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小説

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青春もの、オカルティックなもの、山岳ものなどなどの小説を書いています。
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記事一覧

NOWHERE MAN

 一  梅雨の中休みの爽やかな風が窓から入ってきた。室内は風になびくレースのカーテン以外…

Kaoru
9か月前
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ウッフ・ア・ラ・ネージュ (後編)

(前編 https://note.com/kaoru906/n/n079bc357b912 )  6  不思議なことに翌日以降、夕…

Kaoru
11か月前
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ウッフ・ア・ラ・ネージュ (前編)

【あらすじ】  大学生の中原は東京のアルバイト先スーパーの臨時店舗である軽井沢店で勤める…

Kaoru
11か月前
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伝衣(でんえ) 

  一 ——ぎっ、ばたん。ぎいっ、ばたん……。  音が聞こえた。米搗蔵からの音であった。 …

Kaoru
11か月前
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スポラディックE層

(2022年度第31回岐阜県文芸祭 短編小説部門佳作賞受賞)   1  何かが細かく爆ぜている…

Kaoru
1年前
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定年の風景 (旧「ねじ花」)

(2021年度 第57回岐阜市文芸祭 一般の部 短編 市教育委員会賞受賞作品)   一 「定年…

Kaoru
1年前
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開鐘(ケージョー)

(2021年度第30回岐阜県文芸祭 短編小説部門秀作賞受賞)  1  最後の曲が終わったとき、十数名の聴衆は水を打ったように静まり返っていた。  演奏を終えた京極が両肩から力を抜き、笑顔を見せると、ようやく拍手が鳴った。それは決しておざなりなものではなく、演奏のあまりの素晴らしさに感極まったという拍手だった。  京極は僕の勤め先の取引先の社員である。先月、彼から「三線(さんしん)の演奏をするので聴きに来ませんか?」と誘いを受けた。  彼とは仕事と「沖縄」つながりで仲

プンパニッケルの予言

(2021年度第30回岐阜県文芸祭 ライトノベル部門入選作品)  1  朝の通勤列車の中、スマ…

Kaoru
2年前
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ジャンダルム彷徨

 (2020年 第29回岐阜県民文芸祭 入選作)   1  午前五時過ぎ、会社の仲間と新穂高温…

Kaoru
2年前
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青葉寒

一 とにかく、最初に買うべきものは炊飯器に決めていた。 その日、一九八〇年三月三十一日の…

Kaoru
2年前
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