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『365日のレシピ』(レシピ掲載記事まとめ)

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「おいしかったね、また作ろう」が積み重なって、定番が生まれます。まったく新しいレシピをひとりで創作するより、ばあちゃん、母さん、ご先祖様、歴史に学びながら作るほうが絶対おいしい。…
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記事一覧

夏だけのブルスケッタ─やみつき必至の枝豆グリーン

枝豆の美味しい季節がやってまいりました。 固めに茹でてお湯を切り、熱々のところに粗塩パラリ。ザルごとざっくざっくゆすって塩をまんべんなくからめたら、はい、いただきます。1袋なんてあっという間。まさに夏の味覚です。 今や枝豆は海外でも人気の的。アメリカではサラダに入れたりフムスにしたり。色がきれいだからどう料理しても映える、それもEdamameのいいところ。イタリアのスーパーでも冷凍のsoia edamameを売っているのを見かけました。 塩茹でするだけで美味しい枝豆です

最強の炭火。その次のポジションを狙う、たった5秒のバーナー技

焼き鳥の美味しさ、その決め手とは? 焼き鳥を食べるつもりなんてなかったのに、あの匂いにそそられるってこと、ありません?  初めて行く町の商店街で、焼き鳥を店頭で焼いていたらつい買ってしまうし、渋谷マークシティの周辺では100%焼き鳥モードになる。「鳥竹」も「山家」も、こんなに匂いを垂れ流して大丈夫なん?と心配になるほどの破壊力。ついふらふら〜っとご入店、という人はきっと少なくない。 あの匂いの先の焼き鳥── 想像するだけで「表面がこんがり焼かれたあの味」がありありと浮か

「ありきたり」のおもてなし。来日した親友の娘さんに「うちの唐揚げ」を

ソーシャルメディアでつながった10歳上の親友 カナダに住むAndreaに、私はまだ会ったことがない。写真を見て顔は知っているが声は知らない。年齢はおそらく私より10歳くらい上だと思う。フランスからカナダに移住した人で、フランス語圏のケベック州在住。そして日本の文化を深く愛してくれている。 知り合ったのは15年以上前。確かFacebookの料理投稿だかインテリアの投稿だかに彼女が反応してくれて、「好きなものやフィーリングが合うな」「この人、好きだな」という直感があったのを記

75歳を過ぎて甘い物に目覚めた義母のために。ドライフルーツたっぷりケーキ

お正月に義実家に帰省するときはキッシュやケイクサレを焼いて持参していました。ちょっとしたつまみになるし、甘いのを持って行っても結局私たちが食べることになっちゃうから。 義母も若い頃は甘いものが大好きだったようですが、ここ10年ほどは「甘いのは要らない」とクッキーもケーキもたま〜にちょこ〜っとつまむくらい。お気に入りの手土産といえばドライフルーツでした。 ところが。 数年前から突然甘いものに目覚めたらしく。 2年前の誕生日にリクエストを聞いたところ、「何か甘くて美味しいやつ

ガチ料理は裏切らない。まだ見ぬ孫へのレシピ130〜

20年後も意識した、厳しくも優しいレシピ ガチ中華にハマって3年が経とうとしている。 まずはビジュアルで、ハマった成果を一部見ていただきたい。 夫と共有しているレシピメモの検索窓に「老」と入れてみたら、ご覧の通りガチ中華が並んだ。「老」は老酒や老抽などで本場の中華料理によく登場する文字なので、それを拾ったのだ。 日本の郷土料理も含めた各国のガチレシピは少しずつだが増えていき、130を超えて今も増加中。 タイトルに「まだ見ぬ孫」と書いたけど、ひとり息子は現在中学生なの

「夏越の祓」に雑穀ごはんと丸いお野菜

6月30日は「夏越(なごし)の祓(はらえ)」 一年を半分にした6月の晦日(みそか)に行われている歴史ある神事で、12月の「年越の祓」と同様に、無病息災を願う重要な大祓です。 今でも全国の神社の境内や鳥居の下などに茅(ちがや)で作られた大きな輪っかが設置されるのを見かけます。 ご近所の神社にないですか、茅の輪?  この茅の輪を左・右・左の順番にくぐることで厄が落ち、身が清められると言われています。 うちの近所の神社は2箇所とも、6月初旬ぐらいから茅の輪が登場します。 中

「椎茸嫌い」が覚醒する干し椎茸の出汁 -炊き込みご飯のレシピ-

「ごちそう」に認定された炊き込みご飯 子どもにとって「お弁当に何を入れるか」は「遠足のおやつに何を買うか」と同じく重要な問題だ。お弁当が日常化する高校生はいざ知らず、保育園児や小学生にとって「お弁当」はきらきら輝いている。普段は給食でみんなと同じものを食べるが、お弁当の日は遠足とか運動会とか。「特別な日に食べるボクだけ、ワタシだけのごはん」なのだ。 作るこっちも自然と気合いが入る。このときばかりは栄養バランスなんか気にしちゃいられない。とにかく息子の好きなものだけで弁当箱

食卓が一気にバル化!-カラフルアヒージョのレシピ-

スペインに焦がれながらアヒージョを 行ってみて良かった国・いつか行ってみたい国をリストアップしてみると、「郷土料理がおいしい」ことが自分の中での絶対的な条件であることに気づく。カフェやレストランで「おいしいなぁ」としみじみしたいし、スーパーや専門店で食材やらお菓子やらを何度でも物色したい。 旅先で出会ったおいしいものの記憶は、美しい景色や優しい人々同様に、ずっと薄れることがない。 そういう意味で、スペインもすごーーく行ってみたい。 でも今のところ行けていない。 せめて

ココナッツの国のカレーだから -グリーンカレーのレシピ-

タイのカレーは辛い。同時に「甘さ」も必要なのだ タイ料理は辛い、というイメージがある。けれど、小さかった息子と遊びに行ってもとくに困らないくらい、辛くない料理もいろいろあった。 ただし、基本的にカレーは辛い(マッサマンは甘口だけどね)。知り合いのタイ人料理人おばちゃんの口グセはこうだった。「マイ・ペッ、マイ・アロイ」=辛くないとおいしくない。カレー(タイ語ではゲーンもしくはケーン)はとくに「辛さもおいしさのうち」といえる。 レッドカレーはタイ語でゲーン・ペッという。先ほ

エリザベス女王のコロネーションチキン -カレー味の"ジュビリーサンド"レシピ-

エリザベス女王が96歳で崩御されたニュースが世界をかけめぐりました。イギリスの君主として歴代最長という70年もの在位期間をつとめあげた女王。今年、即位70周年の「プラチナジュビリー」を祝して盛大な祝賀が行われたのは記憶に新しいところです。 このプラチナジュビリーをきっかけに、わが家の食卓に「エリザベス女王にまつわるカレー味のチキン料理」が新たに加わりました。哀悼の意をこめてまた作ってみようと思っているところですが(というか、おいしいので普通によく作っています)、noteでも

休日のブランチは真剣勝負 -「カルボナーラ風 エッグ・ベネディクト」のレシピ-

息子が店主を務める「Tokiwa Cafe」というのを不定期でやっている。10歳のときにスタートし、今はコロナ禍でなかなか開催できていないものの、決してお遊びではない。やるからには本気で、絶対にお客様を喜ばせねばと、家族総出で取り組むカフェだ。 基本的にパリッとシャツを着て接客するが、一度だけパジャマでお客様をお迎えしたことがある。コーヒーを家で飲む際、そのおいしさを心の底から味わい尽くせるシチュエーションといえば、休日の朝、もしくはブランチではないかと思ったからだ。 遅

世界最古のパスタはおうちで作れる -テスタローリとペストのレシピ-

どの町にも必ず名物パスタがある凄まじさ イタリアのパスタは凄まじい。一説には650種以上あるともいわれているが、何種類あるのかはこの際どうでもよくて、どの地域に行っても名物パスタが存在し、「このソースにはこの種類のパスタを使うのだ」という確固たる伝統が当たり前のように根付いている。それが凄い。 たとえばカルボナーラ。あれはローマ名物だ。「変わりカルボナーラ」といった類は存在せず、肉は豚の頬肉、いわゆる豚トロを塩漬けにして熟成させたグアンチャーレ、チーズはペコリーノ・ロマー

料理の楽しみは買い物から始まっている -バリ風チキンカレーのレシピ-

バリ料理を通じて体感した「楽しさ」の正体 バリ島に行くと、必ず料理を習う。「バリ料理」と聞いてもピンと来ない人も多いかもしれないが、食文化が非常に豊かで、学びたいことだらけの土地柄だ。 バリ島はインドネシアの島にしては非常に珍しく、イスラム圏ではなくヒンドゥ文化。ムスリムにとって禁忌の豚肉はOKだし、ヒンドゥでタブー視されている牛肉も普通に買える。バリの宗教は「バリ・ヒンドゥー教」という独特の立ち位置で、インドやネパールのような菜食主義やカースト制はない。土着の文化と融合

なぜ今、時短よりエンタテインメントなのか?

自宅の料理教室では主に大人向けに料理を教えているが、渋谷区の「景丘の家」という施設で、子どもたちに料理やお菓子作りの無料ワークショップを提供することがある。 前のめりで参加してくれるキラッキラな瞳の子どもたちに何かを教える機会をいただけるのは、本当に幸運でありがたいことだなと毎回思う。相手が子どもだからといって「子ども向けメニュー」を無理やり創作することはしない。大人に教えるのと同等の料理の中から、「時間内に作れて子どもたちが関われる行程があるもの」を選び、下準備もかなり進