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Oliver!

オリバーツイストって、もともとはディケンズさん原作のお話しなのだけれど、世界中でいろいろな形で上演されてるの。

ミュージカルやアニメや映画にするときに大きく物語を変更してるバージョンが多くて、そこにそれぞれの世界観がでる。

案外原作に忠実(だけど主人公のオリバーはねこちゃんに、ドジャーは犬になってる)なディズニーのバージョン。オリバーの成長を丁寧に描いて、貧困のなかの人と人とのつながりを浮き彫りにした岸本功喜さんバージョン、そして、今回のオリバーはエンターテイメント作品としてわかりやすくて楽しくて、オリバーをはじめとする子どもたちののたくましさを感じるバージョンだったの

わたし、ディケンズさんの原作はそんな好きじゃないけど、ミュージカル(映画)になった作品はどれも好き!現代の価値観と上手に融合させてくれてるからかな?

(どのバージョンも、原作だと結構キーパーソンになるオリバーの異母兄が出てこないのおもしろいよね。唐突なんだわモンクスさん。)

今回のオリバーは、音楽がキャッチーでその場で歌いたくなっちゃうし、一つの作品の中にいろんなタイプの曲があって、どれか一つは絶対好きになるとおもうの。マシューボーン振り付けで、ロンドンのまちのシーンなんてわくわくするし、いろんなところでいろんなことが起きてて目が足りない!!

だいたい、セットがすてき。ロンドンの町並みも、フェイギンのおうちも、救貧院もすき。セットの模型ほしい。

じゃあ今から、私が大好きでみんなに見てほしいところいうね!!

・オリバーが売られていく葬儀屋のミスターサワベリーの、「あなたの葬儀」の曲。あれ独特で大好き!!ちなみに「私の葬儀」は、お棺豪勢なやつがいい!スパンコールとかほしい。周りにふわふわのやつもつけたい!!

・葬儀屋の丁稚、ノアクレイポールの斎藤准一郎さんのしゃべり方が少年ぽくてすきだし、何しろ斎藤さん、その後もロンドンの町でおどるの死ぬほどかっこいいし、うんぱっぱのところで青山郁代さんを軽々リフトしててすごい好き。すき!!

・今野晶乃さんがサーカスのところで踊ってるんだけど、すごい素敵。ナイツテイルの牝鹿さんじゃなくなっちゃったと思ってたらここでご活躍!!うれしい。

・ドジャーの方たちはどうしてあんなに歌って踊れてお芝居もできるの?今のところ佐野さんと大谷さんを見てるんだけど、前世も有名な役者さんだったに違いない。じゃなきゃ生まれて10年やそこらでこんなすごいことにならないもん!!

・オリバーの方たちの透明感もやばい。小林さんも越永さんも、汚れを知らない天使(歌うまい)の具現化。そして、オリバーとドジャーがこんなに違って見えるって役者さんの技量なんだろうけどなんだろうか?すごい。こうなったら私長生きして、オリバーやドジャーの皆さんたちがルドルフやって、クリスやって、ジャベールやって、トートやって、ラマンチャの男で見果てぬ夢歌うところまでなんとかして生き抜いて、劇場で「私、小林佑玖さんがオリバーの時から見てるのよ、あのときは疫病が流行っていてねえ。。。」っていって、若者にうざがられたい。

・青山郁代さんのローズセラー、なんかもう「美!!!!」だった。穏やかでぶわって華やかな歌声が素敵。香り立つような声と姿よね。なのに、コミカルに踊ったり、軽々リフトされたり、すごい!好き!あととにかく美人!!

・北川理恵さんの独特の存在感が好きなの!シャーロットとノアのスピンオフみたい!!!「焦げてる!!」のところがどうしようもなく好き!!

・お歌を歌っている間にぐんぐん物語が進んでいくのがすごく好き!!物語があります。歌があります。って感じじゃなくて、歌そのものが物語になってるのが好き!!ミュージカル見てる!って感じがする。

・ソニンさんナンシーが切なくて、もう、助けに行きたい!最初にオリバーに対して、ここはどん底だけれど「いい人生!!」って陽気に歌って聞かせた曲とおなじ曲を二幕の最後でも歌っているのだけど、二幕の最後では、彼女がそう歌わなきゃいけなかったことも含めて、貧困や暴力が、一番弱くて一番優しい人のところに集中して押し寄せてきていることが分かって、本当にしんどい。彼女が殺されなくったって彼女はロンドン中の貧困や暴力の被害者としていきざるを得なかっただろうし、ナンシーみたいな人生をナンシーに送らせてしまったこと自体が取り返しのつかない社会の責任だとおもう。

・市村さんフェイギンはもう、たたずまいでフェイギンの良さも悪さも優しさも小ずるさも愛嬌も暴力性も全部分かってなんかすごい!!あと、あの段取りどうやって覚えてるんだろう。すごい。

・ほかの登場人物のみなさんが、みんながみんなすごいオーラと実力で、豪華すぎるの。鈴木ほのかさんが修道院の意地悪ミセスコーニー、伊東えりさんと鈴木壮麻さんが葬儀屋夫妻とか、豪華すぎて鼻血がでそうよう。

・あと、原慎一郎さんがほんっとひどいやつなの。相手に暴力で優位に立つことしか知らないの。あんなに優しいソニンちゃんを殺すなんて一生許さないんだから!(現実と舞台がごっちゃになるタイプのオタクです)

オリバーツイスト自体はディケンズさんが1837年に書いた小説で、当時救貧法が改正されたばっかり。貧困層を中流階級が搾取するといった社会的構造がまだまだはびこっていて、その中で、オリバーのように貧困のなかでも志を高く持っている子どもや、しんどいけれどもなんとか身を寄せ合って生きていくフェイギンやドジャーたちの姿が読者の心を打ったの。

時代は下っても、やはりまだまだ貧困問題は十分にクリアになっていなくて、子どもの貧困問題はまだ子どもたちをむしばんでいて、やらなくちゃいけないことがたくさんあるなって改めて思いました。

でも、だから今でもこの物語は輝きを失わないし、今の私たちにぐっと刺さるものがあるんだなと思いました。がんばるるるる!!



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