10周年。ギャラリーの再オープン。

今年10周年の石徹白洋品店。

私一人で始めた10年前に、母家の玄関先にある元馬小屋ギャラリーを改修してオープンしました。

高いところにあるあかりとりの窓から入る優しい光。見上げると、黒々と囲炉裏の煙に燻された存在感のある梁。その梁に残る手ではつった跡が美しい意匠として私の目には飛び込んでくる。

ここで馬が暮らして、馬と共に人が住んできた形跡がそこここに見える。私にとってここはとてつもなく愛着がある場所。

お店を始めてから2、3年はオープンしていたこの場所ですが、子供が二人になるタイミングで、隣にお店兼作業場を設けたので、ギャラリーはそれ以来閉じたままになっていました。

子供の自転車や家庭の物置小屋として使われ、なかなかお見せする状態になく、それは私にとってとても残念なことでした。

そこをこの10周年を記念して、再オープンすることにしました。

会社にして5年目の今年は大きな変動の年になりました。一番最初にデザイナーとしてうちのブランドの成長に一役担ってくれたHちゃんが離れ、細々としたこと広報回りを固めてくれたSちゃんが福井に引っ越しし、ここ2年ほど主力で働いてくれたMちゃんが結婚して石徹白からは引っ越し予定。

3年ほど安定的に動いてきたメンバーがほぼいなくなり、私と、初期から居てくれているMちゃんとそして急速に関わり始めた夫、生産管理を固めてくれているYちゃんで現場を動かしていくことになりそうです。

募集せずとも人が集まって、なんとなく回って(でも経済的にはずっと苦しかった)形も見えてきたような状況から、大きな変化がやってきて、ここにいるメンバーでどうやって回していくかを試行錯誤しているところで、10周年を迎えています。

でも実は私自身の変化がとても大きくて、それによって私ができないことを周りのみんなに支えてもらっていたのです。この10年間に子供が4人増えて、家族が大きくなりました。それによって私自身も変わったし、石徹白という地域も移住者が増え、お年寄りが亡くなっていき、どんどん変わっているのです。

変わらないことなんて一つもない。それが良い変化なのかどうかは、後になってみないとわからない。だから・・・私はまずやりたいと思うことをやりたくて、ギャラリーを再オープンしようと思うのです。

この場所から全てが始まったと思っています。手作りの空間で細々と始めたお店から、いろんなものが生まれている。

あまりにも余裕のない私は一つ一つの変化に丁寧に向き合うこともできずにとにかくまず子供たちを守るために生きてきた。先を先を考え、走り続けてきた。

でもそろそろ、今ここを楽しみながら、過ぎ去っていってしまった子供たちの成長を慈しむ心の余裕をつくりたい。(4人目はまだまだ小さくて過ぎ去っていないんだけど、長男はもう4年生で気づいたら頼れる人になっていた)

畑もやりたいし藍染もしたいし、そして、たつけなどをきちんと社会の中で広めていきたくて、ますます余裕はないんだけれど、心持ちを変えただけで随分今を楽しめるようになってきた。だから、ここにきてくださる一人一人と楽しく豊かに向き合っていきたい。それが私の願うことです。

腹ペコの子供たちのご飯を先を考えて準備さえしておけば、あとはなんとかなる!と思える今日この頃。家族と周りのたくさんの人の協力をいただきながら、ここからまた10年、どんな未来になるのかワクワク夢想しながら進んでいきたいと思うのです。


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