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藍染や草木染めを始めた理由(右脳編)

藍染や草木染めをしながら服を作っています

その背景(左脳編)は前回noteで書きました

前回書いたものは、正直、後付け的な内容だったかもしれません。こういう背景があって、始めました、と、後から納得するために作ったものだったかもしれません。

私が藍染や草木染で服を作りたいと思った理由はシンプルで、「可愛い!」「色が好き」「そんな服を日常的に着たい!」と衝動的に感じていたからです。


兼ねてから、着物や浴衣が好きでした。

小さい頃に、盆踊りで浴衣を着せてもらっていました。お正月には着物を着付けてもらって、特別な気持ちになりました。(今でも好きですが、子育て中なのでなかなか着る機会はない。。。)

着物や浴衣の形ももちろん、好きなのですが、今思うと、私はそれらの色に魅せられていたように思います。

今の着物はほぼすべて化学染料のものだと思いますが、着物や帯、他の小物も、色のトーンは、かつて日本人がずっと長い歴史の中で営んできた、藍染・草木染めがベースにあるように思うのです。

私が好きだったもの。浴衣は濃紺と白の臈纈染めのものだったり、着物はぽこぽことした地厚い安心感のある紬調で、青・赤・黄色というような西洋的な色味では表現できない中間色の組み合わせ。

色とりどりなのに、決して喧嘩しない。むしろ調和する。着物と帯の色のバランスも、草木や藍染が中心だったからこそなのでは、と思ったりします。

私自身はそれほど頻繁に浴衣・着物を着ていたわけではないけれど、昭和初期生まれの同居していた祖母は、特に冬は着物が普段着というような人でした。だから私にとって、様々な着物を着こなす身近な存在としての祖母の影響は大きかったんだと思います。

そんな幼少からの原風景のようなものがあって、その上で、認識的に、草木・藍によって出でる色が好みと感じる。幸運なことに、ここは自然豊かな環境だからこそ、実践できると試行錯誤してきた上での、今の形があります。

染め上がった時点の布の美しさの魅力はもちろんのこと、染めている途中に変化していく色を見ていくのが何より楽しく、私にとって豊かな時間です。

いや、それ以前に、それを染めるための植物を採取すること、煮出している間に染め場を漂う香りや、煮出てくる液の色にさえ、私は魅力を感じ、それを眺めているのが、単純に好き。

こうして染め上がった布を干し(干しているのを眺めるのもいい)、それが服となって、この身にまとうことができることが、至福の時です。

なんとも言えない、自然の色の服を身につけていると、周りにある植物たちと一体になって溶けていくような、心地よさを感じます。純粋に、それを着ると気持ちがいい、心地がいい。

私が藍染、草木染めを始めた理由はここに尽きるのです。

持っている服すべてを、藍染、草木染めのものにして、環境にも配慮した生活を!と鼻息荒く啓蒙活動をしたいわけでは決してなくて、私は、純粋に、日々の暮らしの中に、一枚でも、自然の豊かさを表現した服を取り入れてみてもらいと思うのです。

日々移ろう、季節の恵みを、感じられる。そんな瞬間が、毎日の生活に少しでも彩りを加えてくれると感じています。


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