推しが卒業する人間の自分語り兼備忘録もしくは感情の記録

彼女と出会ったのはいつだっただろうか。
ちょうど一年と少し前、社会人となり二回目の繁忙期。ただ朝起き仕事をして家に帰って寝るだけの生活がたまらなく嫌で、夜遅くまでスマホで時間をつぶしていた時だったのを覚えている。

なにが切っ掛けで彼女を知ったのかは正直もう覚えてはいない。ただ「にじさんじ」というグループに、いつのまにかたくさんの人がいて盛り上がってるのを知り、いろいろな人の切り抜き動画を見る毎日だった。いつのまにか、というのも当時はほとんどVtuberを見ておらず時間が空いた時にたまたま通知が来て気が向いたら見る、くらいの感覚だったからだ。
だから、当時「にじさんじ」に64人ものライバーが所属していることも知らなかった。
にじさんじの切り抜きを見始め、いろんなライバーさんがいることを知り、もっと知りたいなと思ったときに見つけたのが彼女のモノマネの切り抜きだった。知っている方のモノマネは特長とらえていてうまっ!て思ったし知らない人のを見ていても本物はどんなやつなんだよ…ってすごく気になった。その日のうちににじさんじ全員分のチャンネル登録をしたのを覚えている。そしてなにより、楽しそうに笑う彼女のことが一番気になった。

3月頃から彼女の配信をよく見るようになった。
初めてライブを見れたのは多分、「中学校生活最後のテストが終わったよ」というタイトルだった気がする。当に自分が通り過ぎたそれを、今現在学生として生き、あまつさえ配信タイトルにされたものを見たときなんだか嬉しくなったのを覚えている。友人から連絡がきた、みないな感じだったのかな。「初見です」コメントを打ちそびれたのを今でもたまに思い出す。
彼女は朝に雑談をよくしていた。繁忙期だった私は朝の雑談配信を冒頭だけしか見ることができなかった。つい「いってきます」みたいなコメントをしてしまった。名前を呼んで「いってらっしゃい」と言ってもらえた。ただそれだけだったのにすごく嬉しかったのを覚えている。
繁忙期ゆえに土曜も仕事が入っていたが休日出勤の日はイヤホンをしながら作業できる環境にあったため、彼女のアーカイブを聞きながら仕事をしていた。途中で仕事の手を止め彼女のおすすめする漫画やアニメなんかのメモを取っていたのを覚えている。

3月半ば彼女の個人ボイス、それも先着リスエストボイスつきなるものが発売される。
30分だったか1時間しないで完売したそれをなんとか買えた私は悩む。言ってもらいたいセリフが全く浮かばなかった。休憩時間も家に帰ってもずっと考えていた。浮かばない理由は明白。この短期間で彼女のことを好きになってしまっていた。好きな人に自分の言ってもらいたことを伝えるのとか普通に恥ずかしくてできなかった。でも決してガチ恋ではないし、しないとも決めていた。ただ、その気持ちを理解できるところにまではきていたと思う。ただその頃にはもう、彼女が初めて出した動画でガチ恋について言及した言葉を知っていた。「あなたが辛くならなければいいよ。」ボイスは告白してふってもらうシチュエーションにした。初めて彼女の配信を見た時の感情を失いたくないと思ったからだ。

彼女のことを知って1か月くらい経った頃にはもう目に映る景色が変わっていた。世界に色がついてくのを感じた。雑貨店や洋服に目がいくようにもなっていた。彼女に贈ったら喜んでくれるかな、みたいな考えがよぎるようになった。なんでもなかったはずの毎日がとても楽しく特別になった。推しの概念を理解した。

本当に毎日楽しくて、この1年間で彼女のことを考えない日はなかった。そんな彼女の属する「にじさんじ」のことが本当に大好きになった。いつも誰かが配信していてリアルタイムで進行するライバーさんたちの現在が、物語が、人生がとても楽しかった。

8月
新衣装がくる。
とてもかわいくてびっくりした。

9月
1周年記念配信やるのかなとか楽しみにしてた。

10月21日
彼女が戻ってきた。久々に聞く声はたしかに彼女のもので楽しそうに笑う彼女にすこし安心した。

10月22日
杞憂ではなかったことを知る。私が人生で一番泣いた日。「いまはまだ」の言葉を聞いた時に思考はもう止まっていた。「いまはまだ」その言葉は言葉の通りで、ただ、それを口にするというのは詰まるところそういう意味だと分かってしまう。ただひたすらに泣いた。なんでこんなに悲しいんだろうと考えた。やりたいことが見つかったらしい。よかったという気持ちと、おいて行かれたという気持ち。自分がやりたいことを見つけられず今まで生きてきたから。そんな風に思わせられるほどの距離感を彼女に与えられていたのだとあらためて思い知る。 推しという存在を理解したくなかった、彼女に出会いたくなかった、そう、思えないほどに私は彼女の、彼女の与えてくれた今が好きなのだと知る。 感謝しかなかった。自分も彼女が私にしてくれたようにたくさんの人を笑顔にしたいと心の底から思った。思い出した。やりたいことが見つかった。彼女がいてくれて本当に毎日楽しくて、彼女が与えてくれるものが大好きで、彼女と共に過ごす時間が本当になによりも楽しかったのだと気づいた。涙の後には感謝しか出てこなかった。

勢いでバーチャルの世界に飛び込んだ彼女だからこそ、また、勢いで別の道へと駆け出していくだろうと思った。当然のことであり、むしろ彼女らしい。だから本当にこの涙は自分本意のものなのだ。こんなにも自分の心を動かす存在に出会えたことが嬉しかった。
余談だけどこの日を境に食欲がめっぽう落ち年末に実家に帰って体重を計ったら10kg以上落ちてて笑った。体系にお困りの方はぜひ推しをつくろう。

11月
初めて彼女のイラストを描いてみた。今までオタクをやってきて絵を描いてみたいと思ったことはあったけど行動には移さなかった。描きたいものがなかっただけなんだと知る。
リツイート・いいねの通知、みんな彼女のことが好きなんだなと、あらためて感じたのを覚えている。嬉しかった。

12月30日
25日に予定していた失恋ソング配信が延期され、かねてから彼女がしたいと言っていたにじさんじ関連の曲を歌う配信が告知される。
配信終わりに大事な告知があるという。待機所が作られた。サムネを見た。彼女のイラストを担当された方が彼女の2万人記念の時に描いたものだった。オタクだからわかってしまう。「重大告知」このフレーズはにじさんじにおいて私の期待を裏切ったことはなかった。全部これからの楽しい時間の始まりを告げるものだった。そう、信じて配信を見た。現にこれを書いている今も期待は裏切られていない。
やはり、卒業の告知だった。3月末で卒業。10/22の時点で覚悟はしていた。でもその時点で彼女はこれからのことはまだちゃんと決めていないとも言っていた。だから多分この2か月で考えて決めて、発表してくれたんだと思う。正直、早くて3月末は見据えていた。でも、でもやっぱりどこか、もっと未来のことだと思い込もうとしていた。「あと3か月!短くない、長いよ!」君のことを知った日を昨日のように覚えている。9か月前が昨日なら3か月後は明日にも満たない。でも、本当にこの3か月という時間をくれた彼女には感謝しかない。
5月末に6月の予定を立てる配信をして、6月末には引退を考えていた彼女が今こうして、素敵な歌を聞かせてくれて、リスナーを気遣ってこんなに前から卒業を教えてくれて、これ以上なく優しさを感じて、すごく嬉しかった。まあ、それ以上に辛くはあったのは事実だけど。

1月
卒業の告知から2週間たって今年初めての配信。なんだかんだ言ってもいつも通りの雑談。いつも通りで嬉しかったのを覚えている。少しだけ前を向けた。
その数日後、ほぼ一年前に初コラボをした方と最後のコラボ配信を行った。この二人の会話は本当に終始楽しそうにしているところが大好きだった。本当にただの友達というか、悪友というか。私にとっては世界で一番大好きな二人組。流れる時間はあっという間で終わり方も最後って気がしないしまらない終わり方で、この二人の関係は終わらないんだなと嬉しくなった。

感情に突き動かされてまた絵を描いた。今まで描いた絵で一番たくさんの人に見てもらえた。やっぱりみんな大好きなんだなって、自分の感じた思いをみんなも持ってるんだなって思えてうれしかった。

2月
配信頻度が上がった。雑談から始まり、コラボに歌もあった。楽しかった。
彼女の好きなソシャゲのガチャ配信があった。リスナーの求めるものに応えようとしてくれていた彼女が自分の好きなジャンルのガチャをただ引くだけの配信。本当に好きなことをやりたくてやってくれているのを感じて嬉しかった。テンションの高い彼女は見ていて楽しかった。やっぱりライバーさんがめっちゃ楽しそうにしてるのを見るのが一番好きなんだと感じた。めっちゃうれしくてめっちゃ楽しかった。
歌配信があった。彼女の歌をちゃんと聞くのは年末以来だった。歌が上手くなっているのを感じた。本当にいい歌声だった。後日話を聞くとこの配信の前に歌ってみたの収録をしていたらしい。
歌ってみた。5月末の配信でやりたいと言っていたことだった。ファンサを歌う予定だったらしい。ずっとなにを歌うんだろうと考えていたから答えが聞けて嬉しかった。歌われることはなかったけれど、その歌をリスナーに届けようとしていてくれたことがとても嬉しかった。
お絵描き配信があった。彼女が絵を描いているところをちゃんと見るのはこれが初めてだった。今までも彼女の描いたイラストを見る機会はあったけどその時に比べ大分うまくなっているのを感じた。9月からの二か月の休止期間。オタ活を頑張っていたらしい。その成果なのか、などと思った。高校生のうちに同人誌を作ってみたいと言っていた。絵を描くオタクなら絶対に考えることなんだろうなと、今を生きる彼女が輝いて見えた。

3月
どうもコロナウイルス?というものが流行っているらしい。3月頭から彼女が春休みに入った。配信頻度が上がった。とても嬉しかった。朝雑談にゲーム実況にコラボ配信。
彼女のチャンネルで大型コラボがあった。声劇だ。一年前の彼女からはこんなタイトルが出てこなかっただろう。内にはあったのかもしれないけどあえて表に出してくというスタイルに切り替えてくれたのが個人的にとても嬉しかったりする。推しが楽しいのが一番楽しいので。『アナタと成長する女子高生Vtuber』がこういう形で花開いてくとはという謎の感慨がそこにはあった。とても楽しかった。
歌ってみたが公開された。彼女が好きな曲だった。嬉しかった。とても楽しそうに、かっこよく、かわいいその歌声がとても大好きだった。彼女がライバーとして活動をしてきてくれて、今日までいてくれたからこその選曲であり、その歌声であった。
可能性を考える。彼女がもっと早くに卒業をしていた可能性を。その気持ちがあったことを。今こうしてこの駄文を書き連ね、彼女の歌ってみたを聞けている今を考える。本当に感謝しかでてこない。どれだけ感謝してもしきれないくらいに楽しくて楽しくて。彼女のやさしさが嬉しくて、彼女がここにいてくれていることが嬉しくて。
全部本当に楽しく嬉しくて、本当に今月で卒業してしまうことが考えられなくなっていた。だからこれを書いている節はある。気持ちの整理を含めて。
卒業を告知したとき「3月に笑ってくれてたら嬉しい」と彼女が言っていた。最初は無理なことを言うなとも思った。でも今本当に楽しくて毎日めっちゃ笑ってる。卒業してしまうんだって忘れそうになるくらい今が楽しい。全部彼女のお陰。卒業を発表した後でもこんなに普通に今まで通り、いやそれ以上にライバーとして輝く姿を見せられたら笑顔になってしまう。そんな風にふるまってくれる彼女のことが大好きで、そんな姿に尊敬を抱いた。

この3か月は本当に泣いたし、それ以上にたくさん笑った。
やっぱりどうしてももっとずっと彼女にありがとうって言いたかったし、おめでとうって言っていたかった気持ちはある。でも、ここまで彼女がいてくれたことが本当に嬉しい。

こんな最高を与えてくれた彼女の言葉に応えるため、この駄文を書き、最後に笑ってやろうと思った次第です。
これを書き連ねているうちに彼女の卒業まで後8日とちょっと。
いっぱい笑っていっぱい感謝を伝えていきたい。ありがとう、遠北。