朝食のピザトースト|連載「記憶を食む」第2回|僕のマリ
今年三十二歳になる。三十二歳というのは、もうなんていうか、言い逃れできないほど立派な大人である。それでいて、日本人の平均寿命で考えれば、まだ折り返し地点にも立っていないのだから恐ろしい。あと四年もすれば、母がわたしを産んだ年になる。そう考えるとまた、気が遠くなる。自分の人生、好きに生きたいと思う。でも、それとは別に「大人として」しっかりしたいとも思う。そのふたつを両立させるのは不可能ではない。わたしが今まで読んだ本や、好きな映画や漫画が様々な道を示してくれる。二十代まではな