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連載「記憶を食む」|僕のマリ

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思い出すことのかたわらにはいつも、食べものがあった。大切な記憶も、ちょっとした記憶も、食むように紡いでいく。気鋭の文筆家・僕のマリによるはじめての食エッセイ連載。 隔週金曜日の… もっと読む
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記事一覧

祖母と梅、メロンに焼肉、初夏の風|連載「記憶を食む」第8回|僕のマリ

 寝るときに暑いと、ものすごい悪夢をみる。それはもう絶対に。秋から冬にかけては寝るのに気…

カンゼン
2週間前
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退屈とコーラ|連載「記憶を食む」第7回|僕のマリ

 寒さにめっぽう弱い。寒いというだけで、すべてのやる気は削がれ、鬱々とした気持ちになり、…

カンゼン
1か月前
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いつかマックで|連載「記憶を食む」第6回|僕のマリ

 わたしは記憶力が良い。とても、良い。自分でも苦しいくらい色々なことを覚えているし、忘れ…

カンゼン
1か月前
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直樹の焼きうどん|連載「記憶を食む」第5回|僕のマリ

 昨年、やたらとお祭りに行った。ほぼ毎週と言って良いほど行っていた。家から歩いて行ける距…

カンゼン
1か月前
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りんごを剥いたら|連載「記憶を食む」第4回|僕のマリ

 犬の散歩のバイトに応募して、落ちたことがある。ものすごくやりたかっただけに、ショックが…

カンゼン
2か月前
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真夜中の炭水化物|連載「記憶を食む」第3回|僕のマリ

 たまらないもの、足が太い犬の肉球。石油ストーブのにおい、牛乳石鹸の赤箱のもちもちの泡、…

カンゼン
2か月前
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朝食のピザトースト|連載「記憶を食む」第2回|僕のマリ

 今年三十二歳になる。三十二歳というのは、もうなんていうか、言い逃れできないほど立派な大人である。それでいて、日本人の平均寿命で考えれば、まだ折り返し地点にも立っていないのだから恐ろしい。あと四年もすれば、母がわたしを産んだ年になる。そう考えるとまた、気が遠くなる。自分の人生、好きに生きたいと思う。でも、それとは別に「大人として」しっかりしたいとも思う。そのふたつを両立させるのは不可能ではない。わたしが今まで読んだ本や、好きな映画や漫画が様々な道を示してくれる。二十代まではな

チーズケーキの端っこ|連載「記憶を食む」第1回|僕のマリ

 肌寒くなってきたこの頃、ひどい冷え性のわたしは手足が氷のように冷たく、爪も紫色で筋肉も…

カンゼン
4か月前
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