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時計仕掛けのオレンジ

マグさんと見た!!人と見てわいわいするタイプの映画では決してないですが、人と見る環境がやや必要な冒頭だなと思いました。

アメリカ国立フィルム登録簿

アメリカでは「我々がどのような人々か、どのような国民か」がわかる映画を重視する登録簿がある。映画だけではなくホームビデオやドキュメンタリーなど幅広く登録されているこれらは直接的な映像保存団体ではなく「保存を促す」目的が主であり、つまりこれに登録されてると箔がつくってことなんだと思う。

時計仕掛けのオレンジはこれに登録されている。この映画のジャンルはSFで、登録されてる作品も映画だとSFが多いように思った。これは単に私がSF好きだから知ってるタイトルが多いだけかも。その時の生きてる人間をそのまま描いた作品より、時代とか場所をずらして書かれた作品の方がより概念的なアメリカなのかもしれない。どうやっても訪れない未来を描いた方が「らしさ」が現れて保護するに値するような価値観を描けるのかも。

適当言ってる!!!!!!!だって時計仕掛けのオレンジに「なるほどアメリカだね」って思う要素、私は感じなかったよ!!!!本当か?!!アメリカたれ、これでいいのか?!!!

脚本や個人個人の挙動に対してそう感じなかっただけで、本当に疎い美術とか芸術面がアメリカなのかも。それはありそう。ペニス起き上がり小法師とか…。

むしろ逆で、この作品がアメリカらしいのではなくて1971年に発表されたこの映像にアメリカに激震が走り、全てが感化された結果めちゃくちゃアメリカになったのかもしれない。そう言われても信じるくらい衝撃的で刺激的でセンスがあって50年前の映像とは思えなかった。建物に関しては「本当に今流行ってる感じ」というか、カメラ由来の色調の古めかしさはあっても構図とか調度品含めて「今も見る映像」だった。

あと50年前の映画倫理というか映像倫理というかなんて言うんだ、登場ルールの間にあるのでめちゃくちゃ女性の裸が出る。10人くらいいたと思う。隠されてるものでも秘されるべきものでもなかった。そう言う映画だからと言うのもあるし、アレックス自身が女性の体に対してなんらかの特別感を抱いてなかったからかもしれない。暴力は溜めて焦らして舐め回すように描写してたから多分そう。

今回字幕で見たんだけど、そんなに難しいこと言ってないはずのシーンで全然リスニングできない場面があって、造語が使われてるのもあるしかなり「訛ってる」とか「教養がない」喋り方をしてたと思う。博士とか政治家が出てきた時の「わからない単語以外は聞き取れる」感が異常だったのでこれはあってると思う。最後にニコニコしてた政治家の人、かなり噛み砕いたのもあってほぼ分かったし…。アレックスをれ舐めてるとも言うかもしれませんが。

アメリカ的な、と言う要素が私には一切わからなかったけれど少なくともこれが「アメリカ的な」に代表されるのをしれたのは良かったかもな〜と思います。本当だろうか、それにしてはやや監督個人のセンスの良さに頼りすぎではないですか?でも日本のアニメが全部宮崎駿の血を引いてると言っても過言ではないところあるしなんともいえないかもな…。

アレックス

悪を尽くした楽しい頃から逮捕されて、洗脳されてそこから出たら過去の因縁から酷い目にあい、やや元に戻ったあたりで幸せを手に入れる映画なので問われてることは「善とは?」なんだろうけど、そこまでの過程がセンスと教養に溢れ…ユーモアを欠かさず…人間らしい葛藤を余さず描き…理不尽が行き届き…真の悪とは何も考えてないことなんだなとわからせるため…すごい…すごい難しかった…。

普段、元ネタがわからないジョークとかが出てきても「まあこういうのは出会う順番だしな〜」と思えるんだけど時計仕掛けのオレンジって今わからないならもう2度とわからないかもな〜を強く感じた。グッドオーメンズはわかんなくてもそのうちわかる日が来るかもしれないけどクラシックと芸術に触れる予定がないのでもう部屋の装飾とか音楽のチョイスとか何もわからないまま終わるような気がする。

なので「この監督の作品を一生咀嚼して人生を過ごす」みたいな行為がすごくわかる気がした。キューブリック作品を余すところなくわかるために教養を積んでいく人生ってあるんだろうなと思った。つまり、これって本物なんだろうなと見てる最中も強く感じる映画だった。

アレックスが等身大の人間かと言われると絶対違うし、自分が襲った家を忘れるのもその家で暴行した時に歌った曲を再度歌うなよもあるしアレックスが受けた暴行のほとんどは「まあ因果応報だな」と他人事でいれるんだけど彼以外の人間たちがかなり生きた人間だった。そもそも刑務所に入る前がやや非現実というだけで刑務所から先は調度品とかもかなり現実寄りだったのもあると思う。

洗脳を受けてる最中のシーンで印象的なのは知り合いの不良が警察になってた下で、どこか郊外へ連れ去られた時に何もされてないのにアレックスが徐々に吐き気を催すのが凄かった。暴力を受けてるわけではないが、その気配を察知して体が拒絶反応を示している。つまり彼は暴力を振るう側だった経験からこれからを予測していた。

印象的なで言うならたくさんあって、雨に唄えばを聞いて顔を歪めるおじいちゃんとか、なんか知らんけど常に平静だったまっちょとかかなり印象的だった。なんだったんだあいつ。俳優さんはベイダー卿らしい。

楽しかったけど難しかった、何が難しいのかさえ分かってないと思う。

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