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乙女座11度「望みはスペル」

2018年9月2日21時43分、トランジット太陽が乙女座数え11度へ入ります。乙女座数え11度のサビアンシンボルをぎゅぎゅっと五文字くらいに圧縮すると「望みはスペル」

「♍11望みはスペル」の原文チェック。黒字が1925年ジョーンズ版「母親の息子に対する切望に沿ってかたどられた(ある)少年」。動詞としての mold は「かたどる」。青字が1975年ルディア版「自分の赤ちゃんの中に(ある)母親が息子を望む自分の深い切望が報われたのを見てとる」


「♍11望みはスペル」の番地チェック。乙女座前半(往路)の、5度ずつに分けた第3グループ(おわり)の、第1度数。どの5度組でも第1度数はそのグループのテーマをバンと打ちだす。磯野家で言えば第1度数は波平。


ドデカテモリーで見る「♍11望みはスペル」番地チェック。♍1で新月(太陽と月の合)が起きたとする。10日間で太陽は10度進んで11日目には太陽乙女座数え11度。同じ10日間で月は130度進んで11日目には月山羊座数え11度で太陽とトライン。♍11は「乙女座の中のちいさな山羊座」

「♍11望みはスペル」でございますが。有名本で「母親の期待の鋳型にはまる少年」と訳されていることもあり、マザコン?母親の過干渉??みたいなマイナスイメージで捉える方もいらっしゃるのではないかと当番ちょっと心配。「鋳型」という語感がいかつ過ぎるのですよね。

最近レジン細工が人気になってきましたが、あのトロトロの液体樹脂を流し込む型ありますね、あれ「モールド」って呼びますね。ゼリーとかババロアとかの液体を流し込む型ありますね、あれゼリーモールドね。クッキーの生地をハートやお花に型抜きするやつ、あれクッキーモールドね。

鯛焼きや大判焼を焼く型もモールド。元々溶けた金属を流し込む「鋳型」もそうなのだけど、モールド(mold 型)に流しこんで固める(mold かたどる)前のものって「ドロドロしていて決まった形がないもの」なのね。型に入れて固めないと際限なく広がってしまうものなの。

「母親の期待に沿ってかたどられる(molded in his mother's aspiration for him)」って「本来存在するこどもの個性を母親の期待で潰す」とはちょっと違うの。放っておけば丸くなるスイカに四角い枠を嵌めて育てるのではなく、ゼリー型にゼリー液を入れるように形をつける。

確かに、同じ形のものを量産するため繰り返し使われる mold というものもある。でも一回こっきりで壊してしまう流し込み用の型枠も mold と呼ぶ。いずれにせよ mold に流し込まれ硬化するまでは、流し込む方のドロドロした素材に「決まったかたち≒個性」はないの。

ルディア版のシンボルでは、母親が自分の赤ちゃんを見て「息子がほしい」という自分の深い切望(deep longing 心の底から待ち望むこと)が報われた(answered)ということに気付く。まず息子が欲しいという強い願いがあり、その強い願い通りのこどもがうまれた。

こういう「親になる者が強い望みを持ち、やがてそれが実現する」という展開は昔話に多く登場する。『眠り姫』の国王夫妻。『ピノキオ』のゼペットじいさん。『白雪姫』の王妃。肌は雪のように白く頬は血のように赤く、髪は黒檀のように黒い子が生まれたらいいのだけど。

『白雪姫』の母后は白雪姫がまだお腹にいる頃に「肌は雪のよう、頬は血のよう、髪は黒檀のような子だったらいいな」と望んだ。『ピノキオ(ディズニー版)』のゼペットじいさんは「自分の作った木の人形が生きていたら」と望んだ。そして望みは叶えられた。

まずはじめに誰かの強い望みがあり、次にその望みを器として現実が注ぎ込まれ、その望みどおりにかたどられる。こどもはいつか成長し、親の手を離れてこども独自の望みにより人生をかたどっていくようになる。しかしそれ以前に存在したのは子をその身に宿し育む母の望みなのだ。

望みはスペル(呪文)。望むまでは他のどんなかたちにもなる可能性があったものが、望みという型に満ちてそのとおりのかたちになっていく。目の前のこどもが望みのままの姿をしているのを見て、母は喜びに溢れる。私の願いは聞き届けられた。こんな子がいいなとずっと思ってた。

「♍11望みはスペル」とトラインになるのは「♉11私だけの花」。牡牛座は地の不動サイン、まんなかの地。その数え11度は自分の花に水をやる女。星の王子さまがバラに水をやったように、手間暇と気持ちを傾けるほど対象への愛は育つ。

乙女座は地の柔軟サイン、おわりの地。その数え11度は「こんな息子だったらいいのにな」という願いが叶ったことをうまれたリアル息子を見て知る母親。母親はどんなに喜び愛することだろう。♉11の女性が花に水と時間を注ぎ込んだように♍11の母親は息子に夢を注ぎ込んだのだ。

「♍11望みはスペル」とスクエアになるのは「♊11新たな地平」。双子座は風の柔軟サイン、晩春の風。その数え11度は手つかずの新天地へ向かって、それぞれ夢を抱いた人々が散らばっていく。乙女座は地の柔軟サイン、晩夏の地。その数え11度では母が望みの型へと息子を囲い込む。

望みは慎重に、叶ってしまうかもしれないのだから。言うことを聞けというときには気をつけて、こどもたちは耳を傾けるだろうから――

(ミュージカル「イントゥ・ザ・ウッズ」より第二幕フィナーレ Children will listen)

「♍11望みはスペル」は乙女座前半(往路)第3グループ(おわり)の第1度数(波平)。同じ乙女座前半の第1(はじめ)・第2(まんなか)グループの波平ズと比べてみよう。1がテーマを打ちだし2が1の裏打ちをし3が1と2のいいとこ取りをする関係はグループ間でも成り立つ。

乙女座前半第1グループの第1度数は「♍1顔はアイコン」。肖像画を描くときには、その人の顔だとわかってもらえるように特徴や見てもらいたい箇所は強調し、目立たないところや注目してほしくない箇所は省略する。見る人の視線を誘導して、印象をコントロールする。

乙女座前半第2グループの第1度数は「♍6浮世は回る」。回転木馬は世間の模型。浮き沈みを繰り返しながら一定方向へ進み、一周してもとの位置へ戻ってくる。こどもたちだけでなく、おとなたちも大なり小なりどこかの回転木馬、浮き沈みのある型枠にはまり込んで回っている。

強調と省略で顔をデザインする「♍1顔はアイコン」と浮いて沈んではい一周の「♍6浮世は回る」をいいとこ取りして「♍11望みはスペル」がうまれる。「こんな子が生まれたらいいのにな」という望みは型(♍6)だ。「こうならいい」という特徴は盛って、他は省略(♍1)

母親の望みが型(名詞 mold)となって、息子をかたちづくる(受動態の動詞 to be molded)。望みが現実をコントロールし、望ましい特徴は盛りあげ、そう望ましくない特徴は削る。肖像画を描くように。こどもを回転木馬へ乗せるように。それは「デザインする(企図する)」ということだ。

創世記の神は光あれと言った。すると光があった。創世記の神は土を捏ねて自分の似姿をつくり、鼻から息を吹き込んで命を与えた。そうやって最初の人間はできた。神がかたちづくる前、まだ人間はいなかった。他のどんなかたちにも捏ねあげられる土がそこにあるだけだった。

創世記で神が土を捏ねだす前に人間は存在しなかった。神がそのようにつくろうと企図した(デザインした)とおりに人間はかたちづくられた。母親の願いに沿ってかたどられた男の子も同じ。そうかたちづくられる前には、どんなかたちになる可能性もあった。

神が土を捏ねてつくった最初の人間アダムはやがて言いつけに背いて智慧の実を食べ、楽園を去っていった。ある母親の望むとおりにかたちづくられた夢の息子も、いつか彼自身の望みに従い、母親の言いつけを破って自立するだろう。しかし最初にあったのは、生む者の望みなのだ。

うまれたときのホロスコープで「♍11望みはスペル」はどのハウスにある?今日の太陽はそこを照らす。穴埋め #アストロ短歌 で確認しよう

「○○○○で(五音・ハウス) 細部にわたり(乙女座) つくりだす(太陽) 望みはスペル夢を象(かたど)る(♍11)」

#サビアンシンボル物語

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