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胃袋を掴まれる(よくない意味で)

週末療養中の星見当番です。絶不調です。昨日のアストロ同人誌(紙版)通販一時休止のお知らせ以降、返信諸々滞っていて大変申し訳ないです。シンプルに、起き上がる体力がありません。

(昨日のお知らせはこちら)

当番、とある基礎疾患を持っております。今回の絶不調は「その基礎疾患が悪化したから」……ではございません。「その基礎疾患をマシにするために導入した新しい薬の副作用が強いから」です。

薬を使えば「血液検査的な意味ではより健康」にはなるんです。ただし「日常活動的な意味では絶不調」になる。薬を使わなければ「日常活動的な意味では元気」だけれど「血液検査的な意味では不健康」のまま。世の中うまくいきません。この基礎疾患、少なくとも当番が患っているレベルの進行度では「日常生活を送る分にはまったく不都合がない」のです。重篤になればもちろん、色々と生活に支障が出ます。失明したり、手足を切断する必要が出たり、透析が必要になったりですね。

当番は「朝起きて仕事へ行って夕方まで働いて帰ってくる分には特に支障がない状態」から「ものすごく支障がある状態」へ転がり落ちないために、現在ちょっと強めのお薬を導入しているわけです。しかし、そのお薬で生活に支障が出てりゃァ世話がねェや……というのが現状です。

使っているのはざっくり申し上げて、「食欲を抑える薬」です。「満腹感が長く続くので、食事量を減らすことができる」という触れ込みの。お薬の名前で検索すると、当番と同じ疾患持ちで使用している人の経験談より先に、美容及びダイエット目的で高いお金を出して(※健康保険適用外のため)使用している人の経験談が先に、かつ、大量に出てきますわね。病気治療の一環で、もちろん健康保険適用で同じ薬を使っている当番からすると「マジかよ、美容クラスタの皆さんは胃がタフだな!」と思います。

「食欲を抑える薬」「満腹感が長く続くので食事量を減らすことができる薬」。そう聞かされてふんわりと思い浮かべたのは「ああお腹いっぱいだな、まだお腹が空かないな」という穏やかな満足感。「お昼を食べたのに、もうお腹空いたああああ! つらいいいい!」という切なさが来ないのなら、願ったり叶ったりだなと思った当番が甘かった。

「満腹感が長く続く」の実態は「胃の蠕動を抑えて食べたものが胃に滞留する時間を長くする」というものでした。胃袋って常時、蠕動と言ってグニグニグニグニ、蠢いているものなんですね。そのグニグニを、お薬で強制的に、止める。するとどうなるか。今までは新たに食べ物が入ってくれば元気にグニグニグニグニと「現在の在庫」を腸へ送りだして新規入庫を受け付けてくれていた胃袋さんが、「現在受け付け不可です!」と強く突き返してくるようになる。

突き返されるとどうなるか。はい、リバースです。汚い話で申し訳ない。「受け入れて揉んでみたけど無理だったわ! ごめん!」という場合は下流に強制放出です。尾籠な話で重ね重ね申し訳ない。確かに「満腹感」は続きます。「空腹感」もないです。確かに「食事量は」減ります。常に吐き気か腹痛を感じていて、実際どちらかの出口から強制排除が繰り返されていて、それどころではない。

かつて「カロリーの妖精」と自称していた当番の食生活は一変しました。他人の食べている一般的なお弁当類の匂いで吐きます。豆腐・豆乳・お醤油の匂いでも吐きます。周囲のお子さん持ちに「つわりみたいだね」と言われております。少量の白粥と脂肪分の少ないスープ類と卵ボーロで生きております。赤ちゃんか。

味覚が若干変わりました。以前食べていておいしかったものが最近全くおいしくありません。嗅覚は鋭くなりました。鋭くなりすぎて遠くから微かに漂ってくる食べ物の匂いを捉えて「受け付け不可です!」と胃が強制排出を始めるので困っています。

SNSを眺めて、料理好きアカウントや料理研究家アカウントのおいしそうなレシピを保存しては試作するのが楽しみでした。今は「これが食べられる体調に戻るのはいつになるかな」と思いながら保存するのみです。ブックマークに「今はムリそうなレシピ」が貯まる一方です。

「強制胃弱薬」、そう当番は呼んでおります。これまで数十年生きてきていちども体験したことのなかった「胃弱」の日常を当番、ただいまイヤというほど味わっております。胃弱といえば夏目漱石です。大変だったんだなあ漱石。

胃の活動能力に日常生活から仕事の能率、情緒まであらゆることが支配されてしまう。人間は考える葦だなんてとんでもない。当番は今や考える葦などではなく一本の脆弱なる消化管です。薬に胃袋を掴まれてしまった、よくない意味で。

大丈夫です、主治医の指導はガッツリ入っています。主治医は日常生活に支障の出ないちょうどいい薬の量を探り、当番は低稼働になってしまった胃袋が消化できるちょうどいい量の食事を探り、諸々調整を進めております。ぴったりした量が見つかれば、入れたものが突き返されずしっかりと消化プロセスを辿って、健康的な成果物が出荷される(婉曲表現)はずです。

お気が向いたらサポートをお願いします!サポートは当番の紅茶代となり、ひいては明日への活力となります