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【No.20】 小さいのって羨ましい

幼い頃、とびっきり背が低かった。クラスの背の順ではいつも2番目か、良くて3番目、幸いなことにいつも私より数ミリ小さい子がいて、一番は免れていた。

小学生の頃は、手も足も何もかも小さくて、ガリガリに痩せていたのだけれど、私の中の母方の遺伝子が目覚めたかのように、ぐんぐん大きくなっていったのは中学生の頃。1年生の夏休みが終わって、学校に行ったら「化け物」と呼ばれるくらいに急に背が伸び、校則違反と怒られるくらいにスカート丈も短くなっていった。そこから日本人女性としては、平均より少し高い160cm超になり、高校生になってもまだ止まらない気配に焦った私は、タバコを吸い始めた。

それでも、横幅はなかった。横に立った友達に「薄っ」と言われるぐらい、肩や胸が平らで、どうしようもなく胸のあいた服が似合わなかった。

そんな細かった自分の過去を思い出したのも、きっと東京で一人きりだと言うのに、きっと私の逞しくなった外見からは寂しいともなんとも思ってもらえないというひがんだ心持ちのせいかもしれない。

楽しんでるよね、自由だね、とやたらと言われる。

子供を産んで、30後半を過ぎるくらいになると、足や腕も、指の一本一本も、何やら逞しくなってきた。子供達にイビキをかいているのは、太って気管が狭くなったせいだと言われる。百貨店のガラス窓に映っている自分自身を妊婦さんと間違ってしまったという出来事もあった。特に太っていると思わないけれど、マチができたと思う。
目力が強いと頻繁に言われるようになり、それに伴い、性格も強いと思われるようになった。

人の、なんと外見に惑わされやすいことよ。
まあね、離婚した、単身赴任しているというと、弱くないよねと思われるかもしれないし、実際、指と同じように神経も太くなっているような気もするけれど。

小さくって可愛いって、いいなぁと最近思う。支えてあげなくっちゃ、大丈夫?ってしょっちゅう聞かれている同僚を見て、やたらと羨ましくなる。
私が大丈夫って聞かれる時は、病気に見えるか、この人ボケたんじゃないかと思われる時に違いない。だから、「大丈夫?ちゃんと食べてる?」って母親のように小柄な同僚をいたわる側の人間になっている。心ならずも。

でもね、本当は寂しくもあるんですよ。構ってくらふぁい。(←やばい、ボケてる)


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