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女の未来はアフリカに詰まっている

『アフリカの日々』のアイザック・ディネーセンに憧れていた。結婚を機にケニアにわたり、コーヒー農園を切り盛りした強さ。夫に性病をうつされて、子供を持てない体になっても、なおも恋に行きた激しさ。農園で働く人たちを気遣い、相談に乗ったり、身体のケアをした温かさ。
高校生の時に、その本に出会ってから、ディネーセンは私の憧れの女であり続け、少しでも近づきたいと留学もしたし、ケニアにあるディネーセンが住んでいたと言われる家も訪れた。

成績も中の上、何かがとびきりできたわけではない。運動はからっきし駄目。容姿も冴えない。4年間のアメリカの大学生活を終えて帰ってきてからは、就職活動にもことごとく失敗し、英会話をアルバイトで教えていた時期もある。
テンションと声を普段よりワントーン上げて、小学生に英語を教えることの疲れることよ。レッスンが終わってタバコを吸いながら、「何やっても駄目だなぁ」と落ち込んだ時もあった。そんな時も、分厚いハードカバーのページをめくった。彼女だったらどうしていただろう、なんて思いながら。

時は過ぎ、三児の母となり、フリーライターをしながら、経済力をつけたいといろんなところで働いた。本当は、離婚したい一心で働き出したのだけど、SNSで近況を発信していたら、「あなたの生き様に力をもらっています」とメッセージが来た。何度か顔を合わせたことがあるだけで、そんなに親しくなかった人だけど、そこからやり取りが始まり、彼女もまた悩みを抱えて生きていることを知った。

まだまだひとりっきりで家族を養うことができない私だけど、周囲からは強く見られていることを彼女との会話の中で知った。まるで、ディネーセンのように(!)。
彼女からもらったメッセージは、私を鼓舞する。私の発信するメッセージは彼女を勇気づけている。ディネーセンは、たくさんの女性の背中を押している。

大してうまくいかなくっても、私の失敗し続ける姿は誰かが挑戦する火種になっているのかもしれない(これが本当の“失敗は成功のもと“というやつか!)。自分が成功しなくても、誰かの未来への一歩につながっていれば・・・。
本当は、ディネーセンからは程遠くて、へっぴり腰な私だけど、エッセイやSNSはたくさんの人に届く。平凡な私だからこそ、誰かを勇気づけることがあるかもしれない。
誰かが元気になれば、周りも元気になっていく。未来に向けてできること。

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