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「春夏秋冬そして春」簡単映画レビュー

プロフィール
春夏秋冬そして春
2004年 韓国
監督 キム・ギドク 
出演 オ・ヨンス, キム・ジョンホ, ソ・ジェギョン
ジャンル ドラマ
アマゾンのリンク 
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B08MCXKBG8/ref=atv_hm_hom_1_c_2usnYu_4_1
著作権回避 イメージ写真

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こういう風にイメージしました。
映画のジャンル
15歳以上対象の成人指定、仏教法話映画
最後まで見たか?
最後まで見ました。素晴らしい作品。
ビックリしたか? 驚いたか?
ここまで簡潔に仏教の教えを現代映画の中で語れることに驚きました。
もう一度見たいか?
はい。
一緒に見て困る人はいるか?
本当は、子供と見てもらいたいのです。一部のシーンを除いて。ただ、あれも必要なシーンだと思います。
特筆すべき男優、女優はいたか?どのように?
僧侶を最初、ソルギョングだと思ってワクワクしましたが、違いました。仏教な演技でした。
子供も良い演技をしていました。手取り足取り、罪を犯していく感じです。
最後にキムギドク監督本人が出てきます。
印象に残るシーンは?
全てのシーンが印象に残りますが、
①阿吽の像が描かれた扉。
②主人公の小さい時の動物虐待に関するシーン。
③心の病、女性が現れ発現する、渇愛。五蘊盛苦。
④凍りつく氷上の寺
⑤お寺の床に般若心経を書くシーン。
⑥焼身供養。
監督については?
キムギドク監督は、2020年にコロナで客死されたとのこと。ご冥福をお祈りいたします。「嘆きのピエタ」という映画を見たことがあります。善い作品ですが、グロテスクです。「殺されたミンジュ」という映画があります。これもグロテスクで、面白くありませんグロテスクな映画を撮る監督だと思っていましたので、この映画は良い方に裏切られました。この人は、人間の体を、物みたいに撮ります。この映画でも大自然の中で小さく、主人公と女性が性行為に耽るシーンがありますが、なんか、マネキンみたいでした。官能の対極にある表現です。
仏教的にはどうか?
以下ちょっとネタバレがあります。映画を見た後に読んでください。

仏教寺院が舞台ですので、仏教的な映画です。
まず、子供の頃、仏教の十善戒、殺生に近い罪を犯します。
子供は、青年になり、心を病んだ同じ年くらいの少女が寺に預けられ、十二因縁の愛の感情、「苦を避け、楽を追求する」の気持ちを彼女に起こし、愛欲に耽ります。お寺で和尚さんと川の字で寝るのですが、少女が気になって溜まりません。五蘊盛苦(ごうんじょうく)です。そして、最後には彼女とお寺を出ていくのです。
そして、長い年月が経って、恐らく、この青年と少女は一緒になるのですが、少女が浮気をしたため、彼は、少女を殺してしまいます。十二因縁の「取」の働きです。「欲する者に執着する働き」
青年は和尚さんのところに帰ってきます。この話の流れは、子供の頃、生き物をイジメたことに対する因果のように見えますが、むしろこれは十二因縁の「愛」によるところが大きいようです。何故なら、生き物のイジメは、すぐその場で、和尚さんに思い知らされているからです。
これが十二因縁の「有」という業を作り、それは、和尚さんの人生までをも巻き込みます。
和尚はまず、供養のために、人を殺して興奮している青年に、般若心経をお寺の床に書き、(猫の尻尾で書くのが面白い) それに沿って、青年に、少女を殺し未だ血の乾かぬナイフを使い、床を彫るように命じます。その時には、追手の刑事が来ているのですが、彼らが慈悲の心で、この般若心経が終わるまで待っていたり、手伝ったりするところが面白い。
その般若心経に色を塗りますが、これは多分、五色で、これは大日如来が発する五色の光明に由来していると思いました。わかりませんが。
和尚さんは、こうして青年に般若心経を写経させ、警察に引き渡します。
そして自らは焼身自殺をします。これは、捨身供養、焼身供養と言って、仏教における布施の最高の行いとされ、法華経の薬王菩薩本事品第二十五で喜見菩薩が手を焼いて供養するという一節があり、究極の法華経信仰の供養であり、法律で禁止される前は、これが後を絶たなかったそうです。しかも、そのまま水の中に遺体が落ちて、入水供養にもなっている。
ベトナムで、お坊さんが自らを燃やし、焼身供養する写真を見ました。
そして最後に青年が刑期を終え、キムギドクになって帰ってきます。
疑問と気づきとしてはこれ以外に、
①青年がお寺から出ていくとき、本尊の仏像を持っていった。何故?
②青年がキムギドクになり、お寺にいると、女性が顔を紫の布でくるんで現れ、赤ん坊を連れてくる。この女性は、あの少女か?何故顔を見せないのか?怨憎会苦
③そして、このお寺には、弥勒菩薩像が隠されていて、これをキムギドクがお寺が見える山の頂上まで持っていく。
という謎のシーンがありましたが、ググってもウィキしてもこの答えは見つかりませんでした。
④最後に、お寺が湖上にあるので、船を漕いで行き来するのですが、これは大乗の般若船という象徴を感じました。

これ以上言う事は?(ここは、思い入れがある場合に書く。長文注意)
韓国の仏教徒は、人口の15%だそうです。これはキリスト教の半分くらいの人口。でも、無宗教が、57%(儒教?)。確かに、韓国の映画では、教会の方が、お寺よりよく出てきますね。多分、仏教の知識なくこの映画を見たら、ここまで気に入らなかったかもしれませんが、仏教のことを抜きにしても、整然として、完成度が高く、舞台設定も秀逸な映画だと思います。

点数(10点満点)
9点
合掌

この映画レビューのポリシー
①ネタバレ無
②簡単に、見るべきか見ぬべきかが分かる。(人生を有意義に過ごす)
③悪口はかかない。(不満を臭わせるのは良しとする。)
④長文は書かない。
⑤好き嫌いせず色々なジャンルや国の映画を見る。
⑥映画のサイトから写真を持ってこず、自分でCANVAでイメージを作り、その映画の印象のままに、表示する。(折角、買ったので。)


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