乗馬の体験レッスンへ行ってきた
先日ちょこっと書いた、地元乗馬クラブの体験レッスンへ行ってきました。
乗馬ブーツとヘルメット、そして万が一落馬したときに体を守るエアバッグ付きベスト(というものがあるんですねえ)のレンタル代が1650円、一口傷害保険料が210円、合わせて1860円、レッスン料はかからないという1回体験限定の破格のお値段。ここを入口として、楽しかったら入会を検討してね! というプランです。
楽しかった。ほんの短い時間だったけれど、お馬さんに触れるのも乗るのも実に楽しかった。本気で入会しようとしたらだいぶ入会金もお月謝も、用具代もお高いのだけれど、ちょっと心が動いてしまった。「50代60代から始める人も多いんですよ」とは職員さんの弁。目的も体力維持から馬との触れ合いまで色々。確かに馬場へ出ている会員さんたちの年齢層が広い。お子様からおじいちゃんおばあちゃんまでいる。白髪を短く揃えたシュッとしたおばあちゃまが馬を駆っているの、かっこよかったなあ。
職員さんが交代でついてくれて、まずは動画でみっちりお馬さんの基礎知識を講習。「お馬さんは体が大きく力が強く、そして臆病な生き物です。馬を不安にさせない行動をすること、自分の安全は自分で守ること。ここでの怪我は人間側の自己責任になりますよ」と念を押されます。ブーツ・ヘルメット・エアバッグベストの装着は当番が初心者なので職員がしっかりチェックを入れてくれます。貸出用ブーツはサイドゴアのショートブーツを履いて脛にジッパー式のゲートルを巻くタイプでした。
乗馬クラブの職員さんたちはちょっと航空機や船舶の乗務員に雰囲気が似ています。便利だが大きく危険な存在でもある馬を守り、馬に乗る人間も守るためにそこにいる。乗馬クラブでは馬のプロである職員さんの指示が絶対です。飛行機や船舶の乗務員に乗客が従うのと同じ。職員さん、みんなかっこよく頼もしいです。
乗る馬の支度が整うまで、クラブハウスの大きな窓から会員の皆さんが馬を駆っている馬場の様子を見て過ごします。よく晴れた三連休の初日、クラブへ来ている会員も多くてたくさんのきれいなお馬さんを見られました。みんなぴかぴかのいいお尻ときれいな尻尾をしていました。眼福眼福。それと同時に「えっ、私も今からこの馬場へお馬さんに乗って出るんですか?」とちょっとビビります。みんな軽々と馬を歩かせたり走らせたりしているので。
もっとも、その心配は杞憂でした。体験レッスンは馬と乗り手が複数組集まっている馬場ではなく、土俵みたいな小さい丸い馬場で受講生ひとり・お馬さん一頭・マンツーマンで指導してくれる職員さんひとりで行うものでした。デスヨネーまだ他の人に混じって大きな馬場へ出られないですよねえ。「体験用」と書かれた区切りにいるお馬さんとまずは対面して、額あたりに手を置きご挨拶。今年16歳(人間換算で50代)のどっしり落ち着いたおじさん馬(※去勢済)でした。
レッスン内容は「乗る」「馬上での姿勢の保ちかたと目線の位置を覚える」「足で蹴って歩かせる」「歩きだしたら首筋を叩いて声をかけ、褒める」「馬が立ち止まったら再度蹴って促し歩かせる」「手綱を引いて止める」「止まったら褒める」「歩いている馬の上で体操をする(片手を頭上へ・腕を前後に大きく回す・上体を捻って馬のお尻にタッチ・左右を替えて同じことをする)」「職員さんが馬に指示して軽い速歩をさせる間、バランスを取って乗り続ける」「下馬する」
実際やってみてわかったことは「馬は乗るより下りる方が難しい」ということ。乗るときは踏み台に上がって左足を鐙に入れ、手綱と馬のたてがみを左手で掴んでよいしょと跨るのですが、下りるときは踏み台なしです。左足に体重をかけて右脚を浮かせて後ろへ回し、馬の胴体とお尻をまたいで馬の左側へ下りるのですが。当番は股関節が硬すぎて右脚を上げきらずお馬さんのお尻を蹴りそうになり、職員さんをもうひとり呼ばれてふたりがかりで介助してもらう展開になりました。もしも当番が乗馬クラブへ入るなら、馬への乗り降りをひとりでできるように股関節をもっと柔軟にしておかなくてはなりません。馬の横腹をポンと蹴ろうとしてうまくできなかったりしたのも、おそらく当番の股関節が硬かったからではないかと思います。
馬に乗ってみたら、これまで5ヶ月間通っていたジムの筋トレマシンではついぞ動かしたことがなかったような部分の筋肉への刺激を感じました。内腿と腹筋です。たぶん背筋にも刺激が入っているけれど、背筋へ刺激が入るマシンは結構使っているからそこまでつらくはなく。一夜明けた現在、腹筋と内腿が猛烈な筋肉痛です。自分に足りないものがわかってしまった。「乗馬をやると姿勢がよくなりますよ」と職員さんが言っていたのもよく理解できました。姿勢よくしていないと落馬しそうになる。そして下馬した後も姿勢よく座っていないと筋肉痛に響く。乗馬、続けたらものすごく体幹が鍛えられるだろうなあと思います。
そして乗馬はカロリー消費が結構高い。自分が走り回るわけでもなく重いウェイトを持ち上げるわけでもなく、むしろお馬さんに運んでいただいている状態にもかかわらずカロリー消費が高い。当番は朝しっかりと朝食をとり(前夜の残りのカレーライスにチーズを追加し、さらに目玉焼きをふたつのせた)、集合時刻(11時半)より大幅に早く集合地点へついてしまったので早めの昼食までとったのにレッスンが終わった13時半には猛烈に空腹でした。食べたものどこへ消えた。こんなに健康的な空腹感は実に5ヶ月ぶりです。
これはレッスン後に許可を得て撮影したお馬さん。他の馬よりちょっと大きくがっしりとした体つきでした。当番のような大きくて重たい、体の使いかたが不器用な人間を乗っけてくれてありがとうねえ。なぜか乗馬クラブにいる人達、みんな小柄。騎手も小柄な人が多いしお馬さん的には小さく軽い人の方がラクでいいのかも。
楽しかったなあ。体験レッスン後にいつもの如くチョコザップで運動をしたのですが、窓ガラスへ映る自分の顔が終始ニッコニコしてたくらい楽しかった。よい運動になって、馬という大きな生き物と接することができて、あとは職員さんや会員さんとのコミュニケーションもたくさんある。普段当番が通う、人と会話しなくていいしコーチやトレーナーがいるわけでもない、「基本は自主トレ」なチョコザップとは真逆の環境です。でも、こういう乗馬クラブのような環境も悪くないなと思いました。明るくてややオーバーめのトーンで話すのは「馬を怖がらせないため」と職員さんは言っていました。低い声や叫び声、怒鳴り声は出さない、ボソボソと話すこともしない。わかりやすく明るく、まっすぐに穏やかに話す。それが馬を守り馬に乗る人間をも守る。「スポーツは怒鳴られるもの」と刷り込まれてきてそれがイヤだった身には「怒鳴られないスポーツ」乗馬はそれだけでだいぶ魅力的です。
しかしながら乗馬クラブへ入るなら、あと15kgは体を軽くしてからかなと思っています。お馬さんと並んで記念撮影してもらったのだけど、とてもここへは載せられません。見た途端「痩せよう!」と思ったもの。乗馬クラブの会員さん、みんなスリムだし。「50代60代から乗馬を始める会員も多い」というのを励みに、まずはジム通いで痩せよう。「ジムへ通って『その先』で、何ができるようになりたい?」と自問したとき「医療費のかからない体になりたい」「自分のしたいことをして行きたい場所へ行くのを自分のデブと自分の不健康が足を引っ張らないようにしたい」の次に「馬に乗れる体になりたい」が浮上してきました。
軽くて、筋力があって、柔軟性があって、器用な体。体を鍛えてマラソンを走れるようになりたいとは思わないし、ダンスができるようになりたいともあまり思わないし、山へ登りたいともあまり思わない。だけど、馬には乗れるようになりたいな。馬へ上手に乗るためだったらトレーニングに励むことができるかもしれない。費用もね、馬に乗っても(馬に)負担ではないくらいに痩せたらその分医療費(診療代と薬代)がかからなくなって、乗馬クラブへ入会して月にいっぺんくらい乗りにいくお金は捻出できそうなんですよ。馬に乗れない週はジムで基礎体力と筋力を維持して。
そしていつか。いつかとは言わず、そうですね、木星期を終えて土星期に入る頃には当番さんライダーおばあちゃん(バイクではなく馬の)デビューを飾りたい。それを忘れないために、クラブでお馬さん型のカラビナを買ってきました。鍵につけています。次は入会のために、ここへ戻ってこられますように。