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『のび子ちゃん』はいいぞ

2024年3月3日のツイートまとめ。pixivに公開されている『ドラえもん』の二次創作マンガ『のび子ちゃん』はいいぞ、という話。リンクを貼っていいのかわからないので貼らないけれど、「のび子ちゃん」でGoogle検索すればすぐヒットする作品なので、各位探してお読みいただきたい。

【『のび子ちゃん』の概要】
ドラえもんがのび太くんの元から去っていった後の話。小学校時代を「のび太くん」として過ごしていた主人公は中学校への入学式を機に「のび子ちゃん」になった。女の子の制服、女の子としての生活。それまで「弱虫で学業不振の男の子」だったのび太くんは「大器晩成型でようやく学業で芽を出していく女の子」のび子ちゃんへと変わっていく。その変化をそれぞれに受けとめる小学校時代の友人たち。ジャイアン・スネ夫・しずちゃん……そして、「のび子ちゃん」を異性として意識し始める出来杉くん。

以下、2024年3月3日の感想ツリー

のび子ちゃんのマンガ、上手いんだよなあ。のび太/のび子と出来杉くんとの緊張感ある危うい関係性もいいんだけれど、「女の子」としては晩生だったのび子に対していつだって「女の子」としても学業面でも頼れる存在だったしずちゃんが、のび子が出来杉くんを気にしているのを察して身を引くとことか。

そして身を引いた後で「そうか、私失恋したんだ」とひとりごつ、しずちゃんの胸のうちな……ほんの2年半前まで「のび太さん」だった現「のび子ちゃん」へ向かう、しずちゃんからの矢印が確かにあって。でも出来杉くんからの矢印がいまのび子へ向き、のび子からの矢印も出来杉くんへ向かっていて。

それをドラえもんなきいま「のび太/のび子」のいちばん近くで見ている立場となったしずちゃんは全部知っていて、そして自分が向けていた矢印をひそかにそっと降ろす。ほんの2年半前まで小学生だった、中学3年生のしずちゃんの「そうか、私失恋したんだ」というモノローグの、誰にも聞かれない静かなビターさな……

「のび子ちゃん」、当番は傑作だと思うよ。メインの「のび太/のび子」と出来杉くんの関係もいいんだけど、脇筋で短く描かれるしずちゃんの感情描写がすごくいいと思う。

『のび子ちゃん』におけるしずちゃん、『赤毛のアン』のダイアナタイプの女の子なんだけど(のび太/のび子はアンタイプ)、『赤毛のアン』のダイアナはアンの紡ぐ想像力と創作の世界から早々に離脱しちゃってアンはそれを嘆くのね。アンとダイアナだと矢印はアンからの方が強くてアンが「失恋」する。

『のび子ちゃん』では晩生だと思われていた「アン」タイプののび子が、「女の子」としていつでも頼れる先輩かつ友達だった「ダイアナ」タイプのしずちゃんをとうとう置いて、『のび子ちゃん』世界の「ギルバート」でもあるような出来杉くんの方へ踏み出していく。それを見送り涙を流すしずちゃん。

去っていくのびちゃんの背中を見送って「私、失恋したんだ」と自分→のび太/のび子の感情に向き合うしずちゃんに『赤毛のアン』の「ダイアナ」を見て、そして「『アン』でのダイアナはこんな風に自分から離れていくアンを惜しんではくれなかったもんな※」と思い返して、ちょっと涙腺がゆるんだ。

(※2024年6月24日追記。『赤毛のアン』アニメ版だとクイーン学園受験組の補習授業が開始された辺りで、家庭の方針により同学年女子で唯一クイーン学園を受験しない=16歳でアヴォンリー校を卒業したらもうそれ以上の教育は受けないダイアナが「アンたちに置いていかれる」と泣くエピソードがあるけれど、原作ではそこまで描写はされない)

『のび子ちゃん』は、のび太/のび子もいいけど、しずちゃんもいいぞという話。小学生の頃から「女の子」であり中学生になっても「順調に『女の子』をしている」ような「優等生の美少女」しずちゃんにだって感情があり、こどもからおとなへ向かう思春期にはしずちゃんもしずちゃんなりに思い悩むのよ。

『のび子ちゃん』世界線のしずちゃんは、いいぞ……とてもいいぞ……

あと、細かいところだけど中学生ジャイアンのシルエットが小学生時代のお腹がぽこんと出た「発育のいい食べ盛りの幼児体型」から第二次性徴プラス運動部で体を鍛えまくっているのを加味した逆三角形に変わっていく(1年生→3年生で段階的に変わる)描写がすごく好き。描写力ー!

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