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はじめて、インディーズのバンドに心から惚れた。

そのバンドは、その日演奏した五、六組の個性的なバンドの中で、かなり違う空気感をまとっていた。

8月あたま。渋谷。

「この前下北のライブハウスですごい良いバンド見つけたんだよ。次は渋谷でやるみたいだから行こうよ。」という父の一言に誘われ、恐る恐る足を踏み入れたライブハウス。

お世辞にも大きいとは言えないステージ。お世辞にも多いとは言えない観客数。若干遅刻した私が恐縮気味にドアをくぐると、お世辞にもうまいとは言えない…否、それはそれで、とてもアットホームで優しい雰囲気の司会進行役さんが、早速私をいじってきた。

今までライブに行くとしても、フェス、アイドル系、メジャーデビューしたバンドがほとんど。こんなに距離感の近い現場は初めてで、緊張気味でソフトドリンクを握りしめた。

楽器の転換が終わり、いよいよ父のお目当てのバンドの出番。


場の空気が、一瞬で変わるようだった。

♪ 少し甘く でも刺激的な 扉開けて

おしゃれで、カッコよく、アンニュイで、洗練された空気感に包まれた。スキルフルな生演奏のハイハットからベースまでが、見事に調和して生み出されるグルーヴが心地よかった。狭いはずのライブハウスの奥行きが、心なしか広がった気がした。

父が下北で出会ったのは、Guest Roomという活動3年目の4ピースバンド。2018年6月に1st EP "Invitation/Reality"、今年5月に2nd EP "GINGER"をリリース。下北、渋谷を始め、都内のライブハウスで主に活動しているそう。

ジャンルは…うんと、AORに近いのかな?(間違ってたらごめんなさい)

MVと同じように、観客側から見て、横向きに配置されたキーボード。大人っぽい照明の中、海沼みなみさん(Vo.)横顔のシルエットが浮き上がってきて正直とても色っぽいし、キーボードを演奏する手の動きもよく見える。

そして何よりとても歌声がかっこいい。何にも媚びることなく、ナチュラルに歌いこなすその声の深み、つややかさ、張り上げた時の声量、高音の美しさ…洗練された曲の雰囲気にぴったりで、惚れました。すっごい歌上手い(語彙力)。声帯から音源。

Ba.阿部達彦さんのスラップベースはクールに決めつつとてもダイナミックで、粋。めっちゃ落ち着いているように見えるのに中身は熱いベーシストってとてもいいですよね()。

Gt.原田顕彰さん。カッティングの音がめちゃ気持ちいいです。ご本人もとても気持ちよさそうに楽しそうに弾いているのが見えた。んでまたリフになると、ひとフレーズずつとても愛おしそうに弾くんだ。

Dr.石澤衛さんは的確にリズムを刻みつつ、緩急も心地よく…ところどころに無邪気というかやんちゃな空気が漂うキャラクター性もとても好きです。メンバーみなさんに共通して、本当に自分の弾いてる音楽を心から愛していて、それを的確に目の前の観客に届けようとしているのがしっかり伝わる。

んでもって歌詞もとても素敵。ちょっと背伸びした女の子のアンニュイな気持ち。うん、めっちゃわかる。


「え、こんなかっこいいバンドがあるんだ。」

インディーズの概念が覆された瞬間でした。


っていうか。

この、「インディーズ」って概念てなんなんだろう、と思った。

ただの偏見じゃないか。インディーズであろうがメジャーであろうが、良い音楽は世界中にたくさんあるんだ。その違いは単純に、MV制作やマーケティングに予算がつくかつかないか、つまり、レーベルに「見つかるか、見つからないか」が、リスナーにとって「見つけやすいか、見つけづらいか」につながるんだと思った。

そのかっこいい演奏を聞いているのが、小さなライブハウスの、スタンディングエリアに10人足らず、その後ろにもう10人くらいの観客…ちょっと信じられないような、今だから可能な贅沢な音楽体験。

広まってほしいようで、広まってほしくないような、でも広まってほしい。もう数年後くらいにはサマソニ出てほしいくらい…

幸いなことに、今の私たちには音楽ストリーミングサービスがあるし、noteがあるし、twitterで最新ライブ情報を確認することができる。

今の私ができるせめてもの応援は、CD買って、シェアすることくらい。

次は9月20日だそうです♪

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