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手づくりできる「バーム」をわざわざ開発する理由

※2020年11月26日の投稿

来春発売のオーガニックスキンケア。

ブランド名も決定し、商標登録の手続きを済ませ、製造会社さんとのやりとりが進んでいます。

第1弾のアイテムはバームとセラムの予定。

今日はバームについて書きたいと思います。

バームを開発する理由


料理をするように、スキンケアもまた自分の好みや体調、体質に合わせて手作りすることができます。なかでも簡単に手作りできるアイテムがバーム。

例えばホホバオイルとミツロウだけでシンプルな処方のバームができあがる。

手作りできるものを、なぜわざわざ開発するのか?

それにはもちろん理由があります。

結論から言ってしまうと

●バームはお肌に必要なものだけを入れられる超貴重アイテムな上に
●ただ作るのでなく、「薬用植物に関する知識や経験」を活用することで、お肌への作用を調整できるから。

たかがバーム。されどバーム。

なのです。

バームは添加物フリーの
超貴重アイテム

第1に、バームのすごいところは

市販のスキンケアアイテムに必ずと言っていいほど入っている「合成界面活性剤」と「防腐剤」

を入れなくてよいところ!

【合成界面活性剤フリー】

合成界面活性剤自体に毒性があるわけではないのですが、問題はその作用です。

とにかく脱脂力が強い!

「強力な脱脂力」で肌のバリア機能を担う皮脂膜や細胞間脂質を根こそぎとってしまう

ことに問題がある。

だから角質層が元々薄い人(顔が赤くなりやすい人や血脈が薄く見える人、日焼けした時に赤くなる人は角質層薄めです)は

合成界面活性剤の入っているものを使うと敏感肌になっていくし、お肌が強い人でも長年大量の合成界面活性剤入りの化粧品を使っていれば乾燥肌になっていく。。。

バームの場合、水分が入らないので水分と油分を乳化する必要がなく基本的には入らない。

入ったとしても、例えばテクスチャーをよくするため乳化作用弱めのレシチンが微量入る程度なので、乳液やクレンジングのような量の合成界面活性剤を入れなくてよいというのがよい点かと思います。

【防腐剤フリー】

さらに防腐剤。

防腐剤を入れることで真菌が繁殖せず、化粧品が長持ちし品質が安定する。売り手から見ても買い手からみても便利です。

一方で、防腐剤は合成のものはもちろん植物由来であれ、程度はあるもののお肌の刺激になりうる。

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よく知られているとおり、肌の表面には「皮膚常在菌」がいます。

この子たちの中の一部が、皮脂や汗をエサにグリセリンや脂肪酸を作り出すことで、お肌は弱酸性に保たれ、お肌は天然の潤いヴェールに包まれる。

「皮膚常在菌」がいるからこそ、肌の健康が保たれます。

が、しかし。

防腐剤は化粧品内の菌を押さえ込んでしまうだけでなく、肌に塗ると皮膚常在菌にも影響を与えるリスクがある。

防腐剤、便利なんだけど程度を超えるとその引き換えに、肌の健康度は落ちる。

この防腐剤とお肌の健康度の関係は、化粧品開発者の考え方によって左右される面が大きいと感じます。

化粧品は不特定多数の人が気軽に手に取り、その使い方に制限をかけられないため、雑菌が繁殖するリスクをゼロに近づけるべく防腐剤を多めにする方がお客さんのためになると考える人もいる。

一方、お肌の健康度を重視し、お客さんに使い方をしっかり説明し、コミュニケーションをとるという立場で、必要最低限の防腐剤で開発する人もいる。その場合、クレームやトラブルのリスクは上がります。

だから、大手化粧品メーカーであるほど前者の選択になり、防腐剤をしっかり効かせます。ものすごく雑菌のついた手で触っても品質が変わらないくらいのレベルであったりする。

こういういろんな選択や葛藤が化粧品開発に出てくるのですが、でもバームは基本的にオイルとワックスでできている。防腐剤が必ず必要になる水分が入らないため、防腐剤は通常は入らない。(もちろん入れるところもあります)

言い換えると

バームはお肌に必要なものだけを入れられる超貴重アイテム

なのです!

「肌の補強+ゆるやかな効能」

第2にバームのすごいところは、

●「ワックスエステルで肌を補強できる」上に
●薬用植物の脂溶性成分や精油を入れることで「緩やかな効能を期待できる」


という点。

【ワックスエステルで肌を補強】

バームによく使われるホホバオイルやロウの主成分は「ワックスエステル」。皮脂にも含まれる成分です。

バームをお肌に塗ることで、このワックスエステルが補強され、肌のバリア機能や水分保持機能が補強されます。

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経験上、乾燥肌や角質層が荒れて薄くなっている場合、この補強はすごく大事。

また、皮膚のバリア機能が未形成の乳幼児にも有効です。

薬用植物でゆるやかな効能

一方、効能について。

化粧品は大前提として効果効能をうたえません。

これは植物の効能が弱いからではなく、不特定多数の人が使うことになっている化粧品は、効能が出るほどの分量を入れられないから。

ある人にとっての効能(=薬)は、お肌の健康度の高い人には強すぎる(=毒)となる場合がある。

薬用植物が効能を持っているからこそ、化粧品では効かせられないのです。

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ドクターが診療するように、肌を見せてもらってカウンセリングし、その人にあった処方で、その人にあった分量で、用法までも説明できれば薬用植物が効かせられるほどの分量を入れられる。あたかも薬のように。

でも、化粧品ではダメなのです。専門家が肌を見ていないから。容量や用法を指定できないから。

それでも。。。

大多数の人にとって害が出ないくらいのごくゆるやかな効能を持たせることはできる。

(ただし、ゆるやかな効能があることは薬事法があるためうたえません。もちろんゆるやかすぎて効能を感じない人も出てくる)

どのくらいの効能に設定し、効能をどの方向に持っていくか。

例えばお肌の免疫過剰状態(=炎症)を鎮静させたいのか、お肌のターンオーバーをサポートするために活性(細胞賦活)させたいのかで処方の方向性は変わってくる。

(1)どんなオイルを選び
(2)どんな薬用植物の脂溶性成分を入れ
(3)どんな精油をどう使うか
 それぞれどのくらいの分量に設定するか。

この辺を吟味していくと、化粧水とちがってお肌になじむオイルベースのバームは私たちの強い味方になってくれると思います。

ちなみに、一般的なオーガニックバームは、(2)の薬用植物エキスが入っていないことが多い印象。

「肌の補強」と「香り」に主眼がおかれているのと原価の問題だと思います。(通常、方向蒸留水や水の方が安く、オイルやロウの方が高価なので。。。)

でも私は薬用植物のエキスにお世話になったので入れていきたいと思っている。。。

本当のことを言えば・・・

私が手作りで行ってきたレシピは、目の前の方の肌の肌トラブルに一定の効能を発揮してきました。

でも今回、開発する中で「私は薬に近い手作り化粧品を作っていたのだ」と気づかされました。

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目の前の方の肌を見ながら作っていた。改善していくと、精油の量を減らしたり薬用植物エキスの量を減らしたりしながら行っていた。

薬用植物に感動してきました。

メッセージをいただくことも多々あったから、これを困っている方々にそのまま届けたいと思った。

今までであれば目が行き届く範囲だったのでよかった。

でも、診察を行う訳ではない、用法容量を定めることができない化粧品だと強すぎるきらいがある。

もう1回書くけど、ある人にとっての効能が、ある人には毒となる場合がある。

化粧品・医薬部外品・医薬品の違い

医薬部外品は用法・容量を定められる。医薬品は診察が入る。

化粧品は薬ではない。治すものであってはいけない。それが大前提。

ゆるやかな効能をどこに設定するか、製造責任を持つことになる製造会社さんとのやりとりの中で決定していきます。

改めて思うのは、「化粧品」として開発すべきものは、肌の再生力を高めるようなもの。

私たち一人ひとり持っている「自然治癒力」、そしてお肌が本来持っている「自己再生力」。

だから、ゆるやかな効能を狙いつつ、肌にとっていらないものを入らないようにしていくことがすごく大事だと思った。わかっていたけど、自分が開発する中でものすごく腹落ちした。

【薬効はカスタマイズで調整する】
一方、植物の薬効を本当に必要としている方もいる。

そこは講座と化粧品原料として植物エキスや浸出油を準備し、肌と薬用植物の関係や「パワフルな薬用植物を使った手作りコスメ」について講義する中で、自分で作ってもらえばいいと思いました。

1からわざわざバームを作るのは原料をそろえたり作ったりと大変だけど、例えば今開発中のバームに、ビワの葉エキスを1滴たらすだけで薬効が高まったりする。ビワの葉エキスは原料として買えるようにしておけばいい。

化粧品を今の自分仕様にカスタマイズし薬効を調整する。

現状、そんなイメージを持ったのでした。

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