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「なぜ日本ではなく海外を支援するんだ?」と僕に言ってきた、70歳くらいのおじいさんへ。

もう3年以上も前の話だが、ご年配の方から「日本人なんだから、アフリカより日本の問題に取り組めばいいじゃないか」とお叱りを受けたことがある。


「わざわざ飛行機に乗って遠くのアフリカまで行かなくても、日本にも困っている人たちはいるじゃないか。なぜ日本ではなく海外を支援するんだ?」


SNSにせよ講演にせよ、国際協力に関する「発信」をしていると、ご年配の方からこんな意見をぶつけられることがある。似たような経験ある人もいるんじゃないだろうか。


でも、僕はこう言い返したい。「あなたがまだ子供の頃、日本は海外からの援助によって経済成長できた事実を忘れてしまったんですか?」と。


日本は政府としても、国の税金を使いながら発展途上国を支援している。いわゆるODA、政府開発援助だ。


政府開発援助以外にも、多くの団体や個人が海外支援に関わっている。僕もその一人だ。


「なぜ日本にも困っている人はいるのに、海外を支援するのか?」

「海外支援に使っているお金を、日本国内の問題解決に使ったほうがいいんじゃないか?」


国際協力を志した人が、最初に直面する葛藤かもしれない。思えば僕も大学生の頃、モヤモヤしていた時期がある。


でも、その一つの答えは「日本自身がこれまで世界中からたくさんの海外支援を受けてきたのだから、その恩返しをするため」でいいと思う。


日本も第二次世界大戦に敗けた直後は、今でいう「発展途上国」の状態にあった。70年以上も前だからこそ、もしかしたら今のアフリカ以上に深刻な状況もあったかもしれない。


しかし、その後日本は奇跡的な復興と経済成長を見せ、まだ終戦から20年も経っていない1964年には東京オリンピックが開催された。


戦争によって荒廃した日本がこれだけ経済成長できた背景には、世界中から支援を受けていた歴史がある。


例えば東海道新幹線や東名高速道路など、高度経済成長期の日本を支えたインフラは世界銀行からの莫大な融資によって建設されている。その金額は8億6000万ドル、現在の価値にして約6兆円だ。


また、ユニセフは終戦後4年が経った1949年から日本への支援活動を開始しているが、日本の子供たちのために約65億円、現在の価値で約1300億円もの寄付をしている。


当時の日本では、下痢による脱水症状や呼吸器系の感染症など、予防可能な病気が原因で子ども100人あたり6人が5歳を迎える前に亡くなっていた。サハラ砂漠より南のアフリカで今起きている問題と、同じようなことがかつての日本でも起きていたのだ。


そういった「援助を受けてきた過去」を思い返せば、経済的に成長し、世界のリーダーの仲間入りを果たした今、日本が、そして日本人が海外支援をやる意義というのは、自然と理解できるのではないだろうか。


※この記事は本日YouTubeにアップした動画「なぜ日本にも困っている人がいるのに、わざわざ海外支援をするのか?【論理的に説明する】」を一部抜粋、加筆したものです。ぜひ、動画本編もご覧ください。


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写真:福山大空襲後の福山駅周辺
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:%E7%A6%8F%E5%B1%B1%E5%A4%A7%E7%A9%BA%E8%A5%B2%E5%BE%8C%E3%81%AE%E7%A6%8F%E5%B1%B1%E9%A7%85%E5%91%A8%E8%BE%BA.jpg

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