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魚座29度「スペクトラム」

2019年3月19日午前6時41分、トランジット太陽が魚座数え29度へ入りました。魚座数え29度のサビアンシンボルをぎゅぎゅっと五文字くらいに圧縮すると「スペクトラム」

「♓29スペクトラム」の原文チェック。黒字が1925年ジョーンズ版「(ある)プリズム」。青字が1975年ルディア版「プリズムを通り多くの色に分かれる光」。ジョーンズ版原詞の主役はプリズムそのもの、ルディア版原詞の主役は(プリズムを通って多色に分かれる)光ですね。

「♓29スペクトラム」の番地チェック。魚座後半(復路)の、5度ずつに分けた第3グループ(おわり)の、第4度数。どの5度組でも第4度数は第3度数を裏打ちする。第3度数は第1度数と第2度数のこども。磯野家で言えば第4度数はマスオ。

「♓26運命の分岐点」が波平、テーマを打ちだす。新月がはじまりを告げ、人々が各自の道へ分かれゆく。「♓27刈入れのとき」がフネ、波平を裏打ちする。秋空に満月が輝き、刈入れの時を示す。「♓28豊かな実り」がサザエ、波平とフネをいいとこ取りする。

「♓28豊かな実り」がサザエ、波平とフネをいいとこ取りする。菜園で多彩な作物(♓26)が刈入れ(♓27)を待っている。「♓29スペクトラム」がマスオ、サザエを裏打ちする。ひとすじの光がプリズム(分光ガラス)を通って多彩な光に分かれる。多彩さは♓28から引き継いだもの。

サビアンシンボル元は似ていないけれど圧縮したら似てしまったシリーズ「spect-」。「♓18スペクタクル」と「♓29スペクトラム」は「spect」までは同じ。意味は異なる。spectacle と spectrum は両方ともラテン語の spectere (見る)を語源としている。「アスペクト aspect」もこの spectere(見る)が語源。星と星が「見つめあう」のがアスペクト。

「スペクタクル spectacle」は元々「人目を引くもの、見世物」のこと。「スペクトラム spectrum」は元々「見えるもの、イメージ」のこと。「スペクター specter, spectre」と言ったら「幻影、おばけ」のこと。現在スペクトラムと言ったらプリズムから出てくる七色の光のこと。

「プリズムから出てきた光が壁に映ったとき、ニュートンはそこに、赤、橙、黄、緑、青、紫からなる光の帯を見た。ニュートンはこの現象をいささか不気味だと思ったらしく、この光の帯に『スペクトル』という名前をつけた。」(アイリック・ニュート著『世界のたね』より)

世界のたね 真理を探求する科学の物語 上 (角川文庫) https://amzn.asia/d/2tUHIw1

『世界のたね(アイリック・ニュート著 NHK出版)』はこども向けの科学史の本。著者は「『スペクトル』というのは、ラテン語で『幽霊』という意味だ」と書き添えている。単に「見えるもの」という意味ではないかなと当番は思うのだけど、お子さんは「幽霊」の方が食いつくかも。

【スペクトル?スペクトラム?】日本語では、フランス語の spectre から借用して「スペクトル」という表記が一般的だった。ニュートンはイギリス人で、ラテン語の spectrum スペクトゥルムを綴りもそのままに借用した。「スペクト『ラ』ム」はその spectrum の英語読みだ。

最近は「自閉症スペクトラム障害」という言葉で英語読みの spectrum がお馴染みになってきた。英語でAutism Spectrum Disorder 頭文字を取ってASD。コミュニケーションや言語に関する症状があり常同行動を示すといった様々な状態を連続体(スペクトラム)として包含する診断名。

Autism Spectrum Disorder, 略してASD、日本語で自閉(症)スペクトラム障害は、光のスペクトラムが赤の次は橙、橙の次が黄、その次が緑……と色相が隣り合う色の順に並ぶように、症状や性質が強く出るか、そうでもないかが連続体として存在するという意味で名付けられている。

以上、辞書的な意味のみで恐縮ですがスペクトラム繋がりでASD(Autism Spectrum Disorder)の紹介でした。サビアンシンボルの「♓29スペクトラム」解説に戻ります。白一色と見える光も、プリズム(分光器)に通すと赤から始まり菫色までの連続した光の帯、スペクトラムを示す。

1色に見えていた光の中に、多色の光がある。多色の光がまとまって、ひとつの光になっている。それはちょうど1太陽年の中に12のサインがあり、太陽が12サインをひとめぐりして1年になるようなもの。ひとりの人間の中にも多色の光があり、社会の中にもまた多色の光がある。

ひとつ前の菜園(♓28)を思い出そう。多種多様な野菜が集まりひとつの菜園になっている。ひとつの菜園から多種多様な野菜がうまれる。ひとりの人間も多種多様な性質を持ち、それら全部でその人になる。多種多様な人間が集まりひとつの社会になる。社会には様々な人間がいる。

♓28では、多様性は手で触れることができ形の定まった野菜によって示されていた。多様なものが集まった状態も見たり触れたりすることができた。♓29では多様性は光と色で示される。多様な色の光が集まると白色光になり、色は見えなくなる。みえぬけれども、あるんだよ。

白色光の中の多彩なスペクトラムは、昼間の星のように目に見えない。プリズムで分光したときだけ、まぼろし(スペクター)のようにそこに現れる。分析すれば出てくるけれど、普段の目には映らない。みえぬけれども、あるんだよ。みえぬものでも、あるんだよ。

冬の3サインで数え29度同士がどのようにつながり合うか見てみよう。地の活動サイン、初冬の地の山羊座がテーマを打ちだす。風の固定サイン、真冬の風の水瓶座が山羊座を裏打ちする。そして水の柔軟サイン、晩冬の水の魚座が山羊座と水瓶座をいいとこ取りする。

山羊座は地の活動サイン、初冬の地。その数え29度は「♑29茶殻占い」、テーマを打ちだす。カップに残る茶殻の散らばりの中にさえ、人は象徴を見出せる。水瓶座は風の固定サイン、真冬の風。その数え29度は「♒29羽化に成功」、♑29を裏打ちする。変容を終えた蝶が蛹を割ってあらわれる。

魚座は水の柔軟サイン、晩冬の水。その数え29度は「♓29スペクトラム」、♑29と♒29をいいとこ取りする。象徴を見つけ分析する力があれば茶殻からでも占いはできる(♑29)ように、分光器を通せば白色光という蛹を割って蝶の翅のように(♒29)多彩なスペクトラムが現れる。

「♓29スペクトラム」の対向シンボルを見てみよう。「♍29啓示を得る」は読んでいる書類の中に自分の蒙を啓く(illumine one's mind 精神を照らす)ような秘密の知識を見つける男。その知識を見つけて「それだ」とわかるのは、わかるだけの「見る目」を彼が備えているから。

♍29の男がもし愚か者だったら、秘密の知識を目にしてもピコーン💡と啓発はされないだろう。それを見分けて啓発される(♍29)にはそれなりの前提知識が要る。人間が全体(白色光)の中の多様性(スペクトラム)を見分けるにはそれなりの分析装置(プリズム)が要る(♓29)

「♓29スペクトラム」とスクエアになるのは「♊29自由を謳歌」と「♐29日頃の手入れ」。♊29と♐29はオポジション(180度)であり、♍29と♓29がつくるオポジションと直角に交わる。柔軟サイン数え29度の火地風水が直角に交わり、ホロスコープを四等分するグランドクロス。

「♊29自由を謳歌」は春一番のマネシツグミ。マネシツグミの囀りには多彩なレパートリーがある。思いの丈を囀る以外何もしない。「♐29日頃の手入れ」は優雅な郊外の住宅地で前庭の芝生を刈る肥った男の子。何不自由ない暮らしだが、その暮らしは日頃の手入れで維持されている。

声の限りに多彩な囀りで日々を暮らし、歌以外何も持たない♊29。何不自由ない暮らしを維持するため地味な手入れを続ける♐29。蒙を啓かれるにもそれなりの前提知識が必要な♍29。プリズムを通してはじめて見える多彩さ、♓29。柔軟サイン数え29度は見えない豊かさに関係がある。

「♓29スペクトラム」とトラインになるのは「♋29どちらが重い」と「♏29母の助命嘆願」。水の活動サイン、はじめの水の蟹座がテーマを打ちだす。水の固定サイン、まんなかの水の蠍座が蟹座を裏打ちする。水の柔軟サイン、おわりの水の魚座が蟹座と蠍座をいいとこ取りする。

蟹座は水の活動サイン、はじめの水。その数え29度は「♋29どちらが重い」、テーマを打ちだす。似たりよったりの双子の重さに白黒つけようとする。蠍座は水の固定サイン、まんなかの水。その数え29度は「♏29母の助命嘆願」、♋29を裏打ちする。我が子の死罪を母が覆そうとする。

魚座は水の柔軟サイン、おわりの水。その数え29度は「♓29スペクトラム」、♋29と♏29をいいとこ取りする。双子の軽重を決めようとする♋29、決定してしまった死刑を愛によって覆そうとする♏29。♓29はプリズム、白黒ではなく七色に分光する。七色と白、どちらも真実である。

「♓29スペクトラム」は魚座後半(復路)第3グループ(おわり)第4度数(マスオ)。同じ魚座後半の第1グループ(はじめ)、第2グループ(まんなか)のマスオズと比べてみよう。1がテーマを打ちだし2が1を裏打ちし3が1と2をいいとこ取りする関係はグループ間でも成り立つ。

魚座後半第1グループのマスオは「♓19老師直伝」、テーマを打ちだす。瓶の水を別の瓶に移すように、師匠が弟子に知識と技術を注ぎ込む。魚座後半第2グループのマスオは「♓24持ちつ持たれつ」、♓19を裏打ちする。ちいさな島の住民が互いに頼り合い、緊密なネットワークを築く。

魚座後半第3グループのマスオは「♓29スペクトラム」、♓19と♓24をいいとこ取りする。♓19の関係は師匠から弟子への一筋で一方通行。♓24の関係は住民相互で多方向。♓29の光は分光器を通れば多彩に広がり、通さなければひとすじの白い光に見える。

魚座後半第3グループ第4度数の「♓29スペクトラム」と魚座前半で対になるのは同じ第3グループ第4度数の「♓14尻尾は出さぬ」。キレキレの知性を狐の毛皮に包み、能ある淑女は爪を隠す。一方、♓29の白色光は七難ならぬ七色のスペクトラムを隠している。プリズムを通せば現れる。

うまれたときのホロスコープで「♓29スペクトラム」はどのハウスにある? 2019年3月19日の太陽はそこを照らした。穴埋め #アストロ短歌 で確認しよう

「○○○○で(五音・ハウス) ファンタジックに(魚座) 披露する(太陽) スペクトラムに分かれる光(♓29)」

#サビアンシンボル物語

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