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ボカコレを勝手に私物化してみた件

こんにちは!今回は以前のボカコレで私が取り組んでみた新しい試みについてお話ししていきたいと思います。

タイトルを『ボカコレを勝手に私物化してみた件』としてみましたが、これだとちょっと語弊があるかもしれません。
ご存じの通りボカコレにはリスナーの反応で決まる公式のランキングが用意されているのですが、このランキングを勝手に別に設けて、何者でもない私が一人の審査員として、私の独断だけでビビっときた曲を並べてその結果を公表してみる、という試みをやってみました。

名付けて
『勝手に決める!かおりPに刺さったランキング~ボカコレ2023夏~』
じゃーん!!
みたいな感じで。

これが募集要項↓↓↓

もちろん自分の曲が勝手に審査されるなんてよく思わない人もいると思うので、自薦という形でエントリーしていただいた方の中で決めています。

↓こちらが結果↓

当初は上位者のみ引用RTにてご紹介!という形を取るつもりだったのですが、予想外にエントリー数が多くてなかなか絞り込むのが難しかったというのと、リプ欄に吊るして固定した方が長い目で見てインプが増えると判断してこのような形に落ち着きました。後からじっくり見たいという人にも優しいですしね。

ここからは所感をお伝えしていきます。


なぜこんなことをしたの?

他の記事でもお伝えした通り、私は自薦は超肯定派です。
どんどん自分で自分を薦めてきてほしいんですが、ふと思ったんです。
これ、もしたった一人に認められるだけでいいランキングが別に用意されていたとしたら、同じ熱量で参加してくれるのかな?と。
そうすればたくさんの人に「聴いて!聴いて!」ってやらなくて済むじゃないですか。前評判も知名度も全く関係ないわけだし。こういう形式のランキングの方が喜ばれるんじゃないかな?と思ったのと、単純に私の好奇心が働いたというのが主な動機ですね。

さらに言えば、この形式の方が実は公平性が高いんじゃないかなと。
「いやそれだとかおりPの音楽の好みによるでしょ」という意見ももっともなのですが、今のボカコレを見てて本当にポピュラー性を伴った適切な評価がなされてるのかがまず疑問なんですよね。
本当に「いい曲だなー」という反応が積み重なって伸びてるんでしょうか?ということです。
そこで私はそこに一つの公平性を持たせて
・ワンコーラス聴いて「いい曲だなー」と思った曲から本ランキング入賞者や特別賞を選考していく(一次審査という形で選出)
・動画は観ない(先入観を無くすため)
・知ってる人だからといって贔屓せず、分け隔てなく公募する
という手法をとりました。

もちろん、私が勝手に作ったランキングで上位に食い込んだとしても、公式ランキングと比べてしまうとそこまで名誉なことではないのかもしれません。私自身のネームバリューが関わってきますので。有名音楽プロデューサーでもなんでもないし。誰こいつって話ですよね(笑)。
ですが、参加希望者はこちらの予想を遥かに上回る400人超え!!
当初は50〜100人程度かなと見積もっていたのですが、さすがに驚きましたね。そ、そんなにいるんだ〜って……もちろん嬉しい誤算ですよ。
もしかしたら、やたらめったら自薦していって意図せず私にたどり着いた方もいるのかもしれませんが……とはいえ一度やると決めたことなので、仕事の合間を縫ってワンコーラスずつ聴いていくことにしました。

いろんな曲を聴いてみた総評

さわやか夏系・病み系・個性的系…と三者三様

ここからはいろんな曲を聴いてみての総評に移っていきます。
どの曲も個性豊かで、Pさん一人一人の音楽のルーツを感じさせる作品ばかりでした。あとなんとなーく年齢・性別がわかっちゃうのはナイショで(笑)。

さて、小見出しを『さわやか夏系・病み系・個性的系…と三者三様』としましたが、敢えて大きく分類分けするとしたらコンセプトとしては主にこの3つのどれかに分かれるなーと感じました。EDMやボカロックなどの音楽ジャンルは置いといてね。

まずはさわやか夏系ですが……夏開催されるとあってやはり季節を感じさせるもの、花火やお祭りなどの風流だったり、夏の蒸し暑いイメージとは裏腹にサウンドに清涼感を盛り込んだ作品が多く見受けられました。
そういう作品からは、自分が自分が!というより、イベントのコンセプトに沿った内容を構築したり、ボーカロイドと一体となってシーン自体を盛り上げたい!という意志を強く感じましたね。音楽やボーカロイド自体に馴染みがない人でもこれがフックとなって親近感が湧く作りになっているなーといった印象です。

続いて病み系ですが……これは有名Pさんや歌い手さんからのトレンドが多く作用しているんじゃないでしょうか。曲調はマイナーかつクラシカル。中性的な歌声に攻撃的、自傷的でネガティブな歌詞……って感じの曲。コロナで塞ぎ込んだ世相を反映しているなんて分析もあるみたいですが、個人的にはフェスでの4つ打ち騒ぎが一旦終焉した後でもネット上で育つことができたカルチャーだと思っています。
とにかくトレンドに沿っているので、絶対伸ばす!!絶対成り上がってやる!!といった本人の気合いがサウンドに反映されている曲が多い印象でした。

最後に個性的系ですが……上の2つに当てはまらないものだったりします。なんかもうランキングとか関係ねぇ!俺は我が道を行くぜ!!みたいな曲。ウケや流行なんて二の次!自分はこういう音楽が好きだし理解されなくたって構わない!ボカロと一緒に自分の世界を表現するんやー!っていうアーティストタイプ。いや、私は好きですよ(笑)。ただある程度固定ファンがいる状態じゃないとこういういきなり初見さんが多く集まるような場所だと戦いにくいのかなーとも思ったり。やっぱりこれはみんなも好きだと思う!反応してくれそう!って作品こそ人に勧めたくなるものなので。ターゲットが狭いと普段の活動も大事になってくるんじゃないかなー、と。私は好きですよ(笑)。

とまあこんな感じの印象でした。
ここで私は優劣をつけるようなことはしませんが、全体的に賑やかな作品の方がウケがよさそうというのは感じました。いつも大体そうじゃないかな。憶測ですがリスナーに中間層が少ないから、クリエイター目線の人はミックスバランスや音圧に注目する、普段音楽にあまり馴染みがない人は心を惹かれやすい(動画でストーリー性を感じやすい、コメントで囃し立てやすいなど)といった背景があるんじゃないかなーと。憶測ですよ。

メロディーにもっとこだわりが欲しかった

ちょっとここからは音楽的な、ややカラいお話になってきます。何者でもない私ですが一応音楽垢だもんで。そのへんはご容赦ください。
まず、大体の曲に感じたのはメロディーが弱いです。
正直、ここで大多数の曲が一次審査を突破できていませんでした(体感8割)。弱いってどういうことかというと……A、B、サビ、どこもボヤけて記憶に残らない(刺さらない)→ざんねん!みたいな。これすごく多かったです。ごめん!
メロディーの強さなんて抽象的すぎて私のものさしで計っているに過ぎないんですが……ちょっと参考記事貼っときますね↓

具体的なことを言うと、付点音符の活用だったり、規則性による印象づけ、跳躍、休符(ブレス)、弱起、シンコペーションといったちょっとしたギミックなど、これいいメロディーでしょ?ていう説得力が欲しかったです。
あともっとロングトーンを活用した方が耳もグッと引き込まれますよ。「あーーーー」とか。たったそれだけで。
これ多分なんですけど、メロディーを後付けにして8分・16分のグリッドで探り探り打ち込んで作ってるんだろうなーというのを感じてしまいました。いいメロディーとは?という軸が備わってないから、とりあえずガチャガチャ動かしてみる→なんとなく聴ける感じになったから採用→結果音を詰め込みすぎてしまっている・音価に対する意識が薄れる……みたいな印象です。

加えて、同一スケール内の一音一音のキャラクターにもっと真摯に向き合ってみること。ドで終わるとなんかダサいなとか、この音の並び単純なのにオシャレだなとか、そういうことを考えられるようになるとメロディーにどんどん深みが生まれてきます。

時が経っても色褪せない名曲をしっかり聴いてみて、傾向やパターンを分析してみるといいんじゃないでしょうか。私よくやってますよ。

バックで鳴っている音が多い

これも感じました。DTMなんで音は詰め込み放題なんですが、ゆえにかえってメロディーの邪魔になっているアレンジが散見されました。「スケールで考えて音がぶつかってないから大丈夫じゃん?」、「ミックスでしっかりパン振ってるから大丈夫じゃん?」って話じゃなくてですね……根本的に要らない音が鳴っている。曲の良さに作用せず、派手さにひと役買わせるためだけに用意された音。シンセだったり打撃音だったり音色は様々ですが、耳を持っていかれてせっかく強いメロディーを用意しても印象がボヤけてしまうんです。

どうしても覚えて帰ってほしい強力なメロディーがあるならアカペラでもいい。それぐらいおおっ!とくるアレンジが欲しかったです。中にはありましたよ。あ、上手く避けてるなーって曲も。

そうそう、ボカコレの公式ランキングとか一般リスナーからしたらこれは当てはまらないかもです。分解能よりインパクト重視!なら要らない音がジャカジャカ鳴ってアニメーションが複雑に動いてた方がうわっ!いい曲に違いない!これから有名になるに違いない!!たかれたかれ!!ってなりますからね。きっと。(決してバカにしてないですよ)

これ不思議なんですけど、シンプルなのにキラリと光る曲ほど私は持ち歩きたくなるんですよね。かわいいのかな。飽きないのかな。びっくりしないのが逆にいいのかも。

グリッドとグルーヴ

これはある程度DTMならしょうがないのかもしれませんし、時代の流れだとも思いますが、音の配列やダイナミクスをグリッドに合わせて打ち込んだまんまで済ませてしまっていて、そこからグルーヴまで考えられていないというのも多かったです。

一番わかりやすいのがドラムで、サウンドに波がなく、ただリズムを刻んでるだけのパートになってしまっているパターン。フィルなどを研究してわりと躍動感を持たせてもフツーに聴ける曲になりますよ。

他の音色も、全てが100%ジャストタイミングで鳴っていても逆に気持ち悪いので、音色によっては少し前や後ろにずらしてポケットを探ったり、ヒューマナイズやランダマイズを取り入れてみるといいんじゃないかなと思います。例えば全ての音がジャストで鳴ってるパンクロックってどんなんなの?って話です。テクノやEDMだといいのかもしれないですけどね。私もDTMやり始めて知ったんですけど、音素材によって発音タイミングまちまちすぎません??なんかもう音のクセ把握して全体選択して後でちょびっとずらすとかやんないときついときがあります。みんなはどうなんだろうね。

個人的には、ボーカルが思いっきり人間味のある歌声であれば、それに合わせて伴奏もヒューマナイズさせてる方が好きですね。逆にボカロベタ打ちみたいな音楽は電子系、ダンス系が合うんじゃないかなと。

要するに呼吸です。ここは全体でキメようとか、ここはリズムはタメようとか、そういうの私1回聴いて全部お見通しなんで安心して取り入れてくださーい。

……とまあこんな感じでいろんなことを感じながら聴き進めていきました。

一次審査が終わった後、特にいいなと思った曲を用意していたいくつかの賞に該当させていくのですが……とても選びきれなかったので結局受賞人数増やしてます(笑)。
そりゃなかなか大変ですよ。400人以上の作品の中から数十名を選び出すなんて。かなり迷う選択もありましたが、そんなときは皆さんに聴いてもらいたいなと思ったかどうかを決め手にすることを意識しました。これはかおりP特別賞という項目で反映されています。あと、ミックスバランスや音圧などのサウンドクオリティ面は考慮しないとしていましたが、野生のプロで賞にだけは反映させることにしました。総合的な評価が必要だと感じたので。

でもまあこうして終わってみてランキングを見返してみれば、自分でも妥当だなーと思う感じにはなっています。上の方に当該ツイートあるんで飛んでみてください。多分なるほどなーってなりますよ。

私のボカコレ観

さて、こうしていろんな作品に触れてみると、ボカロP活動していくにおいてボカコレの公式ランキングにそこまで固執しなくてもいいんじゃないかなと思いました。改めてね。
私ボカコレ出てないんで本来つべこべ言えない立場なんですけど、出てないからこそつべこべ言ってみると……何か賞品が欲しかったり、目立ちたかったりなんですかね?集計方法も本当に正当な評価あっての結果なのでしょうか。

少なくともボカコレを主軸として、公式ランキングで自分の立ち位置を把握しながら創作を続けていくのはやめた方がいいんじゃないかなと私は思います。それで疲弊して辞めていく人が後を絶たないのであれば。
少なくともボカコレが終わった後は「楽しかったー」って意見よりも不完全燃焼感や不満の方が目につきましたね。『お祭り』って言葉があまりにも都合よく使われすぎてきた副作用かなとも思いました。思ったようにいかなくても「でもまあお祭りだし」で思考停止して、実はクリエイターとしての心は蝕まれているのかもしれないです。じゃなかったらこんなに辞める人いないですよね。私のランキングには確か420人以上のエントリーがあったはずなのに、今は400にまで減ってる。自薦リプをひとつひとつ消していってない限りは約20人程度の方が既に垢消ししてるという現実があります。

(ただ、補足しますと『いろんな人に聴いてもらう・再生数を増やすという目的を達成するために自薦(営業)してまわるということは、実に合理的な手段をとっていると思うので私は賛成』です。誤解なきよう。)

でね、ここからが大事。
だからと言って、こういうイベントに参加しておきながら達観したオトナな雰囲気を出して、懐疑的な部分を分析して公表するのも私はよく思っていません。
え、どっちなんだよと思うでしょうが、要するに「ほーら、だから無理なんだよ」なんて示しちゃうオトナになりたくない。

だったら、若い人やまだ音楽を作り始めて間もない人に、前向きな目標・夢・チャンスを与えられるような存在でありたくないですか?「なるほど確かになーこの人の言ってること理屈っぽいけど言い得て妙」という感想を集めて終わらせたら自分が気持ちいいだけなんですよ。せっかく広い見聞や視野を持ってるなら「じゃあどうするか」をリードするまで考えないと、ちょっと言い方悪いですけど吐口を探してるというか、負け惜しみに見えちゃう。

だからこその、今回の『勝手に決める!かおりPに刺さったランキング~ボカコレ2023夏~』なんです。実はシーンへのアンチテーゼ的な意味合いも含んでいるんです。達成感が味わいたいだけならもうこういう企画でいいじゃん的な。再生数やフォロワー数なんて全く関係ないですからね(笑)。音楽以外で勝負する必要ないもん。

もちろん公式ランキングで上位に入ることはとても名誉なことですし、体裁もちゃんと整ってますし、承認欲求も満たされて作品作りの頑張りも報われる……と叶え
ばいいこと尽くめなんですけどね。
ただ、いかんせん『ライブハウスの店長にあたる存在がいない・いたとしてもその人はバンドをやったことない』みたいな環境だと『伸びる・伸ばす』に至らず、代謝のループから抜け出していけない。そんなところにも目をつけた…というか危機感を覚えました。ただのおせっかいだけど。「え?参加費タダじゃん?ただ同じ期間に同じサイトに同じタグつけて投稿しあってるだけじゃん」でどんな意見も躱せちゃう。よく考えると運営は世話を焼く義務も責任もない。釜戸を作って火を点けて薪をくべれば利益になる。

他にも原動力として「ここで成果を上げれば有名になれる。仕事の話だったりメディア出演だったり他の作品に採用されたり、おいしい話が舞い込んでくる。」とふわっと期待してませんか?
ただの冷やかしもいるであろう、マスの審美眼(耳)が怪しい土俵において、です。

そもそも論です。
ダーティーな話ですが、こういうランキングだのオーディションだのって裏で数字を操作して特定の人物に実績を持たせたり、実は台本があって出来レースだったりとか、そういうことができちゃうじゃないですか。
「妄想にすぎないでしょ!ソースだせ!」って話じゃなくて、ズルができちゃうってのが問題なんです。
音楽のみならず、絵画でも川柳でもお笑いでもそう。こういう分野で作品の出来に上下をつけて注目させようとするのって実は無理矛盾だらけなんです。しかもネット上だとなおさら。かおりPに裏でお金を渡して、DMであなたが勝手に作ってるランキングで入賞させてほしい!って頼むこともできちゃうんです。だって結果が私次第なんだもん。そんなの私に賄賂渡すのが一番手っ取り早い。それに対してそんなやりとりはしてませんと潔癖を示すこともできない。水かけ論なんです。

まあ私が作ってる今回みたいなランキングでそんなことする人いなかったですけどね。なぜかって?私が無名だからです。そんなことしたら晒しちゃいますよっ(笑)。
私が何者でもないからこそ得られる、それで完成する真の公平性なんですよ。ふふふふふ……次回もお楽しみに。

かおりP
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