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手紙5

体調を崩して仕事を辞めた後、「どうしたら立ち直れる?」とネット検索やら読書やらをして、ぼんやり過ごしていた。
その日々の中で、今までしたことがないことをしようと思い、まず『自分を好きになる』努力をしてみようと思った。


やってみて気が付いたけれど、自分が思っている以上に自分が大嫌いだった。
最初は最悪で『自分が好き』と思うだけで、反吐が出そうだった。
「どこに好きの要素がある?」「短所だらけで長所なんか見つからないクソ人間なのに」と物凄い抵抗を感じた。
細かいことは覚えていないけれど、とても嫌な夢を見て起きることが多かった。


でも、『自分を好きになる』ことは、三日坊主では終わらず、不思議と続けることができた。
たぶん、一番やりたかったことなのだと思う。


暇さえあれば「私は私が好き」と自己洗脳し続けた。
その結果、だんだんと「自分のこと大嫌いと思いつつ、ここまでやってきた自分は凄いかも」と、好意的に思えるようになった。
ナルシストな人が嫌いだったけれど、「自分ができないことができている。そう思えるって凄いな」と思うようになった。
「自分くらいは自分の味方になってもいいのでは」「自分の嫌なところに注目しているだけかも」と視点や考え方が少しずつ変わってきた。


視点や考え方が変わってくると、気付きも多くなってきた。


自分を好きになる努力をした後に読んだ今までの本は、全然世界が違って見えた。
読んでいるはずなのに、感動して涙が出てしまうほど、心に響いてくる。


視点が少し違うだけで、見えていなかった世界が見えてくる。
自分を好きになることを始めたのはここ数年の話なので、まだ「自分は好きに値する人間か?」と疑う心は正直に言えば時々ある。
でも、自分の未来が明るく輝き始めた気がする。


いやちょっと違うな。
今までは、ずっとサングラスをかけていた感じ。
今は、必要に応じてかけるようになった感じ。
自分で選ぶことができるのかと気が付いた。

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