オーケストラを観にいこうという話

前置き

今回は映画の話ではなくオーケストラの話。というわけでもなく歌の話。ん?じゃあタイトルのオーケストラを観にいこうってなんなの?って話になると思うが、これはUNISON SQUARE GARDENの曲のタイトルなのだ。

UNISON SQUARE GARDENの簡単な説明

UNISON SQUARE GARDENと言えば、シュガーソングとビターステップやオリオンをなぞるといったアニメタイアップソングが有名であり、聴いたことがある人も多いのではないだろうか。曲名も歌詞も斬新で意味ありげにかんじるが、本人たち曰く音を呼ぶものを選んでいるという。音で言葉を選び歌詞やタイトルにものすごく意味があるように感じれるのだから感慨深いものがある。スリーピースバンドでありながら、本当に三人でこの演奏しているのかと驚かされる。一人一人のスペックが尋常じゃなく、その三人が揃っているのだから最強としかいいようがない。

若いけれど子供じゃない

簡単ではあるがユニゾンの説明を挟んだので本題に入ろうと思う。
「オーケストラを観にいこう」は7thアルバム「MODE MOOD MODE」に収録されている楽曲になる。この曲は甘酸っぱく時に苦い恋愛を歌ったラブソングになっており、誰しもが経験したことがあるような感情を歌の主人公に感じてしまい、聴いてるこっちがむず痒くなってしまう。そしてライブに行こうではなく、オーケストラを観にいこうというところが、大人の恋愛を思わせてくれる。

伝えたくも言えない気持ちと、精一杯の言葉

好きな人が髪を切ったら直ぐに気づいたり、会話をしたいから相手の好きな番組やアーティストを勉強したりしたことはあるのではないだろうか。好きな気持ちが大きくなればなるほど、一つでも多く相手のことを知りたいと思うようになっていく。そして色々な事を知ることができても肝心で一番大切な事だけが分からない。そう、相手が自分をどう思っているのか、告白して付き合うことができるのかということ。好きだと伝えなければ分からない、けれども伝えてしまえば近づくどころか離れてしまう可能性もある。伝えたい気持ちと伝えれない気持ちがせめぎ合い揺れ動く感情を、恋をしたことがある人ならば理解できるだろし大きく頷けるのではないだろうか。
この曲の主人公がこの感情のなかで精一杯の言葉を紡ぎ出したのが「オーケストラを観にいこう」という言葉なのだ。

まさにオーケストラそのもの

友達であれ恋人であれ何気ないやりとりは起こりうるもので、この曲ではチューインガムを相手からもらっている主人公。チューインガムと言えば味と香りがするもので、フルーティなものからミント系の爽やかなものまで様々だ。この曲の歌詞では貰ったフレーバーとは違う香りが横切る、それは香水の香りかシャンプーの香りかなど明確にはされていない。想像して欲しい、好きな相手からガムをもらい、そのフレーバーとは違うその人の香りがするのならば、その方が気になって仕方なくなってしまうのではないか。なんの香水かな、どこのシャンプーかな。なんて考えるより先に、素敵で落ち着く香りだからこそガムのフレーバーなんて気にもならなくなる。恋は盲目、想いが大きければ大きいほど感情は揺さぶられていく。何気ないことに喜んだり、何気ない事で落ち込んだり、浮き沈みが激しい恋はまさにオーケストラそのものだと思う。

背伸びは付き物

ライブではなくオーケストラの理由はきちんとある。普段Tシャツ短パンスタイルだったり、ファストフードやコンビニ飯なんていう生活を送り、観る映画はアニメやホラーなどであったとしても、好きな人とのデートとなるといつもは着ないような服を着たり、少しおしゃれなお店に行ったり、恋愛映画を観たりすると思う。そのような少しの「背伸び」は恋愛には付き物。だからこそ、好きな音楽を一緒に汗を流しながら観るライブではなく、身を整えて緊張が伝わりそうな気持ちがバレてしまいそうな距離、わずか数十センチとなりに座って観るオーケストラという背伸びを主人公は選んだのだ。

オーケストラだからこそ

好きという言葉は今はまだ言えないし、「オーケストラを観にいこう」言葉では決して告白にはならないけれど、一歩ずつ少しずつ距離を縮める恋につながるものだと思う。全編を通して好きという言葉は一単語も出てこないのにも関わらず、恋愛ソングだと思えるこの曲は、カッコつけたいけれど格好良くなれないもどかしさがひしひしと伝わってくる曲になっている。

まとめ

この曲を聴くとむず痒さや恥ずかしさが湧き上がってきつつも、こんな恋をしていたなぁ、これからもするのかな。なんて考えてしまい、ふと聴いた時には涙が流れてくるのだ。甘酸っぱくも苦いような子供じゃないけど、大人になりきれない若者の気持ちにもなれるし共感できる。結婚したり歳を重ねた人もこんな時代もあったなと、自分の若かった頃の恋愛経験を思い出すことができるかもしれないので、是非とも聴いて欲しい。


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