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奥出雲おろち号に乗った話

今年で廃止されるといわれている、中国地方を横断する西日本屈指のローカル路線、「木次(きすき)線」の「奥出雲おろち号」に乗った時の話です。

「おろち号」では、直線距離1キロメートルで標高差162メートルを登ります。まっすぐに登れないため「3段式スイッチバック」という、2回に分けて方向を変えて登っていくという仕組みを採用しているめずらしい路線です。

終点の「備後落合」駅は、2020年における1日の平均乗車人数はわずか7人とかいう秘境ぶりです。周りには森と川と民家しかなく、うっかり降りてしまうと次の乗り継ぎまで時間を持て余してしまうような路線ですが、廃止間近ということで多数のファンが乗りに来ていました。

「おろち号」の素晴らしいところは、ガラス窓がなく開放的である点です。さやさやとした葉っぱのすれる音や時折なる汽笛、流れゆく車窓を見ながら乗っているだけでも楽しいです。途中の駅では駅長による数量限定の手打ちそばや、地元の湧き水を飲むこともできます。
列車内でそばを食べたい方は予約をお忘れなきよう。(私は予約を忘れて食べられず・・・)

メインのスイッチバックでは、客車側が先頭となったり最後尾となったり切り替わりながら坂を登っていくうちに、右側の車窓のはるか眼下に、先ほど登ってきた出雲坂根駅を見下ろすことになります。日本最大規模の二重ループ方式の道路、日本書紀の「ヤマタノオロチ」由来の「奥出雲おろちループ」も、さきほどはるか上空にあると思っていたらいつの間にかすぐ近くに見えるなど、なかなか面白かったです。

おろち号は今年11月までの運行ですので、乗っておきたい方はお早めに。
今月来月は特別に運航されています。
自力だと切符の予約が大変なのと、備後落合で数時間待ちとなるので、時間のない方は途中でピックアップしてくれるツアーがおすすめです。「おろち号 ツアー」などで検索いただければと思います。少々お高いのが難点ですが。
ちなみにおろち号がなくなっても木次線が廃止になるわけではなく、「あめつち」という別の列車が乗り入れるそうです。

以上おろち号のお話でした。
このほかにも五能線、飯田線、只見線に乗った話など、ぼちぼち書けたらなと思っています。


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