ママのこと⑭境目

待合室で待っていると、連絡したパパが来た。
午前中で終わると思っていた診察が、もう17時くらいだった。

しばらくするとママは落ち着いたようで、中に入れてくれた。
ママは憔悴しきっていて、
「あ〜痛かった〜」
と言葉を話せた。そして
「早く薬局に行かないと、閉まっちゃうよ。薬がないと困る。困る。」
と心配しだした。

私が先に薬局に行くことにして、パパにママを連れ帰ってもらった。

薬局で待っている間いろいろなことを考えた。
私はこのままでいいのか。パートを辞めなければいけないんじゃないか。ママは入院したほうが安心なんじゃないか。でも入院してしまったらもう会えないかもしれない。(コロナ禍のため面会禁止。看取りも1名のみだった。)
こんなこと考えている自分が惨めに感じた。

薬の種類が多すぎて、びっくりする。
医療用麻薬
レスキュー
胃薬
睡眠薬
安定剤
他にもいろいろあった気がする。

なんにしろ、早く帰ってママを待っていなきゃ。

すっかり暗くなってしまった。昼に買った食材は大丈夫かな。冬といっても車内はあたたかいから。でもしょうがないか。

帰ったら妹が子供たちと家にいてくれていた。

そのうちママとパパも帰ってきた。
ママは疲れ果てていた。

「大変だったね!もう痛くない?」

「なんとか〜でも疲れたわ」

この日からママはだいぶ弱っていった。


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