子どものためと思ったら大人がはまった。バリ島・キンタマーニの絶景とコーヒー農園
バリ島で私がいつも滞在するのはUbudという小さな山村だ。
有名なクタやレギャンからは1時間半ほど。緑が美しい田園地帯で「芸術家の村」などとも呼ばれている。山村だからビーチはないが、美しい渓谷があり、絶景のインフィニティプールを備えたリーズナブルかつセンス抜群な宿も多い。
あちこちの寺院からガムランの音が聞こえてくる。夜にはもちろん舞踊も楽しめる。道を歩くと何となくいい匂いがするのは、咲き誇るフランジパニのおかげだろう。
歩いて巡れる規模感もいいし、観光客の混み具合も程よい感じ。さらには何を食べてもすごーく美味しい。美しい田んぼ(ライスフィールドと呼ぶべきか)や渓谷を臨む雰囲気のいいカフェがあちこちに点在するのも最高だ。
ウブドの食の魅力・料理教室についてはこちらもぜひ↓
あまりにも最高すぎて、何度ウブドを訪れても、歩いて巡れるこの街から出たことはなかった。それが本当に心地よかったから。
でもある年、旅の仲間に初めて「こども」が加わった。5歳になった息子の初バリ旅行。息子は元来、どこへ旅に出ても「ホテルが一番好き。のんびりしたい」という、少々こどもらしくない人なので、これまで通り、ずっとウブドで過ごせばいいかなとも考えた。でも「いろんな経験をさせたい」と思うのが親心。そこで、「ちょっとアクティビティも経験してみるか」ということになったのだ。
息子はコーヒーを淹れるのが得意だ。飲めるようになったのは10歳を過ぎてからだが、ドリップは3歳からやっている。そして私は以前から「ウブドのコーヒーは美味しい」ということも知っていた。ならば、コーヒー農園に行ってみてはどうだろう。さすがに歩いて行ける距離にはコーヒー農園はない。運転が荒いといわれるバリ島で、レンタカーを借りるのも心もとない。
ネットで検索してみると、ガイドと運転手が2名同行してくれる車を一日チャーターしても非常に安いことがわかった。さすがバリ価格。何社かやり取りするうちに、ウブドを中心にバリ島をくまなくガイドをしているTutiさんと知り合った。
彼女が提案するツアーの中に「コーヒー農園」はなかったので、自分でルートを調べまくり(※旅程を調べる行為自体が大好物なので苦ではない)、行き先をバリ島北東部の「キンタマーニ周辺」に決めて、『コーヒー農園巡り&棚田見物』という2大目的を満たすコースをTutiさんに相談した。
ちなみに、突っ込みを入れたい人も多いであろう「キンタマーニ」。インドネシア語を専攻していた大学時代から名前だけは知っていた。神聖なアグン山や数々の寺院がある自然豊かなスポットなのだが、先輩たちから冗談交じりに聞かされるその名前のインパクトだけは印象にあったものの、行ってみようと思ったことはついぞなく。いざ調べてみると、2012年には世界遺産にも登録されたそうで、いろんな見どころがあることを知ったのだ。
さて、そんなキンタマーニ。バトゥール湖畔には水着で入れる温泉施設「toya devasya」もあるので、もちろんそこにも立ち寄ってもらい、ひとしきり泳いでお腹をすかせてから、先へと進む。
キンタマーニ周辺は思っていた以上の「ザ・観光地」だったので、ウブドのように「何を食べても安い、何を食べても美味い」という状態は期待せず。とにかく景色を重視することにした。で、ネット情報を頼りに選んだのがこちら。
眼前にバトゥール山とバトゥール湖が広がる絶景レストラン「LAKE VIEW CAFE」。
バトゥール山はキンタマーニ高原の中心に位置する標高1717mの活火山。1917年と1926年に大噴火し、今でも時おり噴煙をあげているとか。
天候によってかなり見え方が変わるらしいが、この日はとてもいい眺め。心地よさが写真からも伝わるだろうか。
このあたりは団体のone day tourも多いので、大勢入れるこういう大きめなレストランはほぼブッフェ形式。こどもにとっては、それもよかったかも。
テーブル席を陣取っていたが、「僕あっちで食べたい!」と、ひとりで移動。
味は、まぁ、、普通(笑)。でも、ちゃんとインドネシアのお料理だったのでOK。
絶景を眺めながらの腹ごしらえが終わったら、いよいよコーヒー農園へ。
インドネシア産のコーヒー豆は日本でも人気だが、バリ島にもたくさんのコーヒー農園があり、キンタマーニ高原もそのひとつ。今回は「観光農園」としてもやっているところを2箇所、訪問することに。
ひとつめは「DEWI」。
スタッフのおばちゃんがデモンストレーションで焙煎してたのを見て、すかさず「僕もやりたい!」と、めずらしく積極的な息子。さすがコーヒーボーイと感心。
バリ島では今でも、庭先にコーヒーの木がある民家もあり、家庭ではこういう大きな鍋でコーヒーを炒るのだそう。つややかに焙煎し終えたら、臼に入れて杵でトントン挽いていき、最後に濾してできあがり。
どう見ても広大なコーヒー農園。まだ入ったばかりなので「早く先に進もーよー」と思ってしまったが、「え!? まだ終わってないよ?」となかなか焙煎鍋から離れられない息子。まーここで急いでも仕方ない。結局、ひとりでほぼ焙煎させてもらった。
焙煎機を使うのが普通だと思っている私にとっては「わー、すごい!」という体験だったが、息子はどっちにしろ初体験なので、割と冷静に「コーヒー豆とは自分で焙煎するものである」と思ったのかもしれない。
定番の試飲セット。
バリのkopiコピ(=コーヒー)は甘くして飲むのが普通だが、豆そのものがおいしいのでブラックでももちろんいける。とはいえバリの気候にはやっぱり甘々のコピ・バリがいいな〜と思う。
あらかじめココナッツやチョコなどのフレーバーがついているインスタントがあるのだが、これらが侮れず。じつに美味しい。試飲の後、いろいろ買っちゃった!
バリの高級珈琲として知られるのが「コピ・ルアック」だ。おいしいコーヒー豆を食べる性質のあるジャコウネコが食したコーヒー豆が消化器官を通り抜け、排泄されたものをキレイに洗浄して焙煎するもの。
・・・という話をすると、「え!?!? それって、、、ウンチじゃん!」と絶句の息子。
高級すぎて日本では絶対に飲まないだろうコピ・ルアックも飲んでみた。うーん、普通においしい。ので、普通のでいいです。。
※野生のジャコウネコはおいしい豆を選んで食べるからおいしいのであって、ここのはペット状態のジャコウネコちゃんだから、というのもあるのかな?
コーヒー豆が真っ赤に熟してるときにまた来たいなと心から思った。
続いて「Bali Pulina」へ。
本来私が行きたかったのはこっち。最初のは、ガイドのTutiさんが間違えて連れてってくれていたのだった(笑)。どちらも山の中に突然あるので、確かにわかりにくかったかな。でも、ふたつも行けたので結果的によかったと思う◎
Tutiさんもここには初めて来たそうで、バリ人の彼女もすごーく楽しそうに満喫していた。「次回からお客様をここにぜひ連れてきたい」と写真を撮りまくっていたくらい、すごい景観にめぐまれたコーヒー農園。
すぐ近くにテガラランという、観光客がたくさん集まる棚田の名所があるけれど、こっちのほうがよっぽどすごい。はるばる来た甲斐があった。
あまりの絶景に、一瞬コーヒーの存在を忘れそうになったけど、もちろんちゃんと試飲もする。
バリの人々はかなりのコピ好き。ドリップはしないで、カップにそのままコピ粉を入れてお湯を入れてかき混ぜる。ちなみにKopi Hitam(黒いコーヒー)を頼むと、色はたしかにブラックだけど最初からめっちゃ砂糖が入ってくるよ!
ホテルまでの帰り道、さっきも書いたテガララン(棚田で有名)にも寄ってみた。けれど、コーヒー農園がすごすぎたので、なんか普通(笑)。
こどものために、といつものウブドから遠出して初めて訪れたコーヒー農園。
そこには想像以上の絶景と体験が待ち受けていた。
旅をする。ただそれだけでも十分に「いつもと違う経験」なのだけど、自分からさらに「違う経験をしに行く」というのも良いものだと思った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?