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いきなり


耳?


そう、耳は当たり前に側頭についてて

音は自然と聞こえてきて


それについて考えるとか

改めて意識することが


あまり

多分


ない


私もありませんでした

つい最近までは


子供の頃から

すこぶる良い聴力で

音感も良かったから

耳は良いと漠然と思っていたので

そもそも

自分の体のその器官は

そこに存在しながら意識の上では存在しないような


3月も終わり

土曜のクラスを指導したあと

電車に揺られている時に

左の耳がおかしいことに気がついた


左の耳がなんだか詰まった感じがする

あの気圧が変化する時の感じ


耳抜きを何回かやってみるが

変わらない


うん?

ま、そのうち抜けるかな・・・


残念ながらそうはいかなかった


耳は夜になっても詰まったままで

低いぶーんという音がして

時々、軽い痛みがある


耳を引っ張って頭の芯の緊張を緩めると消えるかも・・・

他にも頭や耳・目の周辺をマッサージしたり

bumblebee の呼吸法をやってみたり


まあ、一晩寝れば治るかな


でも、翌朝起きても

期待通りの変化はなかった


音は、くぐもって

厚い膜の向こう側から聞こえてくるようだった


右と左と

手で押さえたりして音を比較する

あきらかに左の音が小さい


とりあえず仕事に向かう


片方の耳が聞こえにくいというだけで

あらゆるところに影響が及ぶのを感じる


自分の声が適切な大きさなのか

小さすぎるのかがわからない


なんとも言えない不協和音と

不器用なリズムが

私の中を通り過ぎていく


音がいつもと違うように聞こえるだけで

空間までが歪んでいるような気がする


これは


おかしい


同時に


でも、数日で消えるのかもしれない

というささやきが頭の中を通り過ぎる


それが

そうであったらいいなという

私の希望だということも

無視できないほどはっきりと

実感としてそこにあった


いろいろと調べ

体の専門家数人にも聞いて

思いつくことやって


その夜は

しんとする静寂の中で

右と左と


その感覚に耳をすませ


いつの間にか眠りに落ちた


※ 2020年4月に書いたものをここに移しました