完全優勝

とある大学の大学院生。専門は教育社会学、高等教育論、メディア論。好きなものはことば遊び…

完全優勝

とある大学の大学院生。専門は教育社会学、高等教育論、メディア論。好きなものはことば遊び、嫌いなものは暴力性。日々の思考や感情の記録を残します。

最近の記事

他人の記憶の中で生きること(読書録2 『ツナグ』)

今回読んだのは、だいぶ前に2回ほど読んでいた、辻村深月の『ツナグ』。何度も読みたいと思える、傑作です。 設定に込められた意匠一生に一度だけ、死者との再開を叶えられる「使者(ツナグ)」という存在を通して、様々な人物の死者への思い、そして死者との対話を描き出す作品。 生きている人も、死者の側も、ただ一人にしか会えない。その設定は、そこで出会う二人の間の関係性が、疑いようのなく大切で重いものであることを表していく。 月の光に照らされて結晶化ように描写される死者。月が太陽の光を

    • 生きること、守ること、そして「逃げ恥」(映画録2『すばらしき世界』)

      先日思い立った観た映画『すばらしき世界』が非常に考えさせられる奥深い作品だったので、ここに作品を観たあと感じたこと、考えたことを書き残しておく。 作品のHPはこちら 作品のあらすじと提起される問い主人公の三上は、過去に殺人事件を起こした犯人で、刑務所の中でもトラブルの元凶になっていた。そんな三上が出所するところから物語は始まる。 三上の「社会復帰」を「感動のドキュメンタリー」の素材としたいと考えたTVプロデューサーの吉澤は、テレビの制作会社を辞めたばかりで小説家を志す青

      • 時間が過ぎること、歳を重ねること(映画録1 『空の青さを知る人よ』)

        時間と私の関係僕らは時間の経過を「いつ」「どれくらい」認識し感じるだろう。 おそらく仕事や学業の時と、余暇の時とで時計をみて時間を確認する頻度は違うし、人が関わると自然と「時間を合わせる」必然から確認の頻度は上がる。でも、「1ヶ月」や「1年」という単位ではどうだろう。毎日時間に追い立てられて行っていたら、いつの間にか長い時間(1ヶ月とか)が経っていてもそれをそんなに認識していないこともある。 このような話は近代的時間を前提に話しているが、個々人が感じる時の流れは相対的で、

        • 「ことば」と「気持ち」の距離はどれくらい?(読書録1 『「甘え」の構造』)

          思い立って、読書録をnoteで始めてみる。ただ読書録と言っても、本の内容を紹介したり、本全体の内容を紹介したりするものではない。単に、「その本を読んで考えたこと」を、本の一部に言及しつつ書いていく。 初めて書く読書録の題材は、土居健郎著『「甘え」の構造』に決めた。 「ことば」と「気持ち」は遠いのか?人は、自分の感情をどれくらい「ことば」にしているのだろう。そんなことをふと考える。 会話のなかで気持ちをことばにしたり、文章にして相手に伝えたり、日記にして残したり。想定でき

        他人の記憶の中で生きること(読書録2 『ツナグ』)

        • 生きること、守ること、そして「逃げ恥」(映画録2『すばらしき世界』)

        • 時間が過ぎること、歳を重ねること(映画録1 『空の青さを知る人よ』)

        • 「ことば」と「気持ち」の距離はどれくらい?(読書録1 『「甘え」の構造』)