々ヒグチ民としては「これで売れた!もうバレちゃったからライブも今まで通り買えないかも!?でも嬉しい!アイちゃんおめでとう!」
お気楽である。
我々はそれで良いが、悪魔の子入り口でヒグチアイにハマりかけている諸氏に対して苦悩があったことは容易に想像できる。私などは「新規のお客ちゃん?アルバム樋口愛はじめナンボでも良い曲あるじゃん。沼一直線だな。余裕余裕、売れて良かったねー」
お気楽である(二回目)
こればかりは自分自身が進撃前のヒグチ民なので、新規ファンの気持ちを分かろうとしても分かるはずもないし、お気楽路線で行こうとは思う。いってらっしゃい→悪魔の子。海外までその名が轟いたヒグチアイ渾身の二曲。しっかりと堪能させてもらった。
誰でもない街。この歌を最初に聴いたとき、前奏で(あれ?間違えて再生しちゃったかな?)と、鍵をかけ忘れたトイレのドアを開けたときのような気まずさがあった(いや、これで合ってるな…)と、聴き続けたら確かにヒグチアイ。曲の終わりまでキョトンしていた記憶がある。どこか懐かしい香り漂う一曲。迫力あるドラムをライブで聴けて良かった。
今回のライブのMC。いつものことながら決定的な記憶力の劣化に加え、記録は一切できない中でおぼえているのは限界があって。印象的な話はいくつかあったが、どの曲の前とか後とかは全く思い出せない。
「自分も他人の幸せを喜べる人間だった」
では今までがどんな人生だったのか?は非常に心配になるし、気になるところだが、結論現在はこうなのであれば喜ばしいことで。ヒグチアイはどんなに売れても世界平和とか歌い出したりしなそうなので、らしい歌をずっと聴かせてくれることに対しての不安は全くないが、違う心配な面はある。この調子で頑張ってほしい。
冗談でなく本当に。うん、この調子で頑張れと思いながらMC聴いていた。どの立場だよ、という話ではあるが。
前線。ライブでの前線遭遇率は高い。悪魔の子以降の層に伝わりやすいことを狙っているのか、そうでなくても代表曲であることは間違いないであろう。演奏時のアクションが大好物なので、良い席で見られたことが嬉しい。そしてやはりオフィシャル先行で買った層が集結しているステージ近辺席。並んだ背中が喜んでいて、いつもライブ中に心で呟く一言をこの日も。
「みんな、前線好きねぇ」
東京にて。白いライトに目が慣れた頃に、街を思わせる背景が美しかった。東京というワードが何度も美しい声で聴こえてくるこの歌。背景と共に世界観にどっぷり浸かった時間となった。東京生まれ東京育ちとしては、東京の歌を二曲もつくってくれているのは有難い限り。
オリンピックが近付いて街が変わりゆく中、今度は大きく時代がかわる。予期せぬ形で。
そしてmmmが生まれた。
mmm「みんなで歌える曲をつくりました」と添えて。バンドの時のmmmが最高なのは、あの頃より前進していることを感じられるから。初披露のライブでは観客がフェイスシールド。200人の部分は当日の感染者数にして歌ってた。ラララではなくmmm。まだ記憶に新しいこれらのことも、これから忘れられていくかもしれないけど、我々がコロナ禍という戦時下にいたことのアカシであるこの歌。ずっと聴いていたいし、歌っていてほしい。それには祈りだけじゃなくて行動にも移すべき。
思い立ったらすぐ行動。
大航海。ヒグチアイがそう考えているかどうか以前に、聴いたら誰もが「ライブで!」と思うであろう曲が終盤に。時間と曲数的に終盤のクライマックスと認識した会場が一体となって、ステージ上のパフォーマンスに目と心を奪われながらも、それぞれのリズムで身体を揺らす。
詩の話。何様なんだ無様じゃないかの詩に反応する。男なので爪と顔は手付かずだったが、背伸びしてブランド物を持ったりした時代はあって。成し遂げてないのに…無様で恥ずかしい。いま、成せたのかどうかは別の話だが、身の程を分かっているので無様ではない(はず)
などと、脳裏をよぎった頃に大好きな部分に到達。誰も想像できない~その声でひっかけのアップテンポな部分。いつも気に入って聴いてる箇所だけに生遭遇は嬉しかった。かっこいい。
この退屈な日々を。ライブのMCかインタビューか記憶が定かでないが、ドラマみたいな恋をしている時間より、当たり前の日常の時間の方が長い。そんな話をしていたと思う。
非日常を過ごさせてもらったこの日のライブ。大航海の幾多の冒険で心が揺さぶられ、船酔い気味の我々船員への治療薬のような。催眠術師がゆっくりと催眠を解くかのような。ヒグチアイから優しく「幸せな日常にお帰り。またおいで」と送り出されるような。優しく包んでもらえるような珠玉の一曲となった。ヒグチアイは、こんなおじさん包みたくないだろうが。
新曲。このライブレポお馴染み。あまり記憶が…(;^_^A
…の中でも印象に残ったのは、やめるなら今のような早いテンポでの音。あと歌詞でいつも自分が考えてることと酷似している部分(カバンの紐が切れたくだり)
記憶力に我ながら閉口するが、この第一印象を携えた次の遭遇が楽しみでもあるので、むりやり書かせてもらった。
というわけで楽しみにしていたライブも終わり、家族連れなので仲間たちとの挨拶も早々に家路についた。ずっと楽しみにしていたライブ。期待していた楽しみ以上の幸せを与えてもらった。今回の大航海たくさんの成果をおさめて無事に帰港である。
ありがとうヒグチアイ船長。
またの出航を楽しみに日常へ戻ります
香るエース。
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おや?
いつもと様子が違うと思ったそこの貴方。そうです。こちらのライブレポは
2024年4月14日(日)ヒグチアイ band one-man live 2024 [ 未成線上 ] 東京 EX THEATER ROPPONGI【赤】
となります。後日納品する
2024年4月14日(日)ヒグチアイ band one-man live 2024 [ 未成線上 ] 東京 EX THEATER ROPPONGI【青】
をお楽しみに!香るエースが無関係者席でライブを見た感想をカジュアルにお話します。みんな楽しみにしているライブ会場周辺グルメレポートもあるよー。
以上です。
真面目疲れた…
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