直線の雲、曲線の岩
2015年9月、今は漁師となっている恩師を訪ねて隠岐の島へ行った。
島の暮らしを少し垣間見させてもらった中で印象的だったのは、島民の多くが顔見知りということ。ここへ流された後鳥羽上皇も、束の間、政争をわすれて穏やかな日々を過ごせたのでは、と思いを馳せたくなる。
先生が隠岐の島の漁師に転職なさってから、もう10年になる。転身の振れ幅に度肝を抜かれたし、逞しさに羨望を覚えた。
学校の先生だったころも、日本以外にもデュッセルドルフで働いていたり、地球のどこにいても、何をしていても、どんな人とも和して暮らせる。
究極の人生ではなかろうか。
ところで、この旅行の後に出したお礼状に返事をいただいたのだが、これまでの生涯でもらった言葉の中で一番うれしいものだった。
「君は想像力の翼でどこまでも飛んでいけるから、退屈はしないだろうけど、それでも旅に出たくなったらいつでもおいで」
気兼ねなく旅行できる状況になったら、絶対に行こう。
人々が和し、自然の造形の中で曲線と直線が調和し、自然と人が共存する、何もないけど何でもある島へ。
#旅する日本語
#「睦ぶ」
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