見出し画像

【酒気帯び1人旅】日本の最北端

貯まったマイルで酒気帯び1人旅を決意。
目的地は、国内で、今まで行ったことない場所で、かつ、この先誰かと行くこともないであろう場所。

そう、稚内!

地図の端が大好きな私は、日本の最北端なんてもう大好物。
12月という季節に日本の本物の冬を知りたい。
海の向こうに樺太を見たい。
たこしゃぶも食べたい。
とはいえ、オフシーズンだし、観光名所は少なく、誰かと一緒だったら時間を持て余しそう。
つまり、余白多めの気ままな1人旅ができそう。
などなどの理由から全会一致で決定。

家を出る前にジャック・ダニエル。
飛行機でビール。

都心は最高気温14℃で美しい冬の日だっけど、稚内は最高気温0℃で、ギュンと寒そう。
いざ雪国へ!

天気は曇り。
どんよりとした重めの雲と、白銀の世界に放り出され、人もまばら。
たったひとりでずいぶん遠いところまで来てしまったのだと今さら気付く。

宿に直行して、一息ついてから、周辺をブラブラ。
行きたかったバーガー屋さんは閉まってて、ウニ丼の店では今の季節はウニ丼は無いと言われてしまった。ジンギスカンもスープカレーもオムライスも閉まってる、魔の15時!
朝から何も食べていないし、雪もちらつく中、フラフラと歩いてるとラーメン屋さん発見。
救世主のように光り輝いて見えた。
味噌ラーメンとビール。

何もすることがないので「翔んで埼玉2」を観た。
映画館が自由席で驚いた。さらに驚いたのは観客が5人しかいなかったことだ。採算は取れるのか。
ポップコーンとビール。

お腹がいっぱいなので、夕食はスーパーで縞ほっけとビールを買い込んで部屋で食べる。
和室だし煙草も吸えるし最高。
コンビニで買った松本清張を読みながら、さながら昭和の文豪のように、おやすみなさい。

2日目はレンタカーで宗谷岬へ。
スタッドレスタイヤを信じて、雪道を50分ほどドライブ。

無事に到着。
念願の日本の最北端!!
閑散としていて特に何もない。人もいないし極寒で強風。5分もいようものなら限界を感じ、退散してしまう最北端。
遠くにはちゃんと樺太が見えた。

気温は-0.1℃だけど、風が強すぎて、体感はもっとずっと寒い。
ママのミンクで全身暖かかったけど、手袋を外した手は凍えてちぎれそうだった。
流氷館なるものがあったので、展示してあった流氷を見る。
なるほど、流氷は毎年見られるわけではなくて、見えたとしても接岸しないこともある。
近年で最後に流氷が見えたのは2020年。ここ20年ほど接岸はしていないらしい。
この温暖化のペースだと、もう二度と観られないような気がした。
-15℃の部屋で保管している流氷は、いつまでそこにあるのだろうか。

体が冷え切ったのでヤムワッカナイ温泉へ。
雪の中の露天風呂が最高すぎて、2度も入る。
ビール飲みたかったけどドライバーなので我慢。
日没は15:51らしいので、夕日を目指してノシャップ岬へ。

ジャストオンタイムで到着。
まわりは重い雲がのしかかっていたのに、ちょうど雲と海の隙間から太陽が覗いていた。
8分間動画を撮影してたら両手がカチンコチン。

さっさとレンタカーを返却してビール。
夜はいつでも私の思い通りになる。
今夜は絶対たこしゃぶを食べる。

たこしゃぶと串焼きとビールと濁酒。
たこしゃぶの出汁で最後は雑炊にしてくれた。
美味しすぎるし、煙草の灰皿が帆立の貝殻というのも趣があるし、とても良い雰囲気の店で、私は二度と来ないだろうと思って稚内を選んだのに、次回は誰かを連れて来たいと思った。
ひとりでいると、沈黙とか他人との会話がいちいち身に沁みる。
行きずりの東京から来たカップルとの会話も、テレビでやってた柔道の試合も、全てが必然みたいだった。
無口でクールな店主と、どうせホテルに帰るだけならまだここで一緒に柔道観て行きなよ〜と言う奥さんに、また会いたいなと思った。

アイスバーンの夜道。誰もいない漆黒の夜。響くのは私の雪を踏む音と、遠くから謎の鳥の鳴き声。
夜は風が無く、風が無いのであれば氷点下の気温も愛しく思えるのである。

部屋に戻ってビール。
松本清張の続きを読みながら、おやすみなさい。

3日目は北防波堤ドームへ。
なるほど、防波堤というからには波は防ぐが風は防げない。
この日も疾風が吹き荒れていた。
かつてはこの場所から大勢の人が樺太に渡ったのだという。

ドームの入り口は雪が吹き込んでいたが、内部には入らないらしく、稚内に来て初めて乾いた地面を踏んだ。
これ幸いと、運動のためかドームの中を黙々と往復で歩き続けているおじさんがいて、冴えてるなと思った。
地元民の知恵なのだろう。

空港行きのバスを待つ間に昨夜のカップルと一緒になった。
2人とも東京から来たと思っていたが、男性のほうは女性を見送って稚内に残った。
人間関係は分からないものである。

さよなら、稚内。
あと一泊していたら退屈で困っていたと思う。
季節のせいで、冬季休業中の施設やお店もたくさんあった。
でも、それくらいでちょうどいい。
私の酒気帯びリフレッシュ休暇、完了。

P.S. ミンクのコートのすごいところは、都内は都内でそれなりに暖かく、というか暑くなく、それでいて氷点下の中では風も通さず熱を与えてくれて、完璧に心地良い。
注意して歩いたからだろうけど、マーチンのブーツも信頼できる。
メリノウールのインナーと靴下は無敵。
トラガスのピアスを失くしたと思ったのに、見つけて目立つところに置いておいてくれた、宿の清掃員の方がMVP。

いただいたサポートは、ジャックになり、私の血肉になります。