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ユニークなのはバンド名と曲だけじゃない!今気になるバンド「HEAVY META」


今回ご紹介するバンドは「heavy meta」(ヘヴィ・メタ)。決して脱字してる訳ではなくこういうバンド名なのです。
この時点で若干の怪しさを感じつつバンドの概要を説明すると、アメリカはマサチューセッツ出身のバンドで、アルバム「mana regmata」でデビューを果たしました。
マサチューセッツと言えばキルスウィッチエンゲイジやシャドウズフォールら初期メタルコアの一大勢力が大活躍しMAメタルなる言葉すら生み出した名所ですがheavy metaがやってるのはオルタナ/インダストリアルがかったカオティックハードコアです。

続いてアー写がこちらです

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見えませんね。大事なデビューアルバムのアー写なのに見えません。

ではMVはどうでしょうか。

MVは現時点でありません。

今時ゴリゴリのインディバンドでも驚くほどクオリティの高いカッコいいMVが沢山ありますがこのバンドはありません。

今のところこのバンドの演奏が見える映像はなく、私が唯一見たのはどこかのYouTube音楽番組にオンライン出演した際のトーク動画のみ。
しかもこの時もボーカルは参加せず。なんでしょう。遅番勤務だったのでしょうか。

せっかくアー写でぼかしたのにここでは何のためらいも演出もなく素で出演。「絶対こいつらイイ奴らだよー」との思いを強くしたのでした。

そう。このバンド 令和の情報過多時代において情報が極端に少ないバンドなのです。
これがオトナの考えた「謎めいたイメージで神秘性を高めよう」的なやつなら冷めるのですが、多分この人たちそこまで考えないような気がするのです。
先のYouTube音楽番組では全く気取らず、工場のおっちゃん達のオンライン飲み会みたいにキャッキャしてたし、オフィシャルツイッターはやってるんですが基本ふざけた投稿が多い、、。

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一旦まとめます。私がこのバンドに興味を持つきっかけは
・情報が極端に少なくて逆に気になった
・多分あまり深く考えてないテキトーさ&なんかふざけてるところが気に入った
となります。

話はまだ続くのですがその前に一番大事な、「曲がカッコいい!」というのが大前提にあります。
その時点でもYouTubeではアルバム全曲が聴けました。そこから二曲紹介します。

アルバム1曲目「blastocyst」

アルバム7曲目「Boötes Void」


いかがでしょうか。

カッコよくないですか?!

ひねくれたリフとジェットコースターのような展開、印象的なSE使い、シアトリカルなサウンド&ボーカル。

一つ一つの構成要素は決して目新しいものではありませんが一曲に仕上がった状態はかなりオリジナリティがあると思いました。
あとこのバンド、クセになるのです。最後まできくとまた頭からリピートしたくなるんですよね。
このオリジナリティと中毒性にすっかりヤられました。

冒頭でこのバンドの音楽性をオルタナ/インダストリアルがかったカオティックハードコアと書きましたが、数は少ないですが海外メディアで記事やレビューでは「ポストハードコア」「ブラッケンドハードコア」などと紹介されています。また類似アーティストや要素としてTHE DILLINGER ESCAPE PLAN、RUSH、それにマイク・パットンあたりが挙げられています。どれも納得、という感じです。個人的にはミニストリーっぽさも感じました。だから好みなのかもですが。

さて、となるとYouTube以外でも聞きたくなります。
しかし、音源が見つかりません。spotifyはじめ各サブスクにはバンド登録すらありませんでした(2月当時)。

じゃあAmazonでCDを買おう!

ありません。


バンド名すらヒットしません。heavy metal とお間違えではありませんか?と優秀なAmazonさんに聞かれます。違います。探してるのはheavy metaなんです。

こうなるとどうしても手に入れたくなるのが人間の性。果たして何年振りかにbandcampでドル計算にビビりながら本国からCDを購入しました。

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こうして平和にアルバムを楽しめる環境を手に入れたのでした。

いつかコロナが収束したら来日もして欲しいものですね。


、、で終わろうと思っていた三月中旬、バンドがこんなツイートを。

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なるほど。アルバムをspotifyでも解禁すると。それは全然良いのです。認知が上がれば人気も上がるでしょうし。ただ気になったのが「distrokidを通して」という一文。恥ずかしながらdistrokidを知らなかったので調べてみました。

要は年間料金を払えば、主要な音楽配信プラットフォームで自分達の作品を配信出来つつ、収益率はなんと100%(!)というアメリカの音楽ディストリビューションサービスのようです。もちろん良い事ばかりではないようですが。

bandcampも、音楽アップロード自体は無料。手数料は15%ですが売上が一定を越えるとこの手数料も下がるようですし、自由に価格設定が出来たりアーティストへの寄付受付をしていたりと、その運営姿勢は明らかにアーティストファースト的です。

ここに至って初めてこのバンドの思惑というか意志を理解したのです。
spotify、Amazonに共通する事。それは巨大で超便利な代わりに売上からかなりの額を持っていかれてしまうという事。spotifyでは何万再生されてもアーティストには少額しか入らない、という話は皆さんも聞かれた事があるかと思います。

一方bandcampとdistrokidに共通する事。それはサービス規模は巨大ではないもののアーティスト第一主義で、アーティストの収益を確保する事に協力的である事。

つまりheavy metaはインディでDIYながらも、いや、だからこそしっかり自分達の作品が利益を生み出す事を考えていたのです。
spotifyでの配信という認知向上策も実現しながら。
MVがまだないのは本当に資金不足なのかもしれません。(アー写は謎ですが笑)

ここで私が思ったのはspotifyとbandcamp、どちらが良い悪いではなく、アーティスト、リスナー双方が自分に合ったサービスを使えば良いと思うのですが、好きだな・応援したいなと思うアーティストがいた時にその作品の入手方法をどれにすると、よりアーティストに喜ばれるのかという事を考えてみようと思ったという事です。
正直bandcampはアプリは以前から落としてたのですが英語表記だし、、spotifyの方がなんだか感覚的に便利だし、、なんて思ってたのですがちょっと考え直すきっかけになりました。

おそらくこのheavy metaみたいなやり方のバンドは一昔前ならば地元のライブハウスとか、下手したらメンバーと知り合いじゃないと買えないとかそういうレベルだったんじゃないでしょうか。

幸運にも現代はITと物流網の発達により世界中の人同士でリアルタイムでコミュニケーションがとれて、地球の裏側に容易にモノを送る事ができます。
この広がった可能性の中で出会えたバンドがheavy metaだったのです。

まあ、全ては推測なので本人たちに聞いてみたら「え?あーアレね。spotifyの人たちのメール無視してたら〆切過ぎちゃったんだよねーガハハ」ってオチかもしれませんが。それならそれでバカだねーと言いながら引き続き応援したい自分がいるので、惚れたんでしょうね。heavy metaに。

という事で今回はちょっと作品との接し方、入手方法について考えさせられた一件について書かせてもらいました。

アルバムは今は各種プラットフォームで聞けますので是非チェックしてみてください。

読んで下さりありがとうございました!







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