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迷った判断も正しいよ

最近、とあるメゾンの路面店に立ち寄る機会がありました。
ついつい、頭でっかちで情報をインプットした後に訪問しがちな私ですが、今回はなるべく情報をシャットアウトし、ゼロの状態で香りを試してみました。

路面店なので、お店の店構えや内装はとてもとても素敵なものでした。
ほかのお客さんがまだ一組しかいなかったので、私はすぐに店員さんにつかまりました。
好みを聞かれ、ざっくばらんにホワイトフローラルが好きだと伝えると、おすすめを紹介してくださいます。
1つ、2つ…
方向性を変えてまた1つ、2つ…

新しい香水を選ぶ楽しさ、既に持っている香水のワードローブとの比較を頭の中で繰り返しながら、ムエットと肌の上をかぎ比べます。

あれこれと悩んだものの、その日、私は一つも購入することはありませんでした。
時間が経った後の香りを知りたかったですし、候補のうち、2つから1つに絞りきれなかったためでもあります。
(そのメゾンで一度に2つお迎えする、という選択肢もありますが、まずは1つ、と考えていたので)

私が滞店していた時間はそう長くなく、15分ほどだったと思うのですが、その間にお店がわっと混雑してきてしまいました。
冷やかしだけで、すぐに去っていったお客さんもいれば、熱心に香りを検討するカップル、夫婦など様々です。
混んできただけでなく、私が購入を迷っている姿勢を意識したためか、接客してくださった店員さんはあっさりと私をあきらめました。

持ち帰り用のムエットに、何種類かだけを吹き付けて渡してくれ、そそくさと次のお客さんに取り掛かってしまいます。

これは寂しかったです…。
むしろ、一人でじっくり選ばせてください、と事前に伝えなかった私も良くなかったのかもしれませんが…。

私は香水の即決・即買いを推奨していません。
香水は、そもそもムエットと肌の上では香り方が異なるものです。
お店にいるごくわずかの時間で感じ取った香りよりも、ある程度時間が経った香りの方が、よりあなたと長く一緒に過ごす香りである可能性が高いです。
香水とは、トップノート、ミドルノート、ラストノートと香りが変化していくものであり…と講釈を垂れるまでもなく。

よほど一目惚れ、ならぬひと嗅ぎ惚れをした場合や、その場でなければ手に入りにくい状況を除き、即買いは控えたほうが良いですよ。と、私が運営するサイト「OL香り総研」で書いた通りです。

香水店で香りを選ぶ時に、知っておくと役立つポイント
 https://kaori-souken.com/archives/212

とはいえ、私も即買いの経験は豊富にありますし(笑)、そういった出会いも大切です。

ただ経験上、勢いで購入した香りほど、まとう頻度は少なめになりがちです。

「この部分は好きだったんだけど、時間が経つと出てくるこの部分が苦手で頻繁には使わない」というパターンです。
何本お迎えしても、香水って奥が深い。香水って面白い。でも、難しい。だからこそどんどん引き込まれていくのでしょう。

後で落ち着いてから肌の上とムエットを嗅ぎ直してみると、やはり、迷った自分の判断に狂いはなかった、と確信したのでした。
ちなみにこちらのメゾンはとても魅力的ですし、近いうちに1本か2本(最低でも笑)、お迎えするのは間違いなさそうです。
早くまた足を運んでみたいものの、接客いただくならばこの日とは違う店員さんであってほしい。そう願わずにはいられずにおります。

余談ですが、お店としても、メゾンそのものを長く愛用してもらったほうがお客さんのLTBは伸びると思うのですが、いまこの瞬間の1本、今日の売上を伸ばさなければ明日はない。そんな状況なのかもしれないな、と思う宣言下の今日この頃です。

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