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【山行】大菩薩嶺 久しぶりの雪山

 二月の連休に大菩薩嶺だいぼさつれいに登ってきました。一泊二日の小屋泊まり。東京に雪が降れば、奥秩父あたりは大雪だろう……と。

 中里介山大先生の『大菩薩峠』は、読んだことないし、映画も観たことがないっす。

バスから見える大菩薩の稜線。バッチリ雪がついている。てか、あそこまで登るのか……
二月なのに照り返しが厳しい。サングラスと日焼け止めを忘れた。いつも何か忘れるな
トレースはしっかりついてます。キャーキャーはしゃいでる若いカップルに抜かれた…
上日川峠
やたら山小屋が多い山域

 そういえば(とは言っても、生まれる前)、大菩薩事件というのがあった。60年代後半、この辺りの山小屋に潜伏して、テロの訓練をしていた赤軍派が一斉検挙されたのである。たしか若松孝二監督の映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』は、ここで撮影していなかったかな。

 話は逸れるけど、故若松監督。晩年はうちの近所(当時)のやきとり屋によく来られて、店内に作品のポスターが何枚も貼られていたり、そこのカリスマ店主が若松組のオーディションを受けたりするほどの常連だった。取り巻きがいたし、作品を二本ぐらいしか観たことがなかったので、話しかけたりはしませんでしたが。

 若松監督の『キャタピラー』という作品がベルリン映画祭で主演女優賞を獲得したとき、その女優さんは映画祭に出席していたけれど、監督はこのやきとり屋のTVでニュースを観ていたのだった。大騒ぎだった。

 この店では、他にも唐十郎さんが若い劇団員らと呑んでる姿もお見かけしたものです。唐組の熱心なファンの友人がいて、誘われて紅テントの野外公演(花園神社とか鬼子母神とか)に足を運んだりもしたなあ。

有名な大菩薩峠の眺め、山頂はまだまだ先

 今回、大菩薩のたおやかな山容を考慮して、軽アイゼン(4本爪)しか持ってこなかったのは大失敗だった。アイゼン(クランポンとも)とは登山靴の底に取り付ける金属製の爪のこと。爪に雪玉がついたり、ずれたりして、えらく歩きづらかった。

 宿泊は峠にある山小屋。この日のうちに山頂まで往復して、翌日は別の山へ縦走しようかと計画していたけれど、疲れたから止め、さっさと荷を解いた。さあ、酒、酒、酒。

今夜の宿

 その日1番目の客となって、食堂でひとりワインを呑む。苦労して持って上がってきたから、減らしとかなきゃ、と。客は15人ほど、残念ながら夕ご飯は撮り忘れました。

 そして、夕方になって雪が降ってきた……。

翌朝、少し登って小屋を振り返る
日の出、手前の雪と奥の雲海が同じ質感
小屋に戻って朝ごはん。白飯が進む
いざ山頂へ。避難小屋が見える

 昨晩の降雪のためか、途中からトレースが消えて、深いところで膝上まで積もっていた。ラッセルなんて、何年ぶりか。みんな、昨日のうちに山頂を踏んでいるので、自分一人きり……と思いきや、人のつけたトレースを盗んで登ってくるパーティが。

振り返ると、自分が刻んだトレースがうっすら見える

 朝はマイナス8℃。思った程下がらなかったけれど、いちいちグローブを脱いで写真を撮るのが面倒くさい温度ではある。

静かな山頂。相変わらず映えないなー

 そんなわけで、今回は写真が少ない。

 山頂からは丸川峠を経由して、登山口へ戻る。途中でアイゼンが壊れたので、雪の急斜面を下りるのがちょっと怖かった。

 久しぶりの雪山を満喫。良い山、良い小屋、良い食事でした。

 そういえば、山小屋には立松和平の色紙がありましたね。

なかなか味のある書

 大菩薩峠に流れる夢は緑なり、と。今回の夢は純白でしたけどね。

 では、また。

(了)

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