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『365日のレシピ』(レシピ掲載記事まとめ)

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「おいしかったね、また作ろう」が積み重なって、定番が生まれます。まったく新しいレシピをひとりで創作するより、ばあちゃん、母さん、ご先祖様、歴史に学びながら作るほうが絶対おいしい。… もっと読む
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記事一覧

75歳を過ぎて甘い物に目覚めた義母のために。ドライフルーツたっぷりケーキ

お正月に義実家に帰省するときはキッシュやケイクサレを焼いて持参していました。ちょっとしたつまみになるし、甘いのを持って行っても結局私たちが食べることになっちゃうから。 義母も若い頃は甘いものが大好きだったようですが、ここ10年ほどは「甘いのは要らない」とクッキーもケーキもたま〜にちょこ〜っとつまむくらい。お気に入りの手土産といえばドライフルーツでした。 ところが。 数年前から突然甘いものに目覚めたらしく。 2年前の誕生日にリクエストを聞いたところ、「何か甘くて美味しいやつ

ガチ料理は裏切らない。まだ見ぬ孫へのレシピ130〜

20年後も意識した、厳しくも優しいレシピ ガチ中華にハマって3年が経とうとしている。 まずはビジュアルで、ハマった成果を一部見ていただきたい。 夫と共有しているレシピメモの検索窓に「老」と入れてみたら、ご覧の通りガチ中華が並んだ。「老」は老酒や老抽などで本場の中華料理によく登場する文字なので、それを拾ったのだ。 日本の郷土料理も含めた各国のガチレシピは少しずつだが増えていき、130を超えて今も増加中。 タイトルに「まだ見ぬ孫」と書いたけど、ひとり息子は現在中学生なの

「夏越の祓」に雑穀ごはんと丸いお野菜

6月30日は「夏越(なごし)の祓(はらえ)」 一年を半分にした6月の晦日(みそか)に行われている歴史ある神事で、12月の「年越の祓」と同様に、無病息災を願う重要な大祓です。 今でも全国の神社の境内や鳥居の下などに茅(ちがや)で作られた大きな輪っかが設置されるのを見かけます。 ご近所の神社にないですか、茅の輪?  この茅の輪を左・右・左の順番にくぐることで厄が落ち、身が清められると言われています。 うちの近所の神社は2箇所とも、6月初旬ぐらいから茅の輪が登場します。 中

「椎茸嫌い」が覚醒する干し椎茸の出汁 -炊き込みご飯のレシピ-

「ごちそう」に認定された炊き込みご飯 子どもにとって「お弁当に何を入れるか」は「遠足のおやつに何を買うか」と同じく重要な問題だ。お弁当が日常化する高校生はいざ知らず、保育園児や小学生にとって「お弁当」はきらきら輝いている。普段は給食でみんなと同じものを食べるが、お弁当の日は遠足とか運動会とか。「特別な日に食べるボクだけ、ワタシだけのごはん」なのだ。 作るこっちも自然と気合いが入る。このときばかりは栄養バランスなんか気にしちゃいられない。とにかく息子の好きなものだけで弁当箱

食卓が一気にバル化!-カラフルアヒージョのレシピ-

スペインに焦がれながらアヒージョを 行ってみて良かった国・いつか行ってみたい国をリストアップしてみると、「郷土料理がおいしい」ことが自分の中での絶対的な条件であることに気づく。カフェやレストランで「おいしいなぁ」としみじみしたいし、スーパーや専門店で食材やらお菓子やらを何度でも物色したい。 旅先で出会ったおいしいものの記憶は、美しい景色や優しい人々同様に、ずっと薄れることがない。 そういう意味で、スペインもすごーーく行ってみたい。 でも今のところ行けていない。 せめて

ココナッツの国のカレーだから -グリーンカレーのレシピ-

タイのカレーは辛い。同時に「甘さ」も必要なのだ タイ料理は辛い、というイメージがある。けれど、小さかった息子と遊びに行ってもとくに困らないくらい、辛くない料理もいろいろあった。 ただし、基本的にカレーは辛い(マッサマンは甘口だけどね)。知り合いのタイ人料理人おばちゃんの口グセはこうだった。「マイ・ペッ、マイ・アロイ」=辛くないとおいしくない。カレー(タイ語ではゲーンもしくはケーン)はとくに「辛さもおいしさのうち」といえる。 レッドカレーはタイ語でゲーン・ペッという。先ほ

エリザベス女王のコロネーションチキン -カレー味の"ジュビリーサンド"レシピ-

エリザベス女王が96歳で崩御されたニュースが世界をかけめぐりました。イギリスの君主として歴代最長という70年もの在位期間をつとめあげた女王。今年、即位70周年の「プラチナジュビリー」を祝して盛大な祝賀が行われたのは記憶に新しいところです。 このプラチナジュビリーをきっかけに、わが家の食卓に「エリザベス女王にまつわるカレー味のチキン料理」が新たに加わりました。哀悼の意をこめてまた作ってみようと思っているところですが(というか、おいしいので普通によく作っています)、noteでも

休日のブランチは真剣勝負 -「カルボナーラ風 エッグ・ベネディクト」のレシピ-

息子が店主を務める「Tokiwa Cafe」というのを不定期でやっている。10歳のときにスタートし、今はコロナ禍でなかなか開催できていないものの、決してお遊びではない。やるからには本気で、絶対にお客様を喜ばせねばと、家族総出で取り組むカフェだ。 基本的にパリッとシャツを着て接客するが、一度だけパジャマでお客様をお迎えしたことがある。コーヒーを家で飲む際、そのおいしさを心の底から味わい尽くせるシチュエーションといえば、休日の朝、もしくはブランチではないかと思ったからだ。 遅

世界最古のパスタはおうちで作れる -テスタローリとペストのレシピ-

どの町にも必ず名物パスタがあるすごさ イタリアのパスタはすさまじい。一説には650種以上あるともいわれているが、数の多さは問題ではなく、どの地域に行っても名物パスタが絶対に存在し、「このソースにはこの種類のパスタを使う」という確固たる伝統が当たり前のように根付いている。それがすごい。 たとえば、良質な小麦の産地として知られるプーリア州には、どの町のレストランにも必ず「オレキエッテ」があった。「小さな耳」という名前の通りの形をしたショートパスタで、ブロッコリーやチーマ・ディ

料理の楽しみは買い物から始まっている -バリ風チキンカレーのレシピ-

バリ料理を通じて体感した「楽しさ」の正体 バリ島に行くと、必ず料理を習う。「バリ料理」と聞いてもピンと来ない人も多いかもしれないが、食文化が非常に豊かで、学びたいことだらけの土地柄だ。 バリ島はインドネシアの島にしては非常に珍しく、イスラム圏ではなくヒンドゥ文化。ムスリムにとって禁忌の豚肉はOKだし、ヒンドゥでタブー視されている牛肉も普通に買える。バリの宗教は「バリ・ヒンドゥー教」という独特の立ち位置で、インドやネパールのような菜食主義やカースト制はない。土着の文化と融合

なぜ今、時短よりエンタテインメントなのか?

自宅の料理教室では主に大人向けに料理を教えているが、渋谷区の「景丘の家」という施設で、子どもたちに料理やお菓子作りの無料ワークショップを提供することがある。 前のめりで参加してくれるキラッキラな瞳の子どもたちに何かを教える機会をいただけるのは、本当に幸運でありがたいことだなと毎回思う。相手が子どもだからといって「子ども向けメニュー」を無理やり創作することはしない。大人に教えるのと同等の料理の中から、「時間内に作れて子どもたちが関われる行程があるもの」を選び、下準備もかなり進

家族の週末エンタメ料理〜けんちん汁とけんちょうの関係に気づいた日

田舎で一人暮らしをする母から「ジタンっちゃぁ何かね?」と聞かれ、「時短?えっとねぇ」と、かいつまんで説明したら、「あぁ、そんなん、むかぁしから当たり前にやっとるわぁねぇ」と鼻で笑われた。自分から聞いといてそりゃないわよお母さんと思いつつ、私はちょっと意外だった。この記事は、そんな会話から発展した、(ワタシ的には)大発見の物語である。 時短とは無縁だと思っていた母が「時短の神」だった! 母は時短とか手抜きとかしない人だと思っていた。 ダシはいつもちゃんと取っていたし、しっ

食卓においしい縁起物を─幸せを呼ぶ「赤べこ押し寿司」の作り方

2021年の大晦日。丑年がもうすぐ終わろうというタイミングではありますが、和牛の美しい赤を「赤べこ」に見立てた押し寿司を考えてみました。赤べこは「幸運を運ぶ牛」と言われる縁起物なので、干支に関係なく厄を祓ってくれるはず。すご〜くおいしいのもポイントです。 歴史好き必見! 赤べこを生み出した名武将とは? 「赤べこ」とは、福島県会津若松市の郷土玩具。指先でちょんっとふれると首がゆらゆら揺れる、あれです。ゆるキャラの走りみたいな愛嬌のある風情をしていますが、じつは古くからある民

バスマティライスを買いに新大久保まで。-パラッパラ炒飯レシピ付き-

コリアンタウンだけじゃない! 「イスラム横丁」の魅力新大久保といえばコリアンタウン。韓流好きな若者たちで賑わいを見せ、食のトレンドも次から次へと誕生。「数ヶ月前に流行ってたチーズびよ〜んってアレはもう終わったの!?」なんて驚きつつ、「いつ行っても活性してんなぁ〜」とちょっと感動します。 でもじつは、新大久保の真の魅力はほかにあります。 東南アジアやインド・パキスタン辺りの食材、調味料、米、スパイス類の専門店が多数あって、しかもびっくりするほど安いんです。いつも大量に買い込