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コワーキングLABニュースレター#14「コワーキングデイにやる23+1のマーケティング」の巻

※このブログは、ローカルコワーキングのための学びと部活動「コワーキングLAB」の会員限定で配信されているニュースレターから転載しました。

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来る8月9日は、世界中でコワーキングの誕生日を祝う「コワーキングデイ(Coworking Day)」です。

2005年8月9日、サンフランシスコでBrad Neuberg氏がはじめて「Coworking」という言葉を使って(作って)、Spiral Museというビルの一室に確か2人がやってきて仕事をしたのが、現在のコワーキングの原型と言われています。それを記念してこの日をコワーキングデイとし、毎年世界中のコワーキングでなにかしらイベントが開かれます。

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(画像出典:Coworking: Community Office Space for Writers and Programmers ウェブサイト)

当時、Brad Neuberg氏がコワーキングをはじめた様子は、昨年の8月9日に書いた、このブログを参照ください。

ということで今号では、アメリカのコワーキングに関するコンテンツマーケティングのオーソリティであるCat Johnson氏が、「コワーキングデイ」に際してコワーキングスペースがすべき23のことをまとめてくれていますので、それを抄訳してメモを付けて紹介します。


これらをそのままでも、少しアレンジするのでも、または組み合わせるのもOKです。今年は昨年に引き続きコロナ禍のせいで思うようにイベントもできないかもしれませんが、例えばオンラインに置き換えるなど、工夫次第で可能なものもあります。

では。

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1.無料開放

利用料金を無料にして、コワーキングに参加してもらうきっかけを作る。

(メモ)
これは8月9日一日だけでもいいですが、9日を中心に1週間を無料にするコワーキングもあります。

2.コミュニティへの公開書簡(オープンレター)

コミュニティ(=利用者)に、そのコワーキングのこれまでのストーリーや、主宰運営者のビジョンや価値観を伝えるオープンレターを書く。コミュニティがそれを共有することで、コミュニティとしての結束力が高まる。

(メモ)
利用者向けのニュースレターや、それがなければブログでもいいです。

3.ローカルコワーキングデー

地元で「コワーキングデイ」と宣言し、他のコワーキングスペースに声をかけて、関係者や友人、パートナーに参加してもらう。

(メモ)
他のコワーキングと協働関係になることが、ローカルコミュニティとして理想だと考えていますが、なかなかそういう話は切り出しにくいかもしれません。そんなとき、こういうイベントがあれば「一緒になにかやりませんか」とお声がけしやすいと思います。

4.市長の宣言

で、その宣言を市長にしてもらう。Seattle Collaborative SpaceAllianceは、その証明になるものを用意して、実際にこれを行っています。PRとしては抜群の効果あり。

(メモ)
市長じきじきでなくても、地元の行政(自治体)に企画を持ち込んで官民が協力してやるのは一考です。実際のところ、自治体もローカルコミュニティの組成の仕方として、こういうアイデアを求めていることもあり得ます。

5.コワーキングアライアンスの編成

コワーキングデーは他の地元のコワーキングスペース事業者とつながり、コラボレーションを開始し、アイデアやリソースを共有し、お互いをサポートする絶好の機会にする。 

(メモ)
3と関連しますが、同じ地域にあるコワーキングと連携体制を持っておくと、相互にコワーカー(利用者)を送迎できたり、そのコワーカーの流動性を高めることで新しいコラボが生まれ、新しいビジネスが立ち上がり、結果、地域全体の活性化にもつながる、その接続点としての役割をコワーキングスペースが担う、ということになります。これは、単体で運営することでパイを奪い合う関係から、相互に補完し合う関係のほうが、負担を分散できるだけでなく、お互い得るものも大きいということであり、文字通りコワーキングの概念にまったく一致することです。

6.コミュニティハッピーアワー

コミュニティを拡張するために、ハッピーアワーを設定してコワーキングスペースに誘う。スペースの説明とともに、ビジョンを共有し、コミュニテイをアピールする機会とする。

(メモ)
ハッピーアワーとはレストランやバー・パブなどの飲食店が、ビール、ワイン、カクテルなど酒類の割引を行う時間帯のことを言い、通常、夕方から店が混雑するまでの時間帯に行われます。コワーキングでも、夕方から、たまたまそこに居合わせたコワーカーが「ちょっと一杯」と雑談しながらビールを飲むことはよくあります。飲食は人を近づける最良の方法のひとつであり、「コワーキング曼荼羅」の8つのテーマにも入っています。

コワーキング曼荼羅Ver.3.1

7.オープンハウス

コワーキングを1週間、または1日、または数時間、開放する。ハッピーアワーには軽食や飲み物を出しておいて、あとはコミュニティに任せておくぐらいでOK。

(メモ)
ここ、軽く書かれてますけど、大変重要です。つまり、コミュニティメンバーとして遇する時に、「客」としてあれこれ面倒を見るのではなく、既存のコワーカー(メンバー)のコミュニティが「仲間」として自発的に対応するカルチャーを育んでいることが前提です。ですが、コワーキングはもともとそういう人たちが集まってできた仕組みでありスキームであり、人をつなぐハブです。逆に、最初からそういうカルチャーに接してメンバーになったコワーカーも、また同じ行動を起こしてくれるはずです。ハッピーアワーは、実際のところ、そのコワーキングのカルチャーを体験する絶好の機会になります。

8.バンドのライブ演奏

ちょっとした音楽と軽食、飲み物を用意する。

(メモ)
ハッピーアワーに生の音楽があるとさらに盛り上がります。ちなみに今回、コワーキングデイにカフーツで行うオンラインイベントではフリータイムを設けていて、ここではトークやプレゼン以外に、ギター演奏やダンスや漫才や、とにかく得意な演し物をお持ちの方に披露していただこうと思っています。で、これも「コワーキング曼荼羅」の中に「表現」として、あります。

9.ディスカッション

地元で話題になっていることトピックスをテーマに、その方面のリーダー格の人に集まってもらって見解を共有する。

(メモ)
なにかのテーマを取り上げて意見交換するというのも、人がつながる方法です。ここでは、「リーダー」としていますが、別に著名人を呼ぶのではなく、そのテーマに関心のある人に集まってもらう、という程度で十分です。むしろ、そのほうがフラットな関係を作りやすいはずです。それが次のファイアサイドチャットです。

10.ファイアサイドチャット

特定のトピックで語り合う少人数のグループへ招待する。そのためにビジネスの戦略やその目的、あるいは起業家精神についてなど、話題になりそうなトピックを考える。

(メモ)
「ファイアサイドチャット」というのは炉端のおしゃべりです。火を囲んでまったりと、しかし身のある話をするのは楽しいものです。あ、別に炉端がなくても構いません。でも、輪になると話しやすくなるのは確かです。

11.ワークスプリント

会議室を予約し、コワーカーを招待して、一回につき25分間、みんなで集中して作業する。意外と多くの人が達成する。

※上級者向けのヒント:Pomofocusなどのタスク処理に集中するためのアプリを使うといい。

(メモ)
Pomofocusは、25分間でタスクを片付けるPomodoroというメソッドを実行するためのオンラインタイマーです。25分というのがミソで、そこでいったんブレイクを5分入れます。で、また次のタスクへ。このメリハリがポイント。ダラダラしない。

12.コーヒーとドーナツ

簡単で、なじみがあり、安価。失敗することも慌てることもなし。

(メモ)
別に紅茶でも構いません。ちょっと何か口にしてホッとする時間があると人は近づきやすくなります。あるコワーキングでは、午後3時になると鈴が鳴り、居合わせたコワーカーはいったん仕事の手を休めてキッチンに集まり、みんなでお茶の時間にする、というルールを設けているところもあります。いいアイデアです。

13.スペースの内覧会

そのコワーキングの利用を検討していても、ひとりでスペースを案内されることを望まない人もいる。彼らは、むしろグループの一員になりたい。1日に何回かスペース内をツアーする時間を作って、スペースとコミュニティの活動を見てもらう。

(メモ)
「コミュニティの活動」というところ、大事です。内覧というと、デスクとか照明とかの設備を説明することになりがちですが、むしろ、どんな人が利用していて、どんな活動がそこで行われているのか、を紹介したほうがいいです。人はやっぱり人が気になります。なので、タイミングを見計らって、既存のコワーカーさんを紹介して話してもらうというのも有効です。

14.景品の進呈

会議室を使ったり、一日コワーキングしたり、会員登録をした利用者にコワーキングデイの景品をプレゼント。景品は、彼らとあなたと関わりを持たせるための素晴らしい方法。

(メモ)
意外とこういうことが人の記憶に残りますね。よくあるのがステッカーでしょうか。ノートパソコンに貼り付けたりしてもらえると、仲間意識も高まりますし、PRにもなります。「エンゲージメント=関わり」という言葉は常に意識しておきたいものです。

15.屋外コワーキング

もしスペースの外にパティオがあれば、即席のコワーキングスペースにしてもいい。なければ近くの公園や駐車場の一角でできないか考える。アウトドアのコワーキングという発想は、そのコワーキングやコミュニティに対する関心を惹き起こす方法となる。

(メモ)
これ、本当です。たぶん、我々は本能としては外にいたいんでしょうね。仕方なく屋内で仕事してますけど、可能なら開放的でストレスレスな屋外でやりたい。それに、いま、コロナ禍でできるだけ密を避けたいので、こうした設えはむしろ、面白がれながらも安心感を与えます。日本のコワーキングの黎明期には、コワーキングという概念を体験してもらうために公園で(イベントとしての)コワーキングを開催したものです。ぼくもビーチでやったことがあります。あ、ちなみに、その時、そのイベントを「Jelly(ジェリー)」と言ってました。

16.ご近所の散策

コワーキングデーの楽しみをコワーキングスペースに限定しない。食べ物、コーヒー、アート、アクティビティ、飲み物など、地元のお店を巡るイベントを企画して、ローカル全体でコワーキングデイを祝う。

(メモ)
これも重要な提案です。コワーキングは閉じこもってはいけません。その町(ローカル)に欠かせないコミュニティとして、(以前もニュースレターに書きましたが)他の事業者とのコラボは常に意識しておくべきです。そのリレーションシップの中で、また新たな企画が持ち上がることはままあります。ひとりで考え込まないこと。仲間を頼ってもいいのです。お互いに助け合うことになるのですから。これもまた、コワーキングの提供する価値です。なお、以前も紹介したシャルソンを、街歩きの企画にしてこの日に催行するのもいいと思います。

17.コワーキングめぐり

近隣に他にもコワーキングスペースがいくつかある場合は、共同でコワーキングめぐりを企画する。これは、コラボを組めたり友好関係を結べる相手を見つけると同時に、コワーキングの潜在ユーザーが自分に最適なスペースを発見する最適な方法になる。

(メモ)
前述と同じくコラボです。同業他社とパイを奪い合うのではなく、パイを育てて分け合う、という発想になるほうがコワーキングの理念に合致しています。うっかりするとコワーキングはどこでも同じと勘違いする人もいますが、コワーキングはそれぞれ何らかの特色を持っていて、それをコワーカーは敏感に察知しています。それを一言でカルチャーと言ってしまいますが、そのカルチャーにバリエーションをもたせることよりも、違うカルチャーを持つところとコラボしたほうが話が早いはずです。お互いに尊重しあってコラボするのが吉です。それにはイベントを共同で企画するのが有効です。

18.コワーキングパスポート

コワーキングパスポートを導入する。

(メモ)
日本でも東京茅場町のコエドの田中さんが「コワーキング・パスポート」を開発中ですが、これはアメリカのデンバーではじまったパスポートで、17のスペースの中から少なくとも5つのコワーキングスペースをピックアップしてお試し利用ができるパスポートです。面白いのは、それぞれのスペースを、雰囲気やWiFiの速度やコミュニティの活性度などで評価できること。で、それからお気に入りのコワーキングスペースを決めたら、初月度50ドルがディスカウントされます。なお、画像を見る限り、紙でやるみたい。そういうアナログさも、実はローカルには必要かもしれません。

19.ワークショップまたはランチ、セミナー

メンバーの中から、あるいは地元の専門家を招待して、マーケティング、ブランディング、企業会計、資金調達、ソーシャルメディア戦略などを含むコワーキングに適したトピックに関するワークショップを開催する。

(メモ)
「学び」はあらゆるコワーカーにとって必須です。特にコワーキングを利用するフリーランサーや小規模事業者のコワーカーは、自分の仕事領域で生きていくために、企業に属するワーカーと違って、自分で学ぶ機会を作らねばなりません。それをコワーキングのほうから提案するのは、学び合うコミュニティであるコワーキングのやるべきことのひとつです。この場合、コワーキングデイにからめて無料にしてもいいかもしれません。それが、そのコワーキングとの縁をつなぐ機会になります。

20.バーベキュー

8月といえば、夏。バーベキューとアウトドアの季節。パティオがなければ駐車場、歩道、公園で楽しもう。

(メモ)
とにかく、ともに飲食するというのが、初めての人同士でも仲良くなる秘訣です。特に我々日本人は社交的でない場合が多いので、バーベキューという判りやすいイベントは有効です。ただし、歩道や公園はしかるべき許可を取った上でするように。スペースから離れて、前述のアウトドアコワーキングとセットにして、ビーチでやるのもいいですよ。ゴミは持ち帰ること。

21.起業家エキスポ

地元の起業家のための小さな発表会(エキスポ)を開いて、メンバーと地元の起業家にスポットを当てる。テーブルに軽食や飲み物を用意して、コミュニティや起業家に近い地域の人たちを招待する。もしかしたらその中に、起業家に興味を持つ人が現れ、サポートしてくれるかもしれない。

(メモ)
そもそもコワーキングは人をつなぐ仕組みなので、起業志向のコワーカーがいる場合、こうしたプレゼンの機会を設けるのも、コワーキングデイに相応しいコンテンツとなります。

22.タレントショー

メンバーに、仕事に関係のない才能(タレント)を披露する機会を与える。音楽、ジャグリング、詩、ダンスなど。彼らに友人や家族を招待してもらって、ショーを楽しみつつ、コワーキングとコミュニティについて知る機会とする。

(メモ)
コワーキングには案外多才な人材がやってきます。彼らの発表の場としてイベントを企画するのはいいアイデアです。ぼくも以前、各自、得意な楽器を持って集まり、なんの準備もなく即興でジャムセッションする、なんてことをやってました(先日、偶然、そのビデオがYouTubeに残ってるのを発見しました)。このとき、全然予想もしてなかった人が、楽器を片手にフラッとやってきて、それもまた新たな発見になる、というわけです。オススメ。

23.スピードネットワーキング

即席にネットワーキングする。テーブルを設置し、ガイドラインを作成してタイマーを設定し、あとは参加者に自由に振る舞ってもらう。いかに短時間でネットワーキングできるかを愉しむ趣向。これもまた、新しい人を巻き込んでローカルのビジネスコミュニティを作るのに有効。

(メモ)
くどいですが、つまるところ、コワーキングとは人と人をつなぐ仕組みです。言い換えればネットワーキングの何ものでもありません。ただし、そこに集まる人たちの目的を果たしたり、その地域の課題を解決するために手を貸す人たちが交差するハブとしてのネットワーキングを意識したいところです。

おまけ:

24.これやりたい宣言+一緒に考える会

これは元記事にはありませんが、ぼくが追加しておきたいものです。先日の、カフーツ11周年記念のオンラインイベントでもやりましたが、誰かに「私、これがやりたい」という宣言をしてもらって、参加者が情報提供したり、アイデアを交換したり、人を紹介したり、あるいはパートナーになったりして、それを実現するために手を貸す、というイベントです。茅ヶ崎のチラボさんや愛媛八幡浜のコダテルさんもやっていますし、他にもきっとやられていると思います。人と人をつなぎ、コミュニティの軸を作る、とてもいい機会になります。

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以上、世界コワーキングデイにやったらいい23+1のアイデアでした。このままでなくてもアレンジしてトライしてみてはどうでしょうか?きっと、オモシロイ展開がありますよ。

なお、カフーツではオンラインイベント「カフーツ世界コワーキングデイ2021-08-09」をやります。トークセッションやフリータイムに出演いただける方を募集していますので、もしよかったら参加お申し込みください。

カフーツ 世界コワーキングデイ 2021-08-09

※このブログは、ローカルコワーキングのための学びと部活動「コワーキングLAB」の会員限定で配信されているニュースレターから転載しました。

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