見出し画像

私の履歴書 介護のお仕事編②-5

某居酒屋系介護事業有料老人ホーム


[誤薬事故が起きた! 後編]


重苦しい気持ちで会議室の椅子に座った。


「じゃ、皆さん揃ったので始めましょうか。」

ケアマネージャーが優しい口調で話し始めた。


ご家族様の顔が良く見られない私…

その時の気持ちは何とも言えない

たぶん、申し訳ない気持ちでいっぱいだった

(自分が起こした事故)

これが重くのし掛かっていた。


ケアマネージャーが謝罪し

対策をご家族様に伝える


ご家族様は黙ったまま

それを聞いていた。


ナースが当時の入居者様の状態を説明

様子観察の現状を伝えている。


静かにそれを聞いてる…


「じゃ、ケアスタッフのかぉりんさんから…」

と、ケアマネージャーが

私を指名して来た。


「本当にこのような事故を起こしてしまい、

申し訳ないと思っています。今後は対策の通りにケアを行って、間違いの無いようにして行きます。○○様の経過もしっかり見させて頂きます。申し訳ありませんでした。」

(こんな感じで話したと思う。)


申し訳ないと言う気持ちしかその時の私は

伝えられなかった。

誤薬の事故はこれで、他のスタッフが起こしてから、2度目だったのだ。


泣きそうになるのを懸命に堪えた。

(泣くな!泣くな!私が悪いんだから、ご家族様の気持ちを考えろ!自分!)


心の中でそう思いながら…


話が終わるとご家族様が口を開いた

「ホーム長さんは?何処ですか?」

「あっ、ホーム長はですね…先日お亡くなりになられたご入居者様の通夜に行かれてまして…。」

ケアマネージャーがしどろもどろに伝える。

「どういうことですか?!約束が違うじゃないですか?!」

ご家族様が椅子から立ち上がりそうな勢いで話し始めた。


聞くと、前回の誤薬事故の時にホーム長が

平謝りで

「次に誤薬を起こしたら、私は辞任します。」

と、言ったのだと…


その当事者が居ない事にご立腹な様子だった。

そして

「スタッフさん達が頑張っている事を、私は家族からいつも聞いています!良くやってくれていること、夜勤をするスタッフが毎回同じ顔ぶれで、あの子達はちゃんと休んでいるんだろうか?心配しているんですよ?!」


堪えきれず涙が出た…


嬉しかった。見ていてくれてるんだ。


「貴方達の話は良く分かりました、私はホーム長さんとお話出来る様にしていただきたい。みなさん、ありがとうございました。」

と、会議は終了した。


帰り際に、ご家族様が

「家族から聞いてます、貴女はいつも話を聞いてくれるいい人だって、これからも宜しくお願いしますね。」


「はい…ありがとう…ございます…。」

深々と頭を下げた。


涙が止まらなかった

有り難かった…


「明けの所ごめんなさいね、帰ってゆっくり休んでね…。」


ケアマネージャーが優しく

労ってくれた。


涙が止まらないまま

自転車に乗り家路についた


[介護のお仕事編 ②-6へ続く]


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?