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Cromax CC6750はクセツヨクリアーなのか?

クロマックスCC6750を使ってみて良かった点、チョットなーという点があるので書こうと思います。

このCC6750、よーく特性を把握して使いこなすことができればいいクリアーであることは間違いありません。

ハマる人にはドはまりするんじゃないかなー。

その性能の良さを使いながら実感することが多々あるんですが、自分は使い易さとバランスの良さで685Sをメインに使っています。
というか一度そのスピードと品質に驚いて旧CC6700(現CC6750)をメインに使っていましたが、どうしてもクリアの性格がピーキーなんですよね。
ピーキーっていうのはハマった条件下ではとんでもなく良い性能を発揮してくれるんだけど、ちょっと条件を外れると途端に塗りが難しくなる。という印象です。それでメインを685Sに戻しました。

685Sは良くも悪くも癖のないクリアーなので、幅広い条件下で使用しても思い通りの仕事をしてくれます。スピードは落ちますが。

なのでスピード修理を求める場合はCC6750を。通常の修理は685Sを。という感じで使い分けています。

調色カップに余って硬化したクリアー
←CC6750   685S→
CC6750の方は白濁する。塗装時のクリアは薄膜なので気にならないんだと思う。
反対に685Sはかなり透明感がある。
CC6750
685S

そんなCC6750ここがちょっと!というポイント。

体感かなりシャビシャビしているクリアーなので膜厚感というかモチモチしたようなボリュームのあるクリアー肌を求める場合には向いていません。
無理に膜厚を付けようとガッツリ塗装するとかなりの確率で垂れます笑
もう一つは1.5コートじゃ心配だから。みたいな心情からガッツリ2コートすると湧きが発生する傾向があります。
このクリアでもっちりとしたボリュームのある感じにしたいのであれば、1.5コート後に一度硬化させて、24時間以内であれば足付け不要でリコート出来る。というこのクリアーの特性を使い、時間内に再度クリアーを塗り重ねる。というやり方もアリだと思います。
硬化後は他のクリアーと比較してむっちゃガッチリ固まるので、磨きで肌調整みたいなのは難しいと思います。


それと膜厚の付くボディーカラーの場合、要は3コートパールや46Gのようなアンダーコートを複数回塗装しながらベースコートを何層も塗装するようなボディーカラーですね。そのような色の上にCC6750は不得意なんじゃないかな?と感じました。

こういったボディカラーのベース塗装を終えて、CC6750クリアーの1回目を薄く均一に塗ろうとするとポチポチと細かいピンホールが沢山あるような状態の肌になることがあります。

これこれ!
こういうやつ!
1コート目でこれになると失敗パターンになることが多い。
特にアンダークリアー入れた辺りに多い傾向。


最初はハードナー選択ミスったのかな?と思ったのですが、条件を変えて試したところ同じような症状が出たのでこのクリアー特有の癖とベースコート側の起因が重なるとポチポチが起こるのではないか?と。
特にクリアーの特性がシャビシャビとしていて粘度が少なく、レベリングが良すぎるからじゃないか?というのが原因としてあるんじゃないの?と思います。

なのでベースコート表面の状態をかなりシビアに仕上げ、いかにCC6750とマッチ出来る状態に持っていけるのか?が問われます。
なんというかゴルフでピン傍に1オンできるようなコントロールとマネジメントがベースコートを塗るときに求められるような感じです。
ピーキーと感じる一因はそこにあって、ベースコート表面の状態があるレンジから外れた場合CC6750のレベリングの良さが反転仇になり、ポチポチ状態が出るんじゃないでしょうか?
その性能が発揮できるレンジがCC6750は他のクリアーより狭いんだと思います。

例えば自分は自転車に乗ることがあるんですが、ロードと呼ばれる舗装道路専用ど転がり抵抗の少ないスピードに特化した自転車があります。
このタイプの自転車は接地面が最小になるような細いタイヤを使っています。
更に抵抗を少なくするためにパツパツにタイヤの空気圧を上げているため、アスファルト道路表面の僅かなゴツゴツをダイレクトに拾ってしまいます。
かといって空気圧を下げてしまうとタイヤが拾う地面の振動は抑えられますが、転がり抵抗は増えてしまいスピードに特化した自転車の性能を抑えてしまいます。
このCC6750はそのパツパツに空気の入ったタイヤに特性がよく似ています。
スピードは最速ですが、その代わりにベース表面のコンディションに塗り感を左右されやすい。といった感じです。

CC6750の表面は波のある感じ
685Sはツルッとしている


特に複数回塗り重ねる必要のある3コート系塗色はベースコートの状態の最適化が難しくCC6750が上手くハマりにくいという状況になります。
ま、そこに合せるのがプロなのですが。

反対に条件が整っていると、おおーっとびっくりするぐらい1回目からピターっと薄くきれいにクリアが乗ります。

ポチポチを消すためにはそこだけ追いかけてクリアーをかけて埋める。でとりあえず対処できるんですが、そうすると1回目のクリアーをかけすぎてしまう事になり、結果垂れを誘発する原因にもなってしまいます。
また、ポチポチの箇所はもともとレベリングを阻害する要因があるベースの箇所なので塗り重ねてもポチポチ感が残る場合が多く、思い通りのクリアー肌にはなりません。
このレベリングが良くも悪くも作用しすぎるというのがちょっと使いづらいと思わせる要因だと自分は感じました。

もう一つは温度以外に湿度も加味してハードナーを使い分ける必要がある。という点です。
このクリアー最大のクセであり強味でもあるのですが、CC6750は空気中の水分と反応して硬化します。

通常、クリアのハードナーの選定は、塗る面積と気温で決めるかと思います。
例えば、同じ気温でも塗る面積が大きければより遅いハードナーを使い、小面積では速いハードナーを使うというようにしたり、同じ面積を塗るにしても真冬は速めのハードナーを、真夏では遅めのハードナーを選ぶという事をしますよね。

ですが、CC6750は先の条件に湿度を加味する必要が出てきます。
このCC6750の特徴として湿度が高いほど硬化が速いという特性があります。

従来タイプの加熱することで硬化反応を促進するクリアーとは違い、空気中の水分に反応して硬化していくクリアーなのです。

そのため気温が20℃程度でも湿度が高い場合、AR7703のような遅めのハードナーを使っても早い段階で硬化反応が確認できます。
反対に低温という理由だけで安易にAR7701を使うと細かい湧きが出てしまう事があります。
恐らく原因は低温だけど高湿度の状況でAR7701を使用したことに起因すると思います。
このクリアのシステムからして、より速いハードナーはより少ない湿度で反応するように設計されていると思われます。
低温だからという理由だけでAR7701を使用するとそれなりの湿度がある場合、急激かつ過剰に水分との反応があり細かい湧きのような塗膜欠陥を引き起こすのだと考えられます。

なので低温で低湿度の時はAR7701で良いのですが、低温でも通常の湿度の場合はAR7702を使った方が塗膜欠陥のトラブルは回避できます。
では温度がそれなりにあり(25℃程度)カラッとした低湿度の時はどうでしょうか?
その場合はAR7701を使ってもいいと思います。もちろん塗る面積にもよりますが。
ある程度気温が高くても硬化反応に必要な空気中の湿度が少ない場合はより速いハードナーでも良いという事です。

さぁ、どうでしょうかCC6750は。
以上の事をよく理解して使用することができれば、塗装工程のリードタイムを大幅に削減できる可能性のあるクリアーだと思います。
自分もこのクリアーに何度も助けられたのは事実ですから。
最初に言った通り良いクリアーであることは違いありません。ただ使い方や特性をよく咀嚼して使わないと思わぬトラブルになる可能性も秘めています。

総括するとオススメのクリアーなので一度使ってみるのも面白いと思いますよ。

では。

追記
CC6750で仕上げた塗装面、特に上面。ルーフとかボンネットで艶が引けるトラブルが何度か報告されました。
全体的に艶が引いているという症状もあれば右側や左側に偏って艶が引けている。という例もありました。
原因はまだ良く分からないのですが、自分の塗装の癖として上面とかはガッツリ塗ってしまう傾向があるからかもしれません。
艶の引け方に特徴があって、本来の塗装肌のラウンドがあるじゃないですか?そのラウンドの中に細かいラウンドが出来てくるという感じで艶が無くなっているというような状態でした。
その状態から磨いたとしてもクリアが硬すぎて磨けないという感じで、塗装のやり直しという事で収めさせていただきました。

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