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きょうの◯◯さん

窓を開けると、つい先日まで、まだ少しだけ夏が混じっていた空気が、すっかり秋のものになっていた。

いつものようにお湯を沸かし、ペーパーフィルターをドリッパーにセット、コーヒー粉を入れる。

1回目は、粉全体に染みわたるぐらいのお湯を、静かに注ぎ、2回目はたっぷりと。
ふわっと香りが立ち上がる瞬間を味わえるのは、コーヒーをいれる者の特権だ。

顔のまわりに立ち込める香りを味わいながら、3回目のお湯を。。。
なんて、優雅な感じもなく、ケトルからお湯を無造作に注ぐ。と同時に、ひゅっ とそのかぐわしい膨らみが、吸い込まれるように消えた。

!?
覗き込むと、ペーパーフィルターの真ん中にに穴がぽっかり。


人生って、思いがけないことが起こるよね。
それはいつもと変わらない、ありきたりな朝にだって。
でも、だからこそ、面白い。


粉の混じったコーヒーを、もう一度ペーパーフィルターでこし、いつもより手間も時間もかけていれたコーヒーは、とても苦いのに、私をホッとさせた。


#今日の一冊
「きょうの猫村さん」
お屋敷で家政婦として働く、猫村さんの日常が描かれてます。

猫村さんの言葉って、思惑がなく、とても素直なもの。
だからこそ、まわりの人たちの心の奥のとこに、届いちゃうんじゃないかな。

ついつい首を突っ込んじゃって、怒られることもよくあるけどね。

日常の積み重ねが、日々を作っていくこと、忘れがちだけど大事にしよう。楽しもう。

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