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スキャンダル

スキャンダル
アメリカのFoxニュースというテレビ局で2016年に起こったCEOロジャー・エイルズの局内の女性20余名へのセクハラ告発事件を元に作られた映画。スキャンダルというタイトルから、ディスクロージャーのような(古)エロが見られるのではないかと見に行った男性は、その下心を見透かされたような展開に、実に居心地の悪い思いをしたであろうよ。

主題に反比例してと言おうか、女が上になってオーイエスみたいなアメリカンなエロは皆無。女性側の目線が意識された映画だとは感じたが、エンターテイメントと言えばそうでもなく、かと言って社会派に振り切ることもできない中途半端さを感じてしまった。

その中途半端さを感じる理由として、私が気になったのは、ストーリーよりむしろ映画が封切りされた時期。保守系のFOXニュースやトランプ大統領を下げるような内容の映画がアメリカ大統領選挙の本番にさしかかろうという時に公開だなんて〜。このタイミング狙ってたんじゃないかね。アカデミー賞も狙ってたよね、きっと。

つまりはセクハラという社会問題の裏に共和党よりのFOXニュースやトランプ大統領の印象を落としたいという隠れテーマ(全く隠れてないけど)があったんじゃないかと思うんだな。男の行き過ぎたSAGAへの断罪とネガキャン付きの一過性のイベントをミックスしようなんて、LPGとアスファルトくらい比重が違いすぎるって。だってそうでしょ、セクハラはCNN(リベラルで有名なテレビ局)でも絶対あるでしょ、涙流してる女も絶対いるって。保守系=セクハラってのは成立しないんだよ。こういうのは狙ってやるとどこか不自然になるもんだから、無理やり混ぜようとしてアメリカらしくない中途半端な感じになってしまったというのが私の結論。

ストーリーとしては全体の起承転結を平坦にならした勧善懲悪って感じで面白かったが、アメリカの社会背景が分かんないと理解しづらいかもしれない。私も鑑賞後にスマホで調べた。

付け足し:私がこの映画のプロデューサーだったら、ハーヴェイ・ワインスタインの方でやりたいね。それこそ被害者の女優役で本人引っ張ってきて、MeToo運動の先駆けとなったスキャンダルだし、映像も派手さと卑猥さに全振りできそうでいいよね。考えた人絶対いると思うけど、ワインスタインは民主党支持派だったからできなかったのかも知れないし、映画業界が映画プロデューサーのセクハラスキャンダルを描くなんて、普通に考えたら出来っこないもんね。

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