狂う夜の先で 〜不可解参(狂)現地感想〜
こんにちは、奇音です。
花譜3rdワンマンライブ『不可解参(狂)』 in 日本武道館、無事に終わりましたね。
あまりに感動的・衝撃的で情報量過多なライブだった為今の今まで放心気味だったのですが、皆さんの感想の呟きやPIEDPIPERさんのnoteを読んで私も何か書き起こしておこうと思い立った次第です。
拙い文章にはなりますが、とにかく書き起こすことに意味があると思って書き進めます。最後まで付き合っていただけたら幸いです。
まず、「不可解参(狂)」とは
今回行われたライブ「不可解参(狂)」は、2019年8月1日にLIQUIDROOMにて行われた1st ONE-MAN LIVE「不可解」から連なる不可解シリーズの第8回目です。
『第8回目なのに3rdワンマンライブ...?』となるかもしれませんが、不可解シリーズは、不可解の再演として「不可解再」、不可解弐Q1・Q2の再構築として「不可解弐REBUILDING Q1・Q2・Q3」という様に回を重ねている為、このようなカウントになっています。
これまでのライブは所謂ライブハウス、または仮想空間内のライブステージが主でした。だから今回日本武道館でライブを行うと決まった時、観測者だけでなくVsinger界隈全体が震撼しました。
何故なら、日本武道館という日本の誇る大舞台にそれ以前立ったVsingerはいない。つまり前人未踏、いや全V未踏の挑戦であったからです。
座席が埋まりきらないのでは…?という一抹の不安も壮絶なチケット争いの前に掻き消え、私たちは花譜の人気の広がりを再確認することになりました。
日本武道館道中
現地参加という事で、折角なのでライブ前後の私の動向を少しばかり。(多分面白味は無いので軽く読み飛ばしてくれるとありがたいです)
今回私は、帰省した実家から出発して日本武道館に寄ってライブを見てから自分の家に帰るという計画の元に動いていました。
その為キャリーケースを持って会場入りしたり預け先を探して周辺を歩き回ったりと...今考えれば相当な考え無しですね。実際凄く大変でした。もう絶対やらない。
そんな事はさておき、9:40頃に無事現着し物販の長蛇の列に並んだ訳ですが、8月の日中に列に並んで待つ事の中々に辛い事...。しかしその甲斐あっておおよそ望みの物は買うことができました。
そうして暑い中並んだご褒美となったのが…
そう!『花譜のおいおい!さくら味って!季節感のさくらんかい!アイスクリーム』です!!
花譜考案&命名のセンスの塊のようなアイスクリームが熱を持った身体に染み渡り、溶けやすかったのも相まってあっという間に食べ切ってしまいました。味も格別。さくら味ってこんなに美味しいのか...と若干衝撃を受けました。
その後は、まあ...他の観測者の方々に話しかける度胸も自分を表現できる何かも無かったもので...ライブが始まるのを今か今かと待ち焦がれていました。
次のライブこそは誰かしらと会話ができたら良いなぁと考えつつ、そろそろライブ本編の感想に移ります。
不可解参(狂)、開幕
開場が始まり、私は一般席・一階西側の席に座りました。思っていたよりステージが近く嬉しく思いながら開演を待ちました。
そして18:00、開演。
カウントダウンの後、第三歌唱形態「燕」の夏ver、白燕とでも言うべき衣装に身を包んだ花譜が「魔女」を歌いだすことでライブは幕開けました。
何回も聴いてきた魔女の普段とは違うライブアレンジやラスサビの歌い方に早速感極まっていると、畳みかけるかのように「畢生よ」「夜が降りやむ前に」「ニヒル」「アンサー」「命に嫌われている」「私論理」「戸惑いテレパシー」をメドレー形式で歌い上げ、締めとばかりに『花譜の"始まり"の歌』である「糸」をフルで歌唱。聴く度に魅力を増すこの歌は原点にして頂点と言っても過言ではありません。
その次は可不が出てきてデュエット。「今日もとっても白いですね!」と元気に花譜が言っていました。花譜ちゃん、今の君も大概白い。
歌った楽曲は「化孵化」「流線形メーデー」。2曲とも独特なテンポで、無線ペンライトの色とりどりな演出も相まって楽しくノリノリになれました。
ここで第三歌唱形態「燕(壊)」に変身。今ライブのキービジュアルさながらの演出で、白燕とは真逆の黒基調の衣装に変化しました。
そうして「組曲」パートに突入。まずは×たなか「飛翔するmeme」。複雑な掛け合いのある楽曲ですが、クールに楽し気に歌ってみせました。そして×大森靖子「イマジナリーフレンド」。正直今回のライブで最も"狂(MAD)"を感じされられたのはこの方でした。ステージで踊るダンサーに負けないほどの狂乱舞踏、激しめな歌唱に終盤では「死神」の歌詞を合わせて歌うアレンジをしてみせました。「不可解」にて『わたしがすきなうたをうたうよ。』と言って歌った「死神」から繋がったかのような大森靖子さんとのデュエットは感慨深いものがありました。
次の楽曲は「裏表ガール」。これは花譜の高校卒業記念ライブ「僕らため息一つで大人になれるんだ。」で初披露された楽曲で、花譜の表と裏、秘めた想いが詰まった大事な曲です。
花譜と、花譜じゃない彼女自身。"花譜"になる事で得た沢山の経験と愛情。そしてそれへの感謝を歌う...。
「私だけど私じゃないんだ それでももう離れはしないの」
ここで一区切りを入れて花譜の休憩確保を兼ねた「KAF Disco The Que」。
「フォニィ」「マーシャルマキシマイザー」「きゅうくらりん」「北上のススメ」「シル・ヴ・プレジデント」「ノンブレス・オブリージュ」のDJ remixにより、日本武道館は一瞬でクラブへと変貌しました。可不の楽曲だけでなく珍しい選曲もされており、新鮮さを全身で味わうことができました。初の試みでしたが、観測者に息を吐かせる気の欠片も無いライブ感の激流に大満足でした。
DJパートを終えると、花譜の衣装が特別歌唱形態 「金糸雀」 にチェンジし、東京ゲゲゲイのMIKEYさんと「ダンスが僕の恋人」をデュエット。黒い凝った衣装を着ながらキレッキレのダンスを踊る姿はカッコよすぎました。こちらも「不可解」で歌った「神様」から繋がったかのような共演で、かつて好きで歌っていた曲の歌手と並び立って歌うことのできる花譜の成長を感じました。
続いては姉妹レーベルである深背界スタジオからORESAMAが登場。新曲「CAN-VERSE」を披露しました。三人が白いキャンバスに思い思い描いていくような楽し気で可愛らしさも感じさせる曲でした。投げキッスの振り付けが可愛いのなんの…。
それに続き同じく深背界スタジオからVALISがステージに登場。以前VALISのライブ「感情プレステージ vol.2」で共に披露した「神聖革命バーチャルリアリティ」を再び共演しました。以前はバーチャルな姿での共演でしたが今回はオリジンの姿。躍動感や迫力が凄まじく、VALISも大好きな私はもうペンライトをぶんぶん振っていました。流石VALIS、歌って踊れるムキムキキャッツ。
するとここで映像が流れ始めます。道路を走る車の中にはV.W.Pメンバーの春猿火、ヰ世界情緒、幸祜。日本武道館に駆けつけるはずが車の故障で立ち往生し2時間も遅れてしまい、万事休すか…?という所に現れたのは「神椿市建設中。EMERGENCE」に登場した謎の少年"L"でした。そしてらぷらすの背に乗り、日本武道館に飛んでいく3人。まさかL君の正体は花譜の使い魔的存在、らぷらすだったとは...。
そして揃った4人の魔女。理芽はアメリカに語学留学中であり、流石に来れないか…と思っていると「ちょっと待ったー!!!」と声が!何事だと思っていると「Hello~」とヌルっと登場。なんと一時帰国していました…!
そうして5人揃ったV.W.P。ライブ中とは思えないほどのふわっふわなトークもそこそこに「花魁鳥 -Revolution-」 に変身!×ヰ世界情緒で「深淵」、×理芽で「魔的」、×春猿火で「残火」、そして×幸祜で新曲「歯車」をデュエットメドレーで歌いました。特に言及したいのは後方2曲。残火は是非もう一度聞きたいと思っていた曲で楽しみにしていたらサビでステージから火柱が!力強い歌唱と合わさって残火の名前にそぐわぬ猛火な盛り上がりでした。歯車は遂に公開された幸祜とのデュエットソングで、順番が回ってくるのを心待ちにしていました。スピーディでカッコよい楽曲な上、二人が拳を一緒に突き上げたり向き合って歌ったりと凄く楽し気でした。
最後はもちろん5人で「共鳴」!!アップテンポで思わず掛け声を叫んでしまいそうな最強のダンスナンバーです。やはりV.W.P、5人揃えば無敵。
そうして一人のステージに戻ると、花譜は特別歌唱形態「軍鶏」に変身。
赤黒いダークなカッコよさにトサカや尾羽のような衣装に、脚部に刻まれた"MAD"と"狂"の文字。しかし、音楽に乗って拳を突き上げ駆け回る姿はどうにも愛らしかったです…w
歌い始めたのは「過去を喰らう」「海に化ける」そして新曲「人に化ける」の三部作。大人になる事に怯え、大人になることをやめ、そして何かを受け入れ諦めて人間になろうと努力する…。カンザキイオリ節が感じられるこの3曲、これからも深く聴き進めていきたいと感じました。
その次に歌ったのはこのライブの主題でもある楽曲「不可解」そしてそれに連なる「未観測」、新曲の「狂感覚」の三部作でした。
なんと不可解はスマホによる録画がOKということで、Twitterには様々な観測者が撮った録画がアップされているので、是非見てみてください。
「不可解」は効率を追い求める社会に反抗する不可解な感情を、「未観測」は不器用にしか生きられず足掻く"我ら"への鼓舞を、「狂感覚」は社会に沿わなければ生きられない苦悩とそれらから"正気でない"と揶揄される者たちに寄り添う優しさを歌う曲です。
『自分だけ狂ってると思うなよ だって、そんなの寂しいじゃないか』
長かったようなあっという間だったようなライブも遂にフィナーレ。
これまでとは違う、歌唱形態でも無い私服のような衣装に着替え歌う最後の楽曲は"バーチャルシンガーソングライター"花譜の新曲「マイディア」。
作詞作曲を花譜が手がけたこの曲はmy dear、親愛なる人々へ…花譜から観測者への歌でした。成長した彼女の、感謝とこれからの決意を綴る曲。
高校を卒業しありのままの自分を出すようになったからこその衣装であり、花譜のアーティストとしての一つの境地を表すのがマイディアだと感じました。
最後に花譜は、「マイディア」の制作話と観測者への想いを語ります。涙ぐみながら…。
その想いを受け取った私は、同じく涙ながらにこれからも観測し続けることを心に誓いました。
後日記:おまけなどと言えない+4曲
この感想記が私の遅筆により特別再配信までに書き終わらなかった為、こちらの感想も綴らせて頂きます。
あの私服衣装に身を包んだ花譜が無観客の日本武道館で歌ったのは「わたしの線香」「quiz」「Re:HEROINES」「そして花になる」の4曲。
どれも言わずと知れた名曲で、ライブ会場で聴けないのが勿体無いほどの会心の歌声でした…。
私が思うにこの4曲は”セットリストには入らないが、どうしても届けたかった歌”でした。今、花譜にはオリジナル曲だけで40曲近くの持ち歌があります。その上にカバーやV.W.P楽曲を歌うとなると、当然3時間近くのライブであっても網羅は不可能なのです。そのためセトリに合わず取りこぼしてしまう曲もあり、その中で花譜が、もしくはPさんや不可解チームが届けたかった曲が選ばれたのではないでしょうか...。
特に「そして花になる」は1stライブ「不可解」の頃の花譜の等身大の歌であり、今再び歌う事にもまた意味があると感じました。
狂う夜の先で
こうして終わりを迎えた3rdワンマンライブ「不可解参(狂)」。
『MADなお祭り騒ぎ』とイメージされた今回のライブでしたが、一番最後のエンドクレジットに映し出された英語名は"FUKAKAI Ⅲ Crazy for you"。
MADだけでは無かったのです。花譜の口から語られたのは「ライブテーマの"狂"は、やさしい言葉で言えば『夢中になる事』なんだ」という事。
そしてライブ最後に示されたメッセージは、「どんなに辛い苦しい分断された世界でも、だれかやなにかを愛する事が、きっと世界を動かすクレイジーな原動力になるはずだ。」というものでした。
コロナウイルスや不況、挙句世界では戦争も起こり、今は苦しい情勢。
そんな中で歌で世界を救おうとすることは、その企画で世に新しい爪痕を残そうと奮起することは、そしてそれらを目指す彼女らを応援して支えようとすることは、他人から見たら狂気の塊かもしれません。
効率を追い求めるこの社会において、歌なんて取るに足らない狂気的なものとしか映らないかもしれません。
けれど、そんな中でも、誰かや何かを愛する事が世界を動かすクレイジーな原動力になる。今回のライブは、その一端を担った一歩だと思いました。
14歳のただ歌を歌うのが好きだった少女は、運命的な出会いにより花譜というもう一人の自分を得ました。彼女は花譜と共に歌い続けて成長し、多くの人間に観測され、勢いを増していきました。中学・高校を卒業し大人になった彼女は、更に勢いを増して活動の幅を広げ、かつて好きだと言っていた大アーティストと肩を並べて歌えるまでに広く知られるようになりました。
そして今回の日本武道館。日本の誇る大舞台にて、全V未踏のライブを行いました。これは18歳の少女、そして一人のVsingerが一人のアーティストとして認められたということだと思うのです。
花譜、Pさんやチーム不可解、関わった沢山のクリエイター、そして観測者。全員の狂気が、夢中になる力が"花譜"という存在を一人の少女から一人前のアーティストに押し上げたのです。
どこにでもいて、どこにもいない少女。
不可解な可能性を持つ令和の歌姫、最初の魔女「花譜」。
どこまでも物語的で、どこまでも等身大な彼女の道のりはまだ半ばで、これからも続いていくのでしょう。その身にかかる数多の狂気を携えて。
彼女に見入ってしまった私にできるのは、観測することだけ。
彼女の進むさまを見届けることだけ。
だったら私はその行く末まで観測してやろう。歌を愛し、歌に愛される歌姫を。観測者に愛され、観測者を愛する魔女を。誰かに寄り添い、寄り添われることで大きく深化してきた「花譜」を。
貴女の歌に救われ、言葉に励まされ、想いに絆された者として。
あの狂う夜が明けたその先で、そんな事をずっと考えていました。
Crazy for you
沢山の告知により、花譜展3や不可解参(想)などが発表されました。
これからも目が離せないVsinger、花譜。
彼女の「可能性の拡張」の続きを、これからも観測していきます!
とんでもない長文、おまけに夜中テンションも混じったモノになってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。
それでは、奇音でした。
またね。
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