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百鬼夜行と紙石けん

夜。

湿度の高い夜に風が強く吹いていると、見えない何かがざわざわと通り過ぎていく感じがする。

見えない何かは、お化けかもしれない。お化けとは、幽霊や妖怪や、ようするに人を不意におどかしてくるものたち。
たいていは異形で。たいていは人に悪さをする。悪さとは、具合を悪くさせるもの。どうかすると、病を起こさる。

ざわざわと通り過ぎるのは、肉眼では見えないもの。でも、顕微鏡ならもしかしたら見えるかもしれない。

魑魅魍魎とは、ウイルスとか細菌とかの病原体のことだったのだろう。

悪いものを退散させるために、御神木を炊いてその煙でお祓いする。
御神木とされるものに、楠が多いのは、その成分にある。
雑菌を消毒する力がある成分を多く含むから。

ウイルスや細菌についてはまだ知らなかった昔の人々には、まだその概念すらない。それでも、楠を炊くと、その「いい香り」のする煙によって、悪い奴らが清められると、信じていたし、実際に清められたのだろう。

さて今の私たちは。
ウイルスと闘うときに、こうしたアロマテラピーの力を使うこともあるし、もう少し科学的な方法でも戦おうとしている。
けれど、おそらく基本的なことは違わないだろうなぁ、と思っている。

石けんが持っている、たんぱく質を壊す働き。
今、紙石けんが注目を浴びているらしい。紙石けんなんて、むかーしの少女たちの持ち物のようだけど、最近また新しいパッケージで人気が出ている。

こんなキラキラしたパッケージで、「おしおきよ!」と言っているみたい。

石けんや、空気を清浄するクスノキの精油の香りを「いい匂い」と感じるのも、きっとヒトの動物的な本能だよね。


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