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ミックス・マスタリングってそんなに大事?

さて、冒頭の通りですね。
今回はこういうテーマで書いていきたいと思います。
核心部分に触れていく前に、ちょっとだけ前置きを……

実は私はDTMを始めてから日が浅く、このnoteでいろいろなTIPSを炸裂しているようなベテランのみなさんとはキャリアがケタ違いに短いのであります。
この記事を書いている2023年7月で3年目半ばくらいですね。

バンドをやっていた頃は、、、
音源を作ろう!ってなって、レコスタを予約して楽器の音を録って……あとの作業はエンジニアさんに丸投げ!できあがったものはCD-Rに焼いたり業者さんに頼んでプレスしてもらったり…などとワクワクしながら作業していましたが、一人で活動している今はそうもいかず、エンジニアさんに丸投げしていた部分も手がけなければならなくなってしまいました。

そう、それがミックス・マスタリングなのです。

録音した音たちの音量バランスを整えたり、エフェクトをかけたり、最終的な音圧を出したり……などと、わりと作業っぽい作業(?)が続くわけです。

もちろん、この部分は誰か他の方(MIX師さん)に頼んでもいいんですが、コストもかかりますし、私は長い目で見て「よりDTMを楽しむためにチャレンジしよう!」と思い立って、MIXのお勉強をすることにしました。

時間を効率よく使おうと、通勤電車の中でYouTubeを観て勉強し、仕事中は自分がミックス・マスタリングした音源を聴き(好きな音楽聴きながら仕事していい職場です!ラッキー!もちろんちゃんとやることはやる前提だけど)、他のいろんなアーティストの音源を聴いて落胆し、帰りの電車でプラグインについて調べ……などと、自分なりに学習を進めてきました。

その結果……
始めた当初よりはじわじわと上達しているのがわかる…ようにはなりました。
と、同時にですね…
これってそんな大事な作業?!とも思うようになったんです。


別に曲が良くなるわけじゃなくない?

わかります。
ミックスは大事です。

というか、巷に溢れる音楽がめっちゃキチンとミックスされていて、改めて音量バランスやパンニングについて考える機会すらないんです。疎い人からしたら。

この世の中、音楽好きは数あれど、普段自分で音楽を作るほどではないって人が大多数なんですよね。
そういう人にミックスの上手い下手で曲を聴き比べてもらっても、なんか聴きやすいね!なんか聴きにくいね!くらいの差しかないんじゃないでしょうか?

で、ここからが本題なんですけど。
ミックスやマスタリングをいくらがんばっても別に曲が良くなってるわけじゃないですよね?
音がグッと映えたり、音量が上がったり、ちょっとキラキラした音になったり……
これ、ゲームで例えるとグラフィックなんです(もちろんゲーム内BGMもなんですけど、よりわかりやすくするためにグラフィックで例えます)。
最近のゲームって本当に実写と間違えてしまいそうになるくらいリアルですよね。ポケモンなんて2Dの頃とはえらい違いですもんね。
でも、昔の最新ゲーム、今で言うレトロゲームよりおもしろくなったか?と言われたら疑問です。
たしかにやり込み要素は増えましたよ。キャラもアイテムもシナリオも。
そう、要素は増えてるんです。
でも、限られたデータ容量の中で生み出された根本的なおもしろさだったり、大衆を引き込むオーラと言いますか、そういったものの熱量に当たる部分って、今も昔も変わらないかけがえのない要素ではないでしょうか?

マンガでもそうじゃないですかね?
昔のマンガより今のマンガの方がおもしろいですか?一概にそうとは言えないんじゃないでしょうか。
これもおそらく流行のようなもので画風は違いますが、今と昔でどのようにおもしろくなっていっているかを説明するのは難しいんじゃないでしょうか?

別の例えをしましょうか。
ラーメン屋から出てきたら、普通どんな味だったか感想言いません?「あーおいしかった!」とか。
「あードンブリがきれいだった!」なんて言わないですよね?
いやもちろん食器だったりお店の清潔感は大事ですよ!
でも、そんなのラーメンの味でいくらでもひっくり返せるんじゃないでしょうか?

つまりですね…
ゲームやマンガでいう【おもしろさ】、ラーメンでいう【おいしさ】に当たるのが、楽曲の【よさ】なんです。
ミックスやマスタリングにこだわる前に、どうやったらいい曲になるかなと試行錯誤した方がはるかに有意義じゃないでしょうか?
だって、ミックスやマスタリングなんてその気になれば他人に任せることができるんですよ?
そもそもの感性をアウトプットするという作業は作曲者にしかできないので(というか作曲は最低限自分でやらないとこのnoteの概念が壊れます)、まずはそこに力を注ぐべきです。

リファレンス・コンプレックス

リファレンスとはいわゆる『お手本』というやつです。
ミックスしていく上で「こんな感じの仕上がりにしたいな」という実際の流通音源を聴きながら参考にすることで、より理想的な仕上がりを目指すというものです。

私もこれやったことあります。
でも、やっぱり届かないんですよ。プロのエンジニアさんが作った音には。

1stアルバムを作った時は本当に「どうせプロには敵わないんだし」という諦めがある状態で取り組んでました。
「逆にこういう手探り感もいいかも」まで思ってました。

もうこんなこと言うと本末転倒なんですけど……ちょっと荒いぐらいのミックスが好きなんです。私自身が。学生バンドの宅録っぽい感じ??
なんなら音もスカスカな方が歌を邪魔してなくていいなって思ってるんです。
でも、みんながみんな私と同じような趣向じゃないじゃないですか。
それで、ちょっとはそういうところも気にしていかないとな、ということでお勉強をし、果てはこんな記事を書くまでになってしまったわけですが。

そこで戦いたくないな、と思ったんです。はっきり言って。
プロのアーティストの現場って、やっぱりいろんな人が協力して、いろんな人の生活がかかった中で進んでいくわけじゃないですか。
そんな中で雑なものって出せないんですよ、きっと(私も実際に見たわけじゃないですけど、会社ってそうじゃないですか…)。もしそれが売れなかったとき、こういうちょっと至らない感じがコンセプトなんだ!って言い出した人の責任になっちゃうんで、現代における最高峰の技術を駆使して一曲を仕上げるわけなんですよ。

私なんて普段は会社員として働いているわけですし、売れなくったって自分の生活が揺らぐほどではないんですよ。
だったら『売れなきゃ後がないような人たちが絶対にやらない音』をやりたいんです。だからインディーズっておもしろいんじゃないですか。そう思いません?

それと、曲の印象ってどうしても相対的に見てしまう部分があると思うんです。
よくこういう音楽系のTIPSで『これであなたもプロの音!』とか『CD並みの音圧!』みたいな謳い文句ありますけど……
プロの音になったからどうだというんでしょうか。
プロではないのにプロだと思われたいんでしょうか。
これだけCD離れが進んでいる昨今で、どうしてCD並みを求めるんでしょうか?

おそらくなんですけど、そう感じる人は心の中に何かコンプレックスのようなものが巣食っている気がしてならないのです。

みんなからちやほやされているあの曲には及ばない……
あの頃憧れたあの音に一歩でも近づきたい……

以前の記事でもお話ししましたが、作曲において大事なのは自分の感動をリリースすることなんです。プロに一歩でも近づくこととは別です。
プロのサウンドに限りなく近づけることこそが私の感動なんだ!と言い切れる人はもう止めませんが、そうじゃない人はもういっそのこと自分だけのサウンドを確立する方向で創作していった方がいいんじゃないでしょうか?

意外とプロでも鍵盤で難なく弾けるメロディーだったり、なんの変哲もないコード進行だったりで曲を作っていますよ。そこで勝負した方がおもしろいんじゃないかなーと私は思います。

音量差なんて一瞬で解決できるじゃん

よくYouTubeを観てたりすると、たまになんか音量が小さいなと感じる動画ってあるじゃないですか。
そんなとき、スマホの側面についている音量ボタンをぽちっと一回押して、聴きやすい、それまで観ていた動画の音量と並ぶように調節するじゃないですか。

ミックスで音圧が出せなくても、リスナーに与えるストレスってその程度ですよ??
よっぽどボーカルが引っ込んでいたりしていたらそりゃ調節は難しいですけど、それよりもいい曲かどうかの方がはるかに大事です。
いい曲は多少のミックスの荒さをかき消します。これは断言します。

逆に、私はよく生クリームがたっぷり塗ってある駄曲(失礼!)と表現するんですが、音はコッテコテに今どきっぽくて動画もしっかり作り込んであるのに、実はよく聴いてみると曲がそんなにいいかと言われるとそうでもない曲。たまによく出会います。
そういう曲、パッと聴いた印象は「おおっ!」となるんですが、なぜか記憶に残らないといいますか、繰り返し聴きたい!と思わないんですよね。ごめんなさい。

(ただ、そういう生クリームたっぷりな曲はバズりやすいです。これは根拠ないです。完ぺきかおりP調べ。きっと他人に勧めやすいから?自分を彩るから?だと思うんですが……)

要するに、ミックス・マスタリングの至らなさでリスナーに与えるストレスよりも、駄曲がリスナーに与える深層ストレスが勝ると私は考えています。
「パッと聴いて『なんか音小さいな…』と思われたらリスナーは離れていっちゃうんじゃないか?」違います。
イントロの時点で駄曲だからです。
グッと引き込まれるイントロがあって「あっ好きかも」と思えば無意識にスマホのボリュームを上げて聴き続けますよ。
反対に、サムネに釣られて再生してみたものの「なんか期待はずれだな」と思ったら、動画をそっ閉じして、まあ一応付き合いとかあるし…と、いいねだけ付けてサッとスワイプ。そんな扱いをされたんじゃあまりに作品が不憫じゃないですか?(今ドキッとした人いるでしょ?!)

私の場合ですが、そもそもリスナーが自分の曲だけ聴き続けるという超傲慢な前提で音楽活動を続けているので、自分の曲のそれぞれの音量差の方が気になりますね。
1曲だけ聴いて他のアーティストの曲に移られたくないですもん私は。
まさか聴き比べをされて優劣をつけられるんじゃないかって思いながら曲を作ってるんですか??
「えっ?!この人他にはどんな曲作ってるんだろう?!」って興味を持ってくれた方を完全に受け入れる体制を整えるためにも、私はアルバムやサブスク配信にこだわってるんです。
他人の作品と比べてばかりいるから、ミックスも際限がなくなるんです。
リスナーが自分の曲だけを聴き続けたときに違和感がないように注力する。これが私にとってのゴールなんです。

インフルエンサーの都合

これはちょうど世相を反映していると言えるんですが……DTM系の情報を発信しているインフルエンサー・YouTuberからすると自分が紹介したコンテンツによって変化がわかりやすい方が当然ウケはよくなります。このプラグインを挿せば…ほら!こんなにいい音!と言われれば、確かに興味をそそりますよね。

私もたくさんの方の動画を観て勉強させてもらっておいてこんなこというのもアレなんですけど、発信者からしたらこうしたらいい曲になるよ!なんて定義できないから、高音質・高音圧だといい曲だよ!と思い込ませた方が都合がいいんです。

(そんな中で、こうしたらいい曲になるよ!と高らかに叫んでいくストロングスタイルの当note執筆者が有料記事書いたりこんな主張をしててスーパー恐縮なわけですが……)

私は教養のために自分が生まれる前の古い曲も聴いたり、最新のヒットチャートもチェックしたりしていますが、全体のサウンドがスカスカな曲でもいい曲だなーと感じることがありますし、逆に最新のJ-POPで音が洪水のように押し寄せてきて、さっきまでどんなセクションだったかが全然思い出せない曲もあります。

小見出しがインフルエンサーの都合となっていますが、メディアもまだまだ根強いインフルエンサーです。テレビは時代遅れ!これからはYouTube!みたいな流れもありますが、親が観ていれば子の目にも入ってきますし、アニメとタイアップさせてみたり、あの手この手で『いい曲の定義』を作ろうとしてきます。

ライバル社に負けてられないので、しょぼいと感じさせる曲なんて出せないんです。スタジオミュージシャンをギャラを払って呼ばなくても、最新のDAW技術なら音もトラックも増やし放題。バキバキにクオンタイズされた生クリームたっぷりのドヤ曲を作って、先に大衆の耳に何回も何回も入れて、「この曲聴いたことがある」を作って、賞を取らせてトドメです。先に「いい曲だからこんなに有名なんだな」を作った方が早い。

そして、その曲を題材にYouTuberが動画を出す。感想を述べてみたり、歌ってみたり、弾いてみたり。リファレンスとして取り上げてそこを目指させれば自分も潤う。
この繰り返しじゃないですか最近。

この記事を読んでいるほとんどの方がメディアをジャックするなんてほぼほぼ不可能だと思うので、地を這うようなインディーズ活動を続けていくことになるのですが、物事のシステムや背景にもアンテナを張り巡らせていないと、ずっとステージの下なんです。
自分はステージの上で、プロさながらに踊っていると思い込んでいる消費者なんです。
今回ミックスやマスタリングのお話とは少し外れてしまうのですが、実は世相と密接なつながりがあることをお伝えするべく、この話題を取り上げました。

最後に

いかがだったでしょうか。
「ミックスやマスタリングって難しいよなー……あ、このかおりPって人の記事参考になるかも!!」と期待に胸膨らませてここまで読み進めた方をガッカリさせるような内容に仕上がったという自負はあります。だって無料記事ですから(笑)。

でも今回、ミックスやマスタリングについて、他の発信系の方が語らないような切り口からいろいろお話できたんじゃないかなーと思います。
書いていて自分も胸が苦しくなる箇所も多々ありました。
こんなこと書いといて私だってOZONEってマスタリングツール使って「おおっ!!音圧すごっ!!!」と感動したのが記憶に新しいくらいなんで。そういうの紹介する記事書けって話ですよね。はい。すみません。

なんにせよ「こうしたらいい曲になるよー!」と無責任に叫んでいくのが私のnoteの主旨なのです。こうしたら音が良くなるよー!なんて情報は他の方のコンテンツを参考にしてくださいね(ハート)。

かおりP
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