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牡羊座14度「蛇の誘い」

2018年4月3日午前4時30分、トランジット太陽が牡羊座数え14度に入りました。太陽が度数を移る時刻が日々後ろ倒しになっていることに気付いているかな。1度への滞在時間が日々長くなっている。牡羊座数え14度のサビアンシンボルをぎゅっと五文字くらいに縮めると「蛇の誘い」。

原文チェエェック。黒字が1925年ジョーンズ版、青字が1975年ルディア版。珍しく両者とも一字一句違わないシンボルで「A serpent coiling near a man and a woman 男と女のそばでとぐろを巻く蛇」男はひとり、女もひとり、蛇も一匹。

男と女と蛇。「創世記」のアダムとエヴァ、善悪を知る木と蛇のことを思い出してくださって結構。あるいはウェイト-スミス版のタロットをお持ちの方は6番札「恋人」をご覧あれ。天使が大きくフィーチャーされているけれど、ちゃんと蛇さんもいる👩🐍👨

創世記ざっくりおさらい。とある神様が天地をつくり、最後に土を捏ねて自分っぽい姿のものを作った。神様はそれに命を吹き込み「人間(イシュ)」と呼んだ。後にこの人間1号が「アダ厶」と呼ばれるのは、土(アダマ)で作られたから。言わば土から生まれた土太郎的な名前だ。

人間(イシュ)はひとりしかいなかった。つくった神様は「こいつがひとりっきりなのはよろしくないな」と人間を眠らせ、肋骨を1本外してそれで人間2号をつくった。目覚めた人間1号は言った。「これぞ私の骨の骨、肉の肉。イシュからできたものだからこれをイシャーと呼ぼう」

当番が大学生の頃、一般教養でこのくだりを教えてくれた先生が言っていた。イシュもイシャーも神が作った。大切なのはふたりが「同じものでできている」こと。イシュは素材がおソロの仲間を喜び、おソロの名前をつけた(先生は流石に「おソロ」とは言わなかったけれど)。

イシュからできたから、イシャーと呼ぼう。man からできたから wo-man と。おとこからできたから、おんなと。俺がヒトシだからお前ヒトミな! 素材がおソロだから名前もおソロにしよう。お揃いね私たち。ヒトシとヒトミは楽園で暮らした。ふたりとも裸だけど恥ずかしくなかった。

ヒトシとヒトミこと人間1号2号は造物主が用意した楽園で気楽に暮らしていた。造物主が「これだけは食うな」と言った木の実を除けば何でも食べてよかった。ある日、蛇がやってきてヒトミの方へ訊いた。「あれも食べればいいのに。なぜ食べないの?」

「造物主(おとーさん)が食べちゃいけないって言ったから」とヒトミ(人間2号)は言った。蛇はヒトミを煽った。「食べれば自分と等しい者になるから、おとーさんは君たちに禁止しているんだ。You 食っちゃいなよ🍎🐍」ヒトミは食べて、ヒトシも食べた。おとなの味がした。

禁止果物をキメたヒトミとヒトシは、急に自分たちが裸なのに気付いた。そして葉っぱで腰回りを隠した。なんで腰回りだけでおっぱいは隠さなかったんだろう、毛でも生えましたかね。そして話を端折ると、禁止果物をキメてしまったことはあっさりとおとーさんにバレた。

ヒトシはヒトミのせいにして、ヒトミは蛇のせいにした。おとーさんは怒ってお前ら全員出てけと言った。それまでは楽園で三食昼寝つき天然冷暖房完備だったが、ヒトシとヒトミはこれからふたりで自活していかなければならなくなった。人類初の親離れ子離れ物語。

「最初の人間たちは原罪(ルビ:はじめてのいけないこと)を犯したので楽園から追放されました。わるい子たちですね。いけないことをしないようにしましょう」と言うよりは「おとなの味を覚えちゃったら親の扶養から外れます。自活よろ」という話に、当番には見える。

この男と女と蛇、禁止果物と楽園追放についてデイン・ルディアが『アストロロジカル・マンダラ』の牡羊座14度の項でたんまり紙幅を割いて解説している。面白いからここだけでも読んでほしい。

ルディアの蛇語りをすっごく掻い摘んで言うと、蛇ってファリックシンボルだし侵入者だし誘惑者だけど、ただの便利棒ではなく管でもある。禁止果物を食べた人間が変化にうまく対応したら、蛇はかれらをのみ込んで楽園の外へひり出すはずだった。楽園は子宮で蛇は産道。

ところが人間は禁止果物をキメた後で起きた変化にビビってしまった。おとなになったことを隠そうとした。葉っぱで股間を隠して、自分が果物へ手を出したことを他人のせいにした。おかげで「蛇ルートでの楽園脱出」は失敗してしまった。男と女と蛇は月足らずで楽園から出された。

侵入してきて吸い出す、ファリックシンボルでもあり管、道でもあると知って「ストローかよ」と思った数年前の当番。ヒトミとヒトシは蛇ストローによってタピオカミルクティーみたいに吸い出される筈だった。

イシュ(男)とイシャー(女)、ヒトシとヒトミは禁止果物を食べておとなの階段を登ってしまった。しかし登ってしまったことに動揺して隠しておこうとしたり、別の誰かのせいにしようとしたりした。どうも、人間に対するはじめての性教育は計画どおりには行かなかった模様。

それは誰の計画だったのだろう。蛇の? それとも神様の? 本気で人間に食べさせたくないのなら、禁止果物の木をわざわざ人間と同じ空間に生やすだろうか。どうも「これは禁止果物だからな、食べるなよ」には神様による「絶対押すなよ」の匂いがする。

いつものフォーマットで見ていこう。牡羊座数え14度「蛇の誘い」は牡羊座前半(往路)、それを3つに分けた第3グループ(おわりの5度組)の、第4度数。どの5度組でも第4度数は第3度数と対になる。第3度数は第1と第2度数の間の子。磯野家で言ったら第4度数はサザエの夫マスオだ。

「♈11国家元首」が波平、それと対になる「♈12自由往来」がフネ。国民に選ばれた元首と、その元首が仕切ることのできない渡り鳥。♈11と♈12の間にできたサザエが「♈13爆破失敗」。たとえ正当な怒りでも、爆弾テロは正当ではない。「♈14蛇の誘い」は「爆破失敗」と対になる。

「♈13爆破失敗」サザエと対になり、補完する「♈14蛇の誘い」マスオ。「♈13爆破失敗」では、怒りや抗議が問題なのではなく、その表現として爆弾を用いることが問題とされていた。それは「爆発させたあとのこと」を考えていない行為だから。目的と手段がごちゃごちゃだから。

「怒りや抗議は正当だけど、爆弾でそれを表現するのは正当とは言えない」これを「禁止果物を食べておとなになること」にも当てはめてみよう。「♈14蛇の誘い」は「♈13爆破失敗」を受けて対になるからね。

どんなこどもも、いずれおとなの味を覚える。楽園の男と女も、また。おとな味の禁止果物は「食べなきゃいい。親の言いつけを守っていればいい」というものではない。♈13で「イエス社会的抗議・ノー爆弾」だったように♈14でも「問題は食べることではなく、食べたあとのこと」

「盗み食いまでは許しても、食べたからには責任逃れ・責任転嫁はゆるされない」当番の私見だけれど、これがアダムとエヴァがあんなにこっぴどく叱られた理由だったのではないかしら。「おとなの味を覚えたら親の扶養から外れる→楽園を出る」も勿論あるけれど。

牡羊座前半の第3グループは、思えば「♈11国家元首」から一貫して「ルールと境界線」をテーマにしている。どこまではOKでどこからがダメなのか。禁止果物を食べるとき、最初の人間たちはどうやら「あとのこと」をあまり考えなかったようだけど、いまの人間たちはどうかな?

「♈14蛇の誘い」を前の2グループのマスオ(5度組の第4度数)たちと比べてみよう。「1と2の間に3が生まれる」の法則は、連続する3グループの同度数同士でも成立する。第3マスオ「♈14蛇の誘い」は第1マスオ「♈4二人の世界」と第2マスオ「♈9水晶凝視」のこどもでもある。

牡羊座前半各グループのマスオ(第4度数)をサザエ(第3度数)と比べながら見ていく。「♈4二人の世界」を実現するには「♈3俺が祖国だ」の大きな主語を諦めて「私とあなた」という小さな主語の関係を作る必要があった。

「♈9水晶凝視」で水晶に何かを見るには「♈8風立ちぬ」の敏感なこころを鎮め、ノイズを排する必要があった。「♈14蛇の誘い」は未遂の「♈13爆破失敗」と違って禁止果物を食べてしまったのであれば、責任逃れはできない。おとなの落とし前をつけなくてはならない。

「♈4二人の世界」のテーマ「小さな主語で等身大の対人関係をつくる」と「♈9水晶凝視」のテーマ「こころを鎮め、何かが見えてくるまで待つ」。ふたつのテーマが、第3グループのマスオ(第4度数)「♈14蛇の誘い」の中にも生きている。禁止果物、齧るのは一瞬でもおとなは一生。

生まれたときのホロスコープで「♈14蛇の誘い」は何ハウスにあるかな?穴埋め #アストロ短歌 で確認。

「○○○○で(五音・ハウス) はじめてだけど(牡羊座) 見つめたい(太陽) 蛇の誘いはおとなへの道(牡羊座14度)」

#サビアンシンボル物語

【♈️14蛇の誘いをより深く理解するための比較対象シンボルリスト】
♉14干潟遊び(となりのサイン)
♊14以心伝心(60度)
♋14闇を見る修行(90度)
♌14俺の歌を聴け(120度)
♎14回復タイム(180度)
♐14古代の遺産(120度)
♑14歴史は繰返す(90度)
♒14ショートカット(60度)

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